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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(9)

<INTRODUCTION>
 異世界に転移したシンヤは、その世界〈アーク〉を救うことに成功した。そのまま異世界で英雄として遊び呆けようと思っていたシンヤは女神に「現実世界、つまり日本に帰らなくてはならない」ことを伝えられる。あまりにも突然の宣告の謝罪として「異世界から好きな人をお持ち帰りして構わない」という条件を付けてもらったことで、シンヤは同じパーティの美少女たちを日本へとお持ち帰りし、優雅で淫らな生活を送るのだった。
 まったりした生活の中で思い出すのは、〈アーク〉での冒険の日々。シンヤは初めて異世界の地面を踏み、村娘ハーナルと出会い、街アスガルドを案内してもらった記憶を掘り起こしていく。童貞卒業の相手となるハーナルとのセックスの記憶は間近に迫っていた。

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〈日本――5〉

 そう、その晩の俺はハーナルに手を出すことが出来なかった。
 勇気がないとか、意気地なしだとか、そういう問題ではなかった。自分が可愛い女の子と、そういういやらしいことをするだなんて、身の程知らずだとさえ思っていた。
 今思えば、あの時強引に襲っても、ハーナルは受け入れてくれたかもしれない。
 あの後、ハーナルの身体に魔痕を刻み込んだことで、彼女の様子は明らかにおかしくなってしまった。頬を赤らめ、火照った体を俺にくっつけながら、媚びた視線を俺に向けたのだ。
 魔痕による催淫効果。俺にその印を彫り込まれた女の子たちは、皆俺だけに欲情してしまうようになってしまう。強い男の子種を欲しがる女の本能が、それを求めてしまうのだ。
 そんな状態の彼女が誘惑してくれたことで、俺はようやく童貞を卒業できたのだった。あの時堪能した、初めてのハーナルの女体の味を思い出すと、ムラムラしてきてしまう。
「シンヤさま、何を考えているんですか?」
 ぼーっと物思いに耽りながら歩いていた俺に、隣にいるマリアが話しかけてきていた。
 姫君マリア。今日は、ずいぶんと気の抜けた格好だ。以前着ていたラフなTシャツを身に着けている。どうやら痛く気に入ってしまったらしい。
「なんでもないよ」
「もしかして、わたしたちとエッチなことをする妄想かしら♡ いつでも準備は出来ているわよ、シンヤ♡」
 リリスは相変わらず、艶という字を体現したような色気を漂わせている。魔女と呼ばれるにふさわしい。
 あれからリリスと何度か服を買いに行ったおかげで、すっかり日本の服装に溶け込み、おしゃれな大人のお姉さんといった佇まいになっている。ファッションセンスは三人の中でずば抜けていた。
「家の外にいるんだから俺を誘惑するな」
「そ、そうだぞ破廉恥なっ!」
 アリサは相変わらず、俺とリリスがいちゃつくのを見て声を荒げている。
 女騎士アリサ。最近は鎧ではなく、女の子らしい可愛い服を着るのに慣れてきたようだった。主にリリスがコーディネートしてくれているおかげで、もともと美少女の原石だったのが磨かれてますます輝きを増している。
「この間、シンヤとらぶらぶエッチしてたくせに♡」
「なっ!!! や、やめろっ、その話はぁっ!」
「うふふ、そんなに顔を赤くしちゃって可愛い♡」
「うるさいっ! 黙れこの淫乱っ」
「喧嘩するなって」
 俺はこんな感じでお持ち帰りした女の子たちとわいわい騒ぎながらのんびり暮らしている。冒険を終えた末に許されたスローライフ。あくせく働くこともなく、退屈することもなく、毎日が幸せでいっぱいだ。
 今日は、三人を外食に連れて行こうとしているところだった。
 三人とも、日本の食べ物がおいしいことに驚いて、喜んでいた。〈アーク〉では、大雑把な味付けの食べ物ばかりが出回っていた。あれで満足していたのだから、こっちの食べ物がおいしく感じるのは当たり前だろう。
 そもそも日本はアークより食べ物の種類が豊富だった。
 アークの料理はただただシンプルだった。塊の肉がどん、と出されたり、パンの塊がどん、と出されたりという感じなのに対して、日本はジャンクなファストフードから、やわらかい味付けの和食まで、世界中からあらゆる食べ物が揃っていると言っても過言ではない。
 三人は何を食べさせても喜んでくれるから、今日は久しぶりに高級料理ではなく、安くておいしいジャンクフードでも一緒に食べに行こうと思っていた。
 アリサは純粋に疑問と言う感じで聞いてきた。
「ハンバーガー、と言ったか? 一体どんな食べ物なんだ?」
「二枚のパンの間に、肉や野菜が挟んであるやつだ」
「わたくしは食べたことがありますわ。城では色々な贅を尽くした料理を頂きましたもの」
 マリアは、さすがにそのくらいは食べたことがあるという感じで言った。
「お姫様のマリアがやっと口にできるくらいのものと言うことね。ちょっと楽しみになってきたわ」
 リリスの言う通り、彼女たちにとっては高級料理そのものだが、日本ではワンコインで食べれるくらいのお手頃なご飯だというのが、日本とアークの食事レベルの差を感じさせる。
 一番有名なハンバーガーのお店に入って、適当に飲み物やポテトのついたセットを注文する。三人とも店に入っただけで、くんくんと鼻をひくつかせ、おいしそうな匂いがすると言って喜んでいた。
 テーブルに四人で座って、ハンバーガーにかぶりつく。
「これは……!」
「あら、おいしいじゃない」
「城で食べたものより味付けが絶妙ですわ!」
 三人とも口にした途端驚きの表情を浮かべ、感嘆した様子で感想を伝えてくれた。特に、隣に座っていたアリサはハンバーガーがやたらと気に入ったらしかった。一生懸命もぐもぐしながら、こんなことを言った。
「日本で食べたもので一番おいしいかもしれないっ!」
「日本で食べたもので一番安い料理だぞ」
「そうなのかっ!? そんなに安いのにおいしいだなんて……日本は素晴らしいな!」 
 女の子たちはすぐにセットを食べ終わってしまい、デザートにアイスなんかも追加で頼んだりして、お腹いっぱい食べて満足そうだった。
 お喋りしている中で、俺はふと大事なことを思い出した。
 昨日の夜、夢の中で女神さまと話をしたのだ。新たなメンバーについて。
「そういえば、新しい知らせがあるんだ。いい知らせだぞ」
「何かしら?」
「そろそろ、ハーナルがこっちに来るそうだ」
「おお! やっと来てくれるのか! わたしはずっと待っていたんだぞ」
 椅子からガタンと立ち上がるアリサ。よっぽど嬉しかったらしい。初期パーティでずっと一緒だったアリサとハーナルはとっても仲良しだったから、そうなるのも頷ける。
 もちろんリリスもマリアも、新しく女の子メンバーが増えることを喜んでいた。
「もしかして、これからもどんどん新しいメンバーが日本に送られてくるということでしょうか?」
「そうだ。一緒に冒険してた子たちは、いずれはみんな呼ぼうと思ってる」
「ますます楽しくなるわね、シンヤ♡ それにしても、女の子ばっかり呼んじゃって♡ ますますハーレムになっていくわね♡」
「そういうつもりじゃないんだが……」
 そう、女の子ばかりこっちにお持ち帰りしているのは、シンプルな理由があった。
 俺は冒険の中で、一度も男をパーティーに迎え入れなかった。というよりか、魔痕を刻んだ女の子たちが勝手に寄り付いてきてしまうから、男を入れる余地がなかったのだ。
 これは仕方ないことだ……そう自分の中では思っているが、心の片隅に女の子たちに囲まれたいという欲求があったことは否めない。今だって、アリサとリリスとマリアの三人の美少女たちを連れて街を歩けるのが楽しくて仕方ない。
 そして夜になると、欲求を溜め込んだ女の子たちは、女体を火照らせて俺を誘惑してくるのだ。この間のアリサとのセックスも、気持ちが良くてたまらなかった。
 と、淫らなことばかり考えている自分に気付き、俺は自分を律する。こんなことではいけない。何も考えずに女の子たちとやらしいことばかりしていたら、どんどん生活が堕落していってしまう。
 女の子を犯す悦びを知ったのは、ハーナルのおかげだった。俺は回想の続きを始める。初めてセックスの味を覚えたのは、ハーナルが自ら誘ってくれたからだった。
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↓アダルト小説・サブカルチャーカテゴリの一位を取れました。
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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました 99円
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(あらすじ)
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
転生者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという衝撃の事実だった。その謝罪として、女神は「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可してくれた。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していく。
人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉――シンヤはそれによって異世界を救う英雄となったわけだが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう催淫効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 誘惑我慢系冒険エロラノベ。
冒険の始まり、そして女騎士アリサとの淫らな営みを描く第一巻。
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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(8)

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<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 
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〈アーク――5〉

 ハーナルと出会ったばかりのその日の夕方、俺たちはとりあえずアスガルドでおいしいお店を探していた。
 隣を歩くハーナルは鼻歌を歌いながら上機嫌だ。近隣の村で農作業をする貧しい暮らしをしていたから、美味しいものに目がないのはわかるが、ここまでわかりやすく嬉しそうにされると、ちょっとおかしい。
 可愛い女の子の機嫌がいい様子を見ていると、こっちまで気分がよくなってくるから不思議だ。
「ふんふん……おいしいご飯……おいしいご飯……っ」
「そんなに楽しみか?」
「当たり前じゃないですか! 街で食事するだなんて初めてなんですよ……!」
「色々世話になったし、好きなもの食わせてやるよ。何が食べたい?」
「お肉が食べたいです! おっきなお肉!」
 即答されて、とりあえずたらふく肉が食えそうな店を探して日が暮れてきた街を歩き回った。
 やがて、わかりやすく骨付き肉の形をした看板が飾られた店を見つけ、俺たちは中へと入った。
 店の名は、〈クレアス〉。
 クレアスの客層のほとんどは、屈強な冒険者たちだった。隆々とした筋肉のついた腕で、豪快に食事を行っている者たちや、酒に満ち満ちたグラスを打ち合わせ、宴を開く者たち。次の戦いまでに肉を食らい、体力をつけたり、結束を深めたりしようという魂胆だろう。
 街を襲撃することを予測されている、魔物たちの一群。この屈強な男たちなら、そんな奴らは簡単に殲滅できそうな気がしてしまう。
「いい感じの店だな」
 騒がしい喧噪はなく、それぞれ最低限の礼節は保ちながら食事を楽しんでいて、日本でいうレストランのような雰囲気だ。
 それでもハーナルは普段入らない店に緊張気味のようだった。俺の後ろに隠れるようについて来た。客をちらちらと見ながら服を引っ張ってきた。
「すっごくいい匂いがします……みんなおいしそうに食べてますね」
 俺たちが歩く横の机に、料理人が巨大な肉の乗った皿を置いた。巨大な剣を机に立てかけたその机の冒険者たちの集団は、硬貨をじゃらりと音を立てて払い、肉にありつき始める。
 ハーナルは俺の顔色を窺いながら言った。
「あのぉ……ちょっと高そうなお肉を頼んでも、大丈夫そうですか?」
「さっき見ただろう? あれだけあれば数か月は生活に困ることはないよ」
 俺は、懐に抱えた硬貨がたっぷり入った袋を確認する。
 どうやってこんな大金を手に入れたかと言うと、簡単な話だった。持ち物を換金したのだ。
 大して異世界で役に立たなそうな物品しか俺は持ち合わせていなかったが、商人にとっては興味を引かれる品が含まれていた。
 帝国の騎士団一行と出会ったあと、武具屋以外の商人たちの店を適当に訪ねたのだが、その時に俺は手当たり次第に自分の持ち物を見せて回ったのだ。
「な、なんだ!? これはすごい……!」
 一つ、商人たちの評判が高い物があった。スマートフォンだ。
 その機能を見た彼らの第一声は驚きに満ちていた。指で画面を操作できることを見せてやると、どのような魔法を使った道具なのかと前のめりに聞かれた。
 どこにも電波はつながらないし、インターネットもないこの世界では、俺にとってはほとんど無価値だったが、彼らにとっては宝のような代物らしかった。いくらで売れそうか聞いてみると、目を輝かせながら金貨のたっぷり入った袋を店の奥から持ってきた。
「値段などつけられないところだが、これで許してくれないか」
 とりあえず他の店にも行って相場を見たいと伝えると、さらに金貨を上乗せしてきて、俺はスマートフォンを大量の現金と引き換えることが出来た。
 その現場を見ていたハーナルは金貨に目が釘付けになっていた。驚愕で開いた口がふさがっていない。
「シンヤさんって、ほ、本当にすごい人なんですね……こんなにたくさんの金貨……」
「ニッポンではみんながあのスマートフォンを持ってるんだけどな、この街ではまだ出回ってないらしい」
「みんながあれを持ってるんですか!? ほんとうに? お金持ちの国なんですか?」
「まあ、この街にある品々もニッポンにはない物も多いからな。ちょっとした貿易をしただけだよ」
「へぇ……そうなんですかぁ」
 ハーナルは俺の説明が腑に落ちない顔をしていたが、すぐに疑問はどこかに行ってしまったようで、媚びるような笑顔ですり寄ってきた。
「シンヤさぁん♡ お役に立てるならなんでもしますから、これからもずっと一緒にいてもいいですか? わたし、もう村になんか戻りたくないですぅ。シンヤさんの冒険に、どこへでもついていきますぅ♡」
「金を持ってると分かった途端に態度変えやがって……」
「そ、そんなことないですよぉ……わたしはいつでもシンヤさんの味方ですからね♡」
 そう言って俺の腕にすがりつくハーナルに呆れかえりながらも、行動がわかりやすいハーナルに嫌な感じはしなかった。
 女の子にくっつかれるのはこんなに気分が良いものなのかと思った。ハーナルは俺にしなだれかかって媚びるような上目遣いをしてきていた。腕に柔らかい感触が当たっているのを感じて、俺はごくりと唾を飲んでしまう。
「シンヤさん、そこの席にしませんか? 外の景色が見えて綺麗ですよ!」
「そうだな」
 返答は上の空で、俺はハーナルのおっぱいの感触ばかり気になってしまった。
 自分と同じくらいの年の女の子にこんな風になつかれるのは初めてかもしれなかった。日本ではモテなかったし、彼女もできたことがなかった。大学でも女の子と縁のない生活をしていたから、妙に心臓がドキドキしてしまう。
 向かい合わせでテーブルに座り、メニューの書かれた紙を見て、ハーナルは涎が垂れそうになっていた。目を輝かせる姿が面白くて、ちょっと笑ってしまう。
「わ、わぁ……この中から、なんでも頼んでもいいんですよね? 本当にいいんですよね?」
「ああ、そうしていいから、さっさと選んでくれよ。あんまり選ぶのに時間かけるようだと食わせてやらないからな」
「えぇ!? そ、そんなぁ……い、急いで選ばなくちゃ……!」
 ハーナルは目を皿にしてメニューを隅から隅まで読んで、結局一番高価な「肉盛り」を選んだ。俺は異世界で初めての食事で身構えていたのもあって、手ごろな値段の料理を注文した。
「なんか、わたしのほうが良い料理頼んじゃって、ごめんなさい……」
「いいよ、今日は好きなものを好きなだけ食ってくれ。色々案内してもらって助かったよ」
「シンヤさん、優しいぃ……ふえぇ……わたしは幸せ者ですぅ」
 またぐずぐず泣き始めたハーナルに苦笑していると、大きな肉があんまり乗った皿を持って、大柄な男がテーブルに近づいてきた。
 まるでボディービルダーのような見た目の男だった。腕は俺の一回りも二回りも太く、胸板も馬鹿みたいに厚い。日本ではこんな人と関わる機会がなかったから、面と向かって話すだけで圧倒されてしまった。
 その男は歯を見せて笑いながら、
「この店は初めてだろう? 俺の名はミュース、この店の店長だ。今日は肉盛りを頼んでくれてありがとよ」
 どうやら、一番高価なそれを頼んでくれる上客は珍しいようで、直々に料理を持ってきてくれたというわけらしかった。
 ミュースは大きな「肉盛り」を俺の前に置こうとして、慌てて訂正した。
「ああ、それはハーナルのなんだ。俺のじゃない」
「おやおや、お嬢ちゃんがこっちの料理なのか? 相当食いしん坊の嬢ちゃんみてえだな」
「す、すみません……お腹ぺこぺこで」
「謝ることはねえよ、たんまり食ってくれ」
 ミュースは目を丸くしたが、ガハハと豪快に笑ってキッチンに戻っていった。
「なんだか恥ずかしいです……女の子だからもうちょっと控えた方がよかったでしょうか」
「まあ、初めての街での食事なんだろ。好きにしろよ」
「そうですよね……! いただきますっ! あむっ」
 華奢なハーナルが、肉をむしゃむしゃと食べていく様子はなかなか見ごたえがあった。その細い体のどこに料理が入っていくのか疑問だったけど、いっぱい食べる女の子は嫌いじゃない。
 俺も異世界の肉を初めて口にしてみたが、悪い味はしなかった。ただ、やっぱり日本の味付けとは少し違って、海外の食べ物を口にしている気分だった。
 でもおいしく食べれることには食べれるので問題はない。ハーナルの様子を見ると、異世界ではご馳走に当たる料理なのがわかった。
「おいひぃ……!」
 ご満悦のハーナルだったが、周囲の客たちの好奇の視線を浴びていることはもう気にしていないらしかった。たらふく食って口の周りについたソースをナプキンで拭うハーナルは幸せそうで何よりだった。
「ふぅ、いっぱい食べたぁ……」
 ハーナルが満足した表情でお腹をさすっていると、ミュースがげらげら笑いながらまた近づいてきた。
「お嬢ちゃんの食いっぷり、向こうから見てたぜ。すげぇな、あの量を全部一人で食っちまったのか!? 女の子の食事を見ていてこんなに気分が爽快になったのは初めてだぜ。気に入った、今度から安くしてやるから、またこの〈クレアス〉に来てくれよ」
「本当ですか!? また来ます!」
「待ってるぜ」
 今日食べた分も安くしてくれて、気前の良い店長には感謝しきれない。
 夜の街を歩きながら、俺とハーナルは泊まる宿を探した。金はいくらでもあるから、ちょっといい感じ宿に泊まろうと思って、綺麗な建物に俺たちは入っていった。
「あのぉ、わたし……シンヤさんと一緒のお部屋でも構いませんよ? お部屋代が余分にかかってしまうと申し訳ないですし……」
 ハーナルは、ちょっと申し訳なさそうな顔でそんなことを言ってきて、俺はごくりと唾を飲んでしまう。もしかして、誘われているのではないかと勘ぐった。
 ハーナルと、二人きりで一夜を過ごす。童貞の俺は、どう振る舞っていいかわからなかった。ただ、初めての相手がハーナルみたいな可愛い子だなんて、夢みたいな話だ。勇気を振り絞って、俺は言った。
「そういうことなら……俺と同じ部屋で寝てくれ」
「はい、それでお願いしますね」
 ハーナルは別に恥ずかしがるような素振りは見せず、普通にしている。もしかして、俺ばっかりが意識しているのかと頭の中が混乱してきたけど、とりあえず様子を見ようと思って、平静を装った。
 妙齢の女の子と一緒に、一夜を過ごす……初めての体験だった。挙動不審に陥りそうな気がして、俺は自分を一生懸命客観視して、気持ちが悪くないようにふるまった。
 指定された部屋に入ってみると、そこそこ良い宿だというのがよくわかった。部屋が広くて、内装も綺麗だ。
「綺麗なお部屋ですね……! こんなところで寝泊まり出来るだなんて!」
 ハーナルは鈴を転がしたように笑いながら部屋のあちこちを見て回り、最後にベッドに飛び込んだ。頬をすりつけながら、天真爛漫に言った。
「ふかふかです! 村のお家の寝床とは大違い! 今日はぐっすり眠れそう!」
「ベッドは一つだけ……なのか?」
 俺はごくりと唾を飲みながら言った。部屋にはほかにベッドは見当たらなかった。
「そうみたいですね……わたしは全然構いませんよ!」
 やがて身支度を整え、いざ眠ろうとすると、すでにハーナルはベッドに飛び込んだ姿勢のままぐうぐう眠っていた。
 信じられない……男と一緒の部屋で二人きりだというのに、何の警戒もしていないようだ。
 どうやら俺とそういうことをするつもりはないらしいとわかって、ちょっと落胆したけど、それにしては無防備な子だと思った。俺みたいな童貞じゃなかったらこの部屋に入った時点で襲い掛かっていてもおかしくない。
 俺はそっとハーナルを押しやった。すやすやと寝息を立てるハーナルの隣にできたスペース。そこに寝転がるのにも心臓がドキドキした。
 ぎこちない動きで体を横たえる。横を向くと、ハーナルの寝顔を間近で見ることが出来た。温かい息があたるほどの距離。興奮して、頭に血が上ってきてしまう。
 なんとなく、甘いようないい匂いがする……。
 手を伸ばせば、触ることのできる女の子が傍にいた。俺はそわそわして眠りにつくことが出来なかった。俺くらいの年の若い男だったらしょうがないはずだった。
 ついつい、寝ているハーナルの身体に手のひらを近づけた。その頬に触れると、んん、と何だか色っぽい声をあげて、俺はびくっとなってしまう。
 勝手に手のひらは胸の方に移動した。街を歩いているとき、ずっと意識していた腕に当たる柔らかい感触。それをついに手のひらに感じた。
 ハーナルのおっぱいは、手のひらに収まるくらいのちょうどいいサイズだった。そっと揉んでみると、初めて触る女の子の乳の感触はたまらないものだった。柔らかくて、適度な弾力がある。気がついたら、揉む手が止まらなくなってしまっていた。
「んぅ……♡」
 ハーナルがふいに寝返りを打って、俺は慌てて手をひっこめた。結局ハーナルは俺に背を向けてしまった。
 俺はこれ以上触ったら目を覚ましてしまうのではないかと思って、怖くなってしまった。折角仲良くなったハーナルに、こんな風に変態的な行為をして、嫌われてしまったら、俺はまたこの異世界で一人ぼっちになってしまう。勃起してきているのを我慢して、俺は無理やり目をつぶって眠りに就こうとした。
 その夜、俺はほとんど眠ることが出来なかった。

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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(7)

VR動画
<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 
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 アリサは、服屋に寄ったときに俺が買っておいた、ベビードールを身に着けていた。
 似合うかどうか、半信半疑のまま、そのセクシーな衣装をリリスとアリサに渡しておいたのだが、こうして実際に着てもらうと、抜群の破壊力だった。
 ピンク色の可愛らしいベビードール。透け透けの薄い生地で編まれていて、アリサのスタイルの良い女体が惜しみなく披露されてしまっている。たわわな胸の部分だけ透けていないのが、また劣情をそそる。
 下に着ているパンティがピンク色なのもわかってしまうくらい、透けていた。
 そんな姿のアリサが、俺に近づき、腕をそっとつかんでくる。とろんとした目つきに、ごくりと唾を飲んだ。
「その……いつもの、アレなんだ……わかるだろう……?」
 囁きながら、アリサは左右に開くようになっているベビードールを開いて、その部分を見せる。
 白くすべすべとした下腹部が、へその下まで半透明のベールから解き放たれた。
 そこには、異様な紫色の印が刻まれていた。刺青のように、消えようのない印として。
 俺は、それが何か知っている。俺がこれを刻み付けたのだから。
 さっきまで風呂で想像していた卑猥な行為が、実現しようとしている。自制しなきゃいけないはずなのに、思わず理性の枷が外れてしまいそうになる。
「な、なんのことだよ」
 今日のところは我慢しようと意識を反らそうとするが、アリサはさらに俺にしなだれかかってきた。腕に、柔らかい感触が、ぴったりとくっついている。
 その髪からふわっといい匂いが漂って、くらくらとしてしまう。
 アリサは、上目遣いで俺をじっと見つめながら、自分の下腹部を指さした。
「ここだ、ちゃんと見てくれ……こんなにも魔痕の光が強まって……はぁ♡」
 温かい、甘い吐息が、俺の首筋に吹きかけられる。全身が痺れていくようだった。
 アリサの太ももが、勃起し始めた股間にぐりぐりと押し付けられる。
「お、おい……やめろ」
「やめない♡ シンヤだって、本当はしたいんだろう? ほら、こんなに固くなって……ふぅ♡」
 普段からは考えられないような卑猥なことを口走りながら、アリサはさらに、俺の手のひらをつかんで、自分の身体に導いていく。
「アリサ、お前……」
「わたしの身体を、触りたくなってきたか……? いいぞ、シンヤに捧げたこの身体、好きにしていいんだ……」
 導かれた俺の手のひらは、肉付きの良いふともも、お尻、すっきりと痩せたお腹を撫で、その胸へと向かっていく。
「もちろん、この胸もシンヤのものだ。好きなだけ、揉んでいいぞ……♡」
「あ、アリサ……っ!」
 ついに、手のひらがそのマシュマロのような触り心地の胸へと到達する。
 もう我慢できなかった。俺は本能の赴くまま両手でアリサのおっぱいを揉みしだいてしまう。Fカップはあろうかという、騎士にしてはボリュームたっぷりのおっぱいだ。
「あんっ♡ やっとその気になってくれたか……そうだ、もっと揉んでくれ……」
 男みたいな喋り方をするアリサが、いやらしいメスの嬌声をあげる。魔痕の光がさらに強まり、アリサが感じているのが簡単に見て取れた。それだけではない。アリサの俺に対する狂おしいまでの興奮が、魔痕を通じて俺に伝わってくる。
 ――シンヤのことが欲しい。もっと触られて、滅茶苦茶にされたい。
 そんな思いで頭がいっぱいなのが、俺にはわかってしまうのだ。今の彼女には恥じらいなどなく、王である俺の子種を受け止めたいという本能が異様に強まっていた。
「乳首も、つまんでくれ……んんっ♡ そうだ、もっとぉ……♡」
 乳を揉みながら、いやらしく尖った乳首を指先で刺激してやると、面白いくらいに仰け反って喜ぶのだった。
「それぇっ♡ もう、気持ちよくてダメだ……濡れてぐちょぐちょになってきてしまった……♡」
 アリサはそんなことを言いながら、勝手に下着に指をかけて、ゆっくりと下ろしていく。ピンク色のそれが、アリサのむっちりとした太ももを通り過ぎ、膝、ふくらはぎ、かかとを通り過ぎて、床に落とされる。
 切り揃えられた陰毛の下の、ぷっくりとした桃色の割れ目が、透明な液体にまみれていた。女の子の一番大事なところの匂いが、かすかに香る。何度も嗅いできた、発情の香りだ。
 アリサは割れ目を俺に見せつけ、眉間を狭めてねだってくる。
「はあぁ……♡ 見てくれ……こんなにも濡れて……我慢できない……んあぁっ♡」
「自分で脱ぐなんて、お前、変態だな……」
「あんっ♡ そうだ、わたしは変態だ……♡ だから、わたしのおまんこを、指でヌプヌプしてくれぇ♡ ひゃぁんっ♡」
 くちゅり、と指先で割れ目に触れると、アリサが普段からは考えられない可愛い声を上げた。
 俺は指先に触れる感触に、頭が真っ白になりそうな興奮を覚えた。ヌルヌルとして、温かい粘液が、べっとりとこびりついてくる。これが、女の子のナマのおまんこだ。
 とろとろの柔らかい割れ目のお肉を愛撫してあげると、アリサは立っていられなくなって、俺にしがみついてくる。
「あぁ……はあぁ♡ そこぉ……もっと、もっと触ってぇ♡」
 すっかり女の声になって、喘ぎ狂ってしまっていた。
 アリサのこんなだらしのない姿を知っているのは俺やリリスやマリアたちくらいだ。この姿を見ると、もっと悦ばせてやろうと、夢中になっていじってしまう。
 くちゅ、くちゅといやらしい水音。
 ナカに指を滑り込ませ、へその裏側、Gスポットのところをぎゅっと押すと、アリサは甲高い声をあげて、がくがくと腰を震わせた。
「んひぃっ♡ 立ってられないぃ……ベッドに行こう……ベッドで、もっとしよう……♡」
「う、うん」
 俺はすでに、我を忘れかけながら、彼女をベッドにまで運んだ。
 アリサは、ぐったりと体の力を抜いて仰向けに横たわる。はぁ、はぁ、と息遣いは荒い。
 すっかりとろけた表情で、俺を見る目の焦点は、ブレ始めていた。
「なあ、わたしのここを、舐めてくれないか……♡ 舌で舐めて、この卑猥なエキスを味わいたくないか……♡」
 もはや、アリサは騎士の誇りなど忘れ、俺が欲しいという感情に支配されているのを感じた。
 俺も、居てもたってもいられなかった。アリサのぐちょぐちょになったおまんこに、口を近づけた。発情の香りが強まり、やがて一番近くでそれを感じる。
 舌を這わせ、粘液を舐めとると、なんとも言えない味が広がる。アリサは一際高い嬌声をあげ、太ももで俺の頭を挟んでくる。
「んやあぁっ♡ いぃ……っ♡ 気持ちいぃ、シンヤ、それはダメぇ……♡」
 じゅるじゅると愛液を吸い、割れ目に沿って舐めとり続けていると、こんこんと奥から湧き出してくる。
「そんなとこ、舐めちゃダメなのにぃっ♡ ダメなのに、気持ちいぃっ♡」
 アリサは部屋の外まで聞こえるのではないかと思うほど、快感によがり狂うのだった。
 ぷっくりと勃起して充血したクリトリスを重点的に舐める。
「そ、そこぉっ! 敏感だから、そんなに強くなめたらぁっ♡ ひぃぃっ♡」
「じゅる……アリサのおまんこ汁、おいしいぞ……れろぉ」
「そんなぁ、卑猥すぎるぅ♡ シンヤがわたしの一番エッチな汁を味わってるぅ……んひぃっ♡」
「最初はこんなにどうしようもない変態女だとは思わなかったよ。じゅるるるっ……」
「ひゃあぁっ♡ で、でもこれはしょうがないんだ……! 魔痕のせいだからぁ……もっとしてぇっ♡ あぁんっ♡」
 あくまで魔痕のせいにするアリサ。その秘所から唇を離すと、惨憺たることになっていた。
 シーツまでぐっしょりと愛液が染み込み、割れ目はドロドロになってしまっている。いまだ割れ目は快楽を待ち望み、ヒクヒクとわなないていた。
 すっかり快楽の虜になってしまったアリサは、自ら足を開き、割れ目をくぱぁ、と指で開いて、挿入を懇願してきた。
「頼む……犯してくれ……♡ わたしのここに、ちんぽを突き込んでくれぇ……♡」
 帝国騎士団の一員として格好良く活躍していたアリサの痴態。
 魔痕の力は、刻み込まれた当人の本性をより強めるだけに過ぎない。彼女の変態性は、もともと彼女の中に秘められていたものだ。普段潔癖を装っているのはその裏返しで、アリサはただのむっつりスケベなのだった。
 俺は彼女の誘惑に興奮を抑えられず、慌ただしくバスローブをはだけ、屹立した肉棒をさらす。
 ぬらぬらと先端が先走りで濡れた、醜い肉棒。ガチガチに勃起している。
「ちんぽ♡ はやく、シンヤのちんぽを……♡ 頭がおかしくなりそうなんだ……頼むぅ……♡」
 俺は、これまで犯してきた女の子たちのおまんこの感触を思い出していた。あの、柔らかくてヌルヌルで、肉棒を抱擁してくるような感触。
 あれをまた味わると思うと全身が興奮で震えるようだった。
「いれるぞ」
「はやくぅ♡ そのガチガチに固いちんぽを、わたしに……んひぃっ♡ 来たぁ♡」
 アリサはシーツをぎゅっと掴みながら、唇の端から涎を垂らして悦ぶのだった。
 俺の方も、アリサの軟体動物のような膣が締め付けてくる感触に、獣のような声が漏れてしまう。一番奥まで挿入して、すっぽりとアリサの中に肉棒が収まると、その心地よさでどうにかなりそうだった。
「ぐぅ……」
「シンヤぁ……♡ シンヤも、気持ちいいか? わたしのおまんこの具合はどうだ……♡」
「ヌルヌルで最高だよ……」
「シンヤのちんぽも、太くて、最高だ……♡ 突いてくれぇ……んあぁっ♡」
 俺が、ピストン運動を始めると、アリサは可愛い喘ぎ声をあげて、よがり狂う。
 童貞を卒業したばかりの頃はぎこりなかったこの動きも、今では慣れたものだ。浅いところまで引き抜いた後、子宮口に当たるまで押し込む。
 俺はヒダヒダの絡みつく様子を楽しみながら、存分にナカを掻き回した。ただ滅茶苦茶に突きまくるのではなく、アリサが気持ちよくなるように、肉棒を円を描くように動かしたり、亀頭でへその裏側を擦るように動かしたりする。ヌチャヌチャとトロみのある愛液が卑猥な音を立て、アリサがたまらなそうに舌を突き出す。
「うまいぃ……♡ そこだぁ、そこをもっとしてくれぇ♡ んひぃっ♡」
「お前のおまんこの良いところは、全部お見通しだ……」
「シンヤのちんぽ、気持ちよすぎるぅ♡ わたしはもう、シンヤがいないとダメだぁ♡ シンヤがいないと死んでしまうぅ♡」
「アリサ……」
 すっかり俺の腰使いに夢中になって、後で思い出したら死ぬほど後悔しそうなことを言うアリサ。なんだか俺までアリサへの愛情が抑えられなってきてしまって、アリサの唇に吸い付いた。
「んちゅぅ♡ シンヤぁ……♡ べろちゅうしよう♡ 舌を出してくれ♡」
「アリサ……!」
「れろぉ♡ んん……んぅ」
 望み通りに舌を入れて、アリサの舌と絡み合わせる。興奮を示すヌメった唾液が混じりあってくちゅくちゅといやらしい音を立てる。
 腰を振り立てながら限界が近いことを察した。精液が奥から込みあがってきて、もう我慢ならなかった。
「シンヤ、シンヤぁ♡ イク、イクぅ……♡ んんっ!」
 アリサが絶頂して、体をビクビクと震わせた。きゅうっと締め付けてくる膣が気持ちよすぎて、俺は限界まで腰を振った後、一気に肉棒を引き抜いた。
 びゅるるるっ! びゅくっ! びゅうううっ!
 強烈な快感とともに、精液が何度も迸っていく。
 濃くてねっとりとした白濁液が、アリサの下腹部にべっとりとこびりついていった。
「んあぁ……♡ シンヤぁ、すごい量だぞ……♡」
 アリサは俺の子種汁を指ですくって、嬉しそうに言うのだった。


 翌朝起きると、隣でアリサがすやすやと気持ちがよさそうに眠っていた。
 しっかりと俺の腕にすがりついて、ほっぺたを寄せている。
「やっちまった……」
 俺は昨晩のことを思い出して、頭を抱えるのだった。
 あの後、発情しきったアリサを前に一発で我慢できるはずもなく、獣のように何度も交わってしまった。アリサは体力が尽きるまではしたなく喜悦に顔を綻ばせ、俺の精液を受け止め続けた。
 今も、隣で眠る彼女の身体には俺の精液の匂いがこびりついて、昨日の情事の激しさを物語っていた。
「こんなつもりじゃ……」
 一度セックスを始めると、気持ちよくて止まらなくなってしまうのだ。アリサのおっぱいやおまんこの感触――あんなに心地いいものが簡単に手に入るのは危険なことだった。こんなことでは、いつか俺は彼女たちの女体に溺れ、どうしようもないダメ男になってしまうかもしれない。
 反省しなければならないが、どうすればこの悪循環を止められるのかわからなかった。
 ため息をついて、俺はまず手始めに、隣で眠るアリサを起こすことから始めることにした。
「アリサ、おい、アリサ……」
「むにゃ……シンヤぁ♡ もっとぉ♡」
「寝ぼけてないで、朝だぞ。アリサ!」
「……ん?」
 ゆっくりと目を開けたアリサは、俺と至近距離で目を合わせて、ぱちぱちと瞬く。
 裸の俺を見て、次に裸の自分を見て、その顔が一気に真っ赤に染まった。
「……ひいいいいいいいいっ! またやってしまったぁぁぁぁっ!」
 飛び退って、布団で体を隠し、わなわなと体を震わせる。
「そんな……お、思い出したぞ、わたしは、わたしは……!」
 枕に突っ伏し、くううううう、と恥ずかしさで悶絶するアリサ。
「し、死にたい……。 わ、わわわわたしはなんてことを……! こ、殺せぇっ殺してくれぇっ」
「待て、待てって。早まるな」
「顔から火が出るぅ……! な、なんて下品な、なんて卑猥なっ」
「まあ、確かに昨日はすごかったな。ベストスリーに入る乱れっぷりだったぞ」
「言うなぁっ! 全部忘れろぉっ、忘れてくれぇ……! 魔痕のせいだからぁ!」
 俺の肩を掴んでガシガシと揺さぶってくるアリサは涙目で、可哀想だけど、どうしようもなく可愛かった。
「わかった、わかったから。忘れるよ。まあ、めちゃくちゃ気持ちよかったしいいだろ」
「き、気持ちよくなどないっ! ないったらないっ!」
「そうだな、俺も全然気持ちよくなかった。うん」
「そうだ、それでいいんだ……ううぅ……死にたい……誰か殺してくれ……」
 アリサはぐすん、ぐすんと鼻をすすりながら、とぼとぼとシャワーを浴びに行くのだった。
 みじめな女騎士のその姿を見るのは、それでもやっぱりちょっと楽しくて、アリサとのセックスはいつまで経ってもやめられないのかもしれないなぁ、と思うのだった。
 俺は、アリサがシャワーを浴び終わるまで、魔痕を刻んだ女たちとのセックスを思い出していた。
 こういう風に、翌朝になって情事を後悔する女の子もいるが、逆に俺とのセックスの楽しさを覚えて、ハマっていく奴もいた。リリスなんかは特にそうだし、ハーナルもそのたぐいだった。
 そう、ハーナル――俺の初体験の相手。
 彼女が早くこちらの世界に来ないかと思いながら、俺は童貞を卒業したときのことを回想した。

「剣と魔法の世界からお持ち帰りしました」が追加エピソードを加えて電子書籍化しました!5月28日(日)の17時より無料配布キャンペーンを開催!
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<電子書籍>剣と魔法の世界からお持ち帰りしました<期間限定無料配布>


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「剣と魔法の世界からお持ち帰りしました 1 女騎士アリサ」 99円


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試し読みはこちら

(表紙の画像について)
タイトル:[ジュエルセイバーFREE]
URL:[http://www.jewel-s.jp/]


(あらすじ)転生者シンヤは、魔王との最終決戦に臨んでいた――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないということだったが、その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していく。
シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったわけだが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 誘惑我慢系エロラノベ。

☆今回、ノクターンノベルズやこのブログで読んでいただいている方に感謝を込めて期間限定の無料配布を実施!
5月28日(日)の午後5時から無料キャンペーンを行います。(終了日は未定)
ぜひ無料になっているタイミングで購入して読んでみてください。こちらの裁量でキャンペーンを終了するタイミングを決めるので、出来るだけ早く手に入れてくださいね。(販売サイトはこちら

Amazonを通してたくさんの人に自分の小説を呼んでもらいたいという思いがやっぱり強いので、こういうキャンペーンを行ってみました。他作品についても、今後稀に無料配布を行っていくつもりなので未購入の小説がある方はお見逃しなく!
 (終了しました)

一巻は、異世界に転生したばかりの頃の冒険のほか、女騎士アリサとのHシーンがメインになり、全部で約45000字のボリュームとなっています。
アリサは普段はエッチなことが苦手で、騎士らしいしっかりした態度を取っているけど、魔痕が疼くとデレデレになっちゃう、みたいな女の子です。

今回もノクターンノベルズ版に掲載する予定のない追加エピソード付きになっています。
内容はこちら。
(追加エピソード「変態女騎士アリサ」あらすじ)
日本で生活するシンヤたち四人は、アダルトショップを訪れていた。元の世界にない卑猥なグッズを前に色めき立つ女の子たち。グッズを購入するリリスやマリアと違い、女騎士アリサは卑猥な物事を嫌い、何も買おうとしない。しかし、ある日シンヤは、リリスにアリサの部屋で面白いものを見たと伝えてくる……

アリサがオナニーするところを目撃してしまう話ですが、リリスもHな方面で活躍する感じで、約10000字の内容になっています。
今回は追加エピソードの一部を公開!

……
 女の子たちだって、性欲があるというのは、俺が異世界に行ってから学んだことの一つだった。
 俺は、魔痕を刻んだ女の子たちとついついセックスをしてしまうが、これはあくまでついついであって、俺が強要しているわけではない。
 魔痕は、彼女たちがもともともっている性欲をより強め、王である俺の子種を欲するように誘導するに過ぎない。その効用は補助的なものであり、彼女たちはもともと持っているムラムラを強烈に膨らませられ、俺にぶつけないではいられなくなってしまうのだ。
 つまり、女の子たちはエロいことにもともと多少興味がある。
 もちろん半数以上の女は男ほど性に興味津々ではなくて、条件がそろった時に発情して男が欲しくなる程度なのだろうが、俺はその例外を見つけた。
 性欲を持て余しているくせにひたすら隠し、潔癖なふりをする女。
 もしかしたら魔痕を刻まなくても、十分変態なのではないかと思う女がいた。
 これは、そのことがよりはっきりと認識されたとある事件の話だ。


 きっかけは、リリスの言葉だった。
「ニッポンには、男と女の睦言をより楽しむためのグッズがあるというのは本当かしら♡」
 四人で夕食を食べていると、急にそんなことを俺に聞いてきたのだ。
 睦言をより楽しむためのグッズ――アダルトグッズのことだろう。どこで情報を仕入れてきたのかわからないが、セックス大好きなリリスなら気になって当然の物だ。
 アリサはお茶を吹き出しそうになりながら赤くなって言った。
「ぶっ! 睦言を楽しむ……そんなものがあるわけないだろう!」
 マリアは別に平然とした様子で、もぐもぐしながら尋ねてくる。
「そうでしょうか……どうなんですか、シンヤさま」
「ああ、あるぞ。アダルトグッズってやつな。そんなことどこで聞いたんだ?」
「この間シンヤにもらったPCで調べたの。検索、っていうのを使ってね。うふふ、このニッポンには変態な方々がたくさんいるのがよくわかったわ♡ ものすごい種類のグッズが出てきたの」
「種類……そんなに……」
 アリサは耳まで赤くなっている。マリアは、興味を惹かれたようで、目をキラキラさせている。
「そんなに種類があるのですか? ちょっと気になりますわ。具体的に、どういうグッズがありますの?」
「あのな……。こういう話題は、食事の時にするもんじゃないだろ。今度、教えてやるよ。実際に売ってるところを見に行こう。実は近くにショップがあるんだ」
 裏通りにあるアダルトショップ。
 大学の男友達と、ふざけて遊びに行ったことを思い出していた。
 かなり大きなショップで、品ぞろえは少なくともこの付近では一番だ。そんなところに知識のない彼女たちを連れて行くのは、我ながらすごいことをしているなと思いながらも、純粋な彼女たちの反応が気になってしまって、俺はついついそう約束してしまった。
……

こちらの小説、なんと価格が99円!
AmazonKDPの個人出版最安値に設定してあります。異世界美少女シリーズの一巻として設定してありますので、お試し程度に読んでいただければと思います。
二巻以降は価格を通常に戻して順次販売していく予定です。
ぜひ、よろしくお願いします。(ご購入はこちら

「グラビアアイドルが義姉になった! 涼音編」を最初から読む
他の書籍化作品



剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(6)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

夏の約束 ~お姉ちゃんとひと夏の思い出~ ダウンロード販売
〈日本――3〉

 出会った当初のことを思い出しながら、アリサのことをぼんやり見ていると、不思議そうな目線を向けてきた。
「ん……? わたしの顔に、何かついているか?」
「いいや。アリサと初めて会った時のことを思い出していただけだ」
「そうか。わたしなんかのことより、この椅子、すごいぞ。こんなにもフカフカだ!」
 アリサは、革張りのどれだけ値が張るのかわからないソファに座っていた。お尻でその感触を味わい、感嘆した様子で背筋を正している。
 普段の騎士鎧と違い、女の子らしい洋服を着ているせいで、余計にその姿は魅力的に見えた。
 俺たちは今、新しい住まいでくつろいでいる最中だった。超高級マンションの一室――選ばれた者だけが住まうことを許される、最上階の部屋に、堂々と入室していた。
 エントランスからこの部屋に至るまで、制服を着た品の良い従業員たちが、歓迎してくれた。
 ホコリ一つ落ちていないカーペットの上を歩き、辿り着いた最も高級な一室が、この部屋だったわけだ。
 何畳あるのかわからないほどの広さ。
 俺たちのために用意された、どれだけ高価なのか測り知れない瀟洒な家具たち。テーブルの上には大ぶりの花が活けられた花瓶が置かれている。
 空気に漂う香りすら品がよく、まさに至極というべき空間だった。
「わあぁっ! 美しい風景ですわ! 宝石がちりばめられているみたい!」
 マリアは、全面ガラス張りの窓に両手をぺったりとくっつけて、眼下の風景を望んでいた。その瞳は、憧れる少女のように、キラキラと輝いている。
 外は暗くなり始めていて、最上階であるこの部屋から見える夜景は、とてつもなく豪華なのだった。
「さすがとしか言えないわね……ほら、これを見て! この箱に、こんなにも美味しそうな食材が用意されているわ」
 リリスは、キッチンにある大きな冷蔵庫を開けて、中をしげしげと眺めている。既に高級な肉や野菜が用意され、調理される時を待っていた。
「ハーナルがいたら、さぞ美味しい料理を作ってくれただろうな」
「彼女はまだ、こちらに来ていないの? シンヤが呼べば、すぐについてきそうだけれど」
「あいつはもう少し後に、こっちに来てもらうことになってる。ハーナルが来たらすぐに、そのキッチンでご馳走を作ってもらおう」
「楽しみね、シンヤ♡」
 リリスは完璧で魅惑的な笑みを浮かべる。
「わたくしの城より、豪華かもしれません! ありがとうございます、シンヤさまっ!」
 窓辺からマリアが嬉しさで居ても立っても居られない感じで駆けてきて、飛びつくように俺に抱き着いた。柔らかいふくらみが押し付けられて、ドキリとするが、それが表に出ないように努める。
「こんなのは大したことないよ。もっと素晴らしい所にこれからも連れていってあげよう」
「本当ですこと!? シンヤさまの妻に慣れて幸せですわっ! うふふっ」
 満面の笑顔を見ていると、幸せな気分だ。そんな表情にしてあげられることほど嬉しいことはなかった。
 俺とマリアがイチャイチャしているのを見て、残りの二人はちょっと不満そうにしていた。
「お、おい、マリア……少しくっつきすぎじゃないのか?」
 アリサはなんだか羨ましそうな表情でこっちを見ていた。
「そうやってシンヤの好感度をあげようとするなんて、マリアはあざとい子ね♡」
 リリスは見透かしたように言うが、マリアは心外とばかりに反論する。
「違いますわ、わたくしは本心を申し上げただけのことで……」
「い、いいから抱擁をやめろっ。はしたないぞっ」
「この程度ではしたないだなんて……アリサさんは潔癖すぎますわ。わたくしたちは何度も身体を重ねた関係ですのに」
 マリアは頬を膨らませて俺から離れ、近くにあった椅子に腰を沈めた。
「潔癖なんかじゃないっ、こ、これが普通だ……!」
「まあまあ二人とも、仲良くしましょ♡ シンヤの前で喧嘩だなんて、それこそはしたないわよ?」
「い、言われてみればそうだな……」
「その通りでしたわ」
 二人は反省したように黙り込んだ。リリスが収めてくれて助かった。
 場が整ったところで、俺は全員に声が行き渡るように話し出した。
「三人とも、聞いてほしいことがある。ここでの暮らしのことだ」
 女の子たちは従順に俺の顔を見つめ、次の言葉を待った。主である俺の言葉に従わないという選択肢は、とっくに彼女たちの頭からは消えている。
「みんなは、このニッポンにはまだちっとも馴染んでいない。この国の人々の考え方や、生活、決まりを知らないだろう? そんな状態で外に出るのは、危険なことだ。だからしばらく、準備が整うまで、勝手に出歩くことは、禁止する。俺と一緒か、俺が許可したとき以外、この城から出てはいけない」
「いいだろう」
「シンヤの言うとおりね♡」
「もちろんですわ」
 三人は、異存なく神妙に頷いた。
 俺の手の甲に刻まれた、王の証たる魔痕が、彼女たちがしっかり俺に共感していることを伝えてくる。
「準備には少し時間がかかるかもしれないが、そのうち外に出れるようにすると約束しよう。学校に通ったり、仕事をしたり……それぞれがニッポンの暮らしを楽しむことが出来るよう俺も手伝う。その最初の一歩として、三人に俺が名前を与えたい」
「名前、か?」
 アリサはどういうこと? という感じの顔をしていた。
「今のままの名前では、この国には馴染みにくい。このニッポンで暮らすのにふさわしいように、俺が名付けるということだ。まずはアリサ、お前の名前は、〈有紗〉(ありさ)だ」
 俺は部屋に備え付けてあったメモに、漢字でそれを書いて見せた。メモを切って渡すと、しげしげと眺めていった。
「有紗……これがこの国の文字か。なかなか格好いい雰囲気の字だ」
 アリサはそれを見て気に入ってくれたようだ。
「そして、リリス。お前は今日から、〈璃々〉(りり)だ」
「シンヤに新しく名前を付けてもらえるだなんて、嬉しいわ♡」
「そして、マリア。お前の外見はどう見ても日本人ではないけど、折角だから日本人らしい名前を付けよう。〈麻理亜〉(まりあ)。これが今日からの新しい名だ」
「なんだか、ニッポン人に一歩近づけた気がしますわ」
 三人とも、不満なく俺の命名を受け入れてくれた。
 俺は魔痕の効力で、彼女たちに無理な要求をしないと決めていた。
 彼女たちが嫌がることを強制的に受け入れさせることは確かに可能だ。しかし、そんなことをして彼女たちの意思を捻じ曲げることにあまり価値を感じていなかった。
 だから、彼女たちが新しい名を喜んでいるのは本当のことだ。共感の絆で繋がれているがゆえに、感性が似通っていくことはあるにしても、喜びの感情は彼女たち自身の中から湧き上がったものだ。
 これでようやく、三人をこの国に適応させる準備が整った。うまく適応できるだろうか? 特にアリサなんかは頑固だからちゃんと順応できるか不安だが、苦戦する様子を見るのもちょっと楽しみではある。
「さて、ハーナルがいれば夕飯を作ってもらったんだが、あいにくまだこちらに来るのに時間がかかりそうだ。今日の夕飯はこの国伝統の料理を出前で頼もう。その名も寿司だ」
「すし……どんな食べ物なのかしら?」リリスは楽しみそうにぺろりと唇を舐めた。
「温かい米の塊の上に、新鮮な生魚の切り身を乗せたものだ。美味しいぞ」
 その後、三人が寿司を食べ、驚愕の表情でその美味しさを喜んだことは言うまでもない。
 夕飯を食べ終わると、マリアはお腹いっぱいになったのか、ソファで静かな寝息を立てながら眠ってしまった。
「すぅ……」
 幸せそうな寝顔。アリサとリリスと三人で、頬をつついて遊んでも起きることはなかった。異国を練り歩き、慣れない地ではしゃいだ。きっと少し疲れているはずだ。放っておけば、きっと朝まで寝ているに違いない。
 布団をかけてあげて、そのまま寝かせてあげることにした。
「さて、そろそろ湯浴みをしたくなってきたわね。この近くに、綺麗な水の泉はあるかしら?」
「泉に行く必要はない。屋内にある風呂に入るのが、ニッポンに暮らす者のたしなみだ」
 俺は浴室に二人を案内しに行ったが、そこでも俺は設備の高級さに驚くことになった。
 まるで旅館のような広さの湯船、そしてシャワーなどが、部屋一つ一つに備え付けられていた。それぞれの機能を教えていくと、二人はいちいち感心するのだった。
「街にも似たような施設があったわね。あれは魔力で綺麗な水を生み出して、身体を清めるというものだったけど、こっちのほうがよほど便利だわ」
「湯船に浸かると気持ちがいいぞ。試してみるといい」
「シンヤと一緒に湯浴みをしたいわ♡」
「そ、そんな、男女で共に湯浴みなど……!」
「今日はそういう気分じゃない。また今度な」
「相変わらずつれないわね、シンヤは。でもそこがまた素敵だわ♡」
 リリスはうふふ、とすっかり俺に夢中な様子で微笑むのだった。
「このフロアの部屋は、全て俺たちのものだ。順番に、マリア、リリス、アリサ、俺、というように振り分けよう。基本的に寝るときは自分の部屋で寝るんだぞ」
「今晩は一緒に寝ない……♡?」
 体を寄せて誘惑してくるリリス。人ならざる存在である彼女はほとんど毎晩俺の身体を求めてくるから、言うことを聞いているとキリがない。彼女たちの王として、節度ある態度をとるべきだ。
 リリスの身体の柔らかさ、女らしい甘い匂い……それらを感じてムラムラしてくるのを隠して、俺は冷静にそれを拒否した。
「今日はダメだ。魔痕の疼きが本当に我慢できなくなった時だけにしろ」
「えぇ? 我慢できないから言ってるんじゃない♡」
「マリアもアリサも、ちゃんと我慢しているぞ。そんなにだらしがない女を近くに置いたつもりはない」
「素直じゃないんだから♡ でも、そういうところも好きよ♡ また明日、シンヤ」
 リリスは投げキッスをして、割り当てられた部屋に帰っていった。

〈日本――4〉
 
 俺は豪華な風呂に浸かり、高級な石鹸で体を洗い、身体を清めた。
 こんなにも荘厳な風呂に入ったのは初めてだったから、最初は緊張してしまって、それほどくつろげなかったけど、お湯につかっているうちに気分が落ち着いてくるはずだ。
 とりあえず、今日一日の出来事を思い返して、幸福感に浸る。
「ふぅ……それにしても、あいつらと日本で暮らせるだなんて……」
 異世界で出会い、山あり谷ありだったが楽しい冒険を過ごした彼女たち。マリアは冒険のパーティーに入っていたわけではないが、こちらの世界に連れ帰る時に真っ先に思い浮かんだわけで、仲が良かったし、魅力的な女の子だ。
 日本に来て、あんな風なリアクションをしてくれるのを見るのはなかなか楽しいものだった。これからどういう生活を遅らせるか、俺はしばし考える。
 アリサは、制服を気に入っていたみたいだった。女子高生として、高校に通わせてみるのは面白いかもしれない。マリアと二人で女子校に行かせてみたらどうなるか、想像すると笑ってしまう。
 リリスは、大人のお姉さんという感じで、女子高生という見た目ではないから、どうするか考えどころだった。三人の中では一番賢いし、普通に社会人として働かせてみるのもいいかもしれないが、これといった職業がまだ見つからない。
 色々考えているとのぼせてきた。
 気が抜けて、さっきまで律していた自分が、段々と緩み始める。
 三人といる時は、基本的に俺は我慢していた。あんな美人たちと一緒にいて、魔痕の力でいつでも俺の言うことを無理やり聞かせられるのだ。油断したら、セックスしかしない爛れた生活になりかねない。
 こうして一人になると、さっきリリスやマリアにくっつかれた時の感触を思い出して、股間が膨らみ始めてしまう。
 女の子たちは、近くにいるといい匂いがする。つけているだろう華やかな香りと、彼女たち自身の身体の甘い匂いが混ざった、なんともいえないそそられる匂いだ。
 柔らかいおっぱいの感触。三人とセックスしたときに何度も触ったり揉んだりしていたが、それでもああして体に押し付けられると、興奮してしまう。
 普段の生活での出来事だけでも、十分誘惑だらけなのに、彼女たちは積極的に俺を求めてくるのだ。魔痕を刻んだことによる副作用のようなものだ。
 おかげで、こんなにも律しているのに、ついつい俺は彼女たちと体を重ねてしまった。俺の身体を撫でまわし、俺をその気にさせようとあらゆる手を尽くしてくる彼女たちに負けてしまった。
 卑猥な言葉で誘い、体を差し出し、挿入を懇願してくる姿――脳裏に焼き付いてしまっていて、いつまでも俺は忘れられないだろう。女の子の秘所から漂う、発情を示すいやらしい香り、ぐじゅぐじゅに濡れそぼった蜜壺……こうして思い出していると、股間が完全に勃起してしまう。
 一人で浴室にいるせいか、独り言が出てしまう。
「やっぱりみんな、可愛いなぁ……あんな子たちが俺とセックスしたがるだなんて、今でも信じられないや」
 正直、俺は異世界に行く前、童貞だった。
 彼女が出来たことがなく、女友達ともそれほど仲良くすることもなく、そういうことには縁のない生活を送ってきた。
 そんな俺が異世界に言ったとたん、魔痕を刻んだ女の子たちから猛烈なアピールを受けたのだ。混乱する他なかった。最初に魔痕を刻んだハーナルに誘惑され、挿入を懇願され、童貞を卒業したときは信じられない気持ちだったものだ。
 今でも、女の子たちとセックスするときは、身構えてしまうし、誘惑されたら、どうしようもなく興奮してしまう。三人を前に堂々とし、誘惑をクールに拒んでいるのは、相当無理をしてのことだった。本当は、可愛くてかわいくて、セックスしたくてしょうがないのだ。
 勃起が止まらないまま、俺は風呂を出た。
 バスタオルで体を拭いて、部屋に用意されていたバスローブに着替える。バスローブの前がもっこりと盛り上がり、誰が見ても興奮しているのが丸わかりだった。
 こんな姿を三人に見られるわけにはいかない。今、リリスの部屋に行って襲い掛かれば、それこそ彼女は喜んで受け入れてくれるだろうが、そんなことをする気はなかった。彼女たちの支配者として、自分から求めるのでは格好がつかない。
 そういう風に考えて、大人しく勃起が収まるのを待とうとしていた時だった。施錠していなかった俺の部屋のドアが開き、申し訳なさそうに入ってくる人物がいた。
「シンヤ……その……」
 アリサは、ぼんやりとした顔で、俺を上目遣いしていた。瞳が潤み、口はだらしなく開いてしまっている。
 その下腹部に刻まれた魔痕が、限界を示して紫色の光を強めているのが、服の上からでもわかった。
<書籍化>ふたなり女学園へようこそ 上<完全版>
<電子書籍>やんデレはーれむの作りかた 上<リライト>


剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(5)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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 ハーナルは農産物を売りに通っているだけあって、街のことをよく知っていた。自信のある足取りで、ぐんぐんと進んでいく。
 俺はそれを信用してついていったが、入り組んだ道を進みながら段々と街の中心から離れつつあることに疑問を抱かざるを得なかった。
「さっきから、いくつ何件も武具屋を通り過ぎてるが大丈夫か」
「その質問を待ってました。えへん」
 ハーナルは人差し指を立てて、得意そうな顔をした。
「わたし、ちゃんと考えたんです。きっと、普通の武具屋さんは今、ほとんど品切れだと思うんです」
 確かに見た感じ、武具屋はどこも品薄で、完売してお店を閉めているところもあった。
 今この街にいるのは、ハーナルの父や兄のように、もともと武器を持っていないのにも関わらず召集された者たちや、今回の戦争で一稼ぎするために来た者たちが大半だろう。それにも関わらず、皆格好いい剣や盾、防具に身を包んでいる。彼らがこの街に到着して、真っ先に考えたのは、俺たちとおそらく同じ、ちゃんとした装備を整えること、だったのだろう。
 武具屋に殺到して、あっという間に装備、武器を買い漁ってしまった。
 もちろん、自慢の武器を持ち寄っている者たちもいるだろうが、少数派だろう。
 そういうことをハーナルに力説されて、納得させられてしまった。感心していると、得意満面な笑顔を浮かべた。
「えへへ、わたし、役に立ってますよね?」
「そういうことを自分で言われると、褒めてやる気も失せるな。あんまり調子づくようなら村に帰ってもらうぞ」
「その言い方はさすがにひどいですよぉ、折角いいこと教えてあげたのにぃ」
 頬をむくれさせるハーナルをあやすのは面倒だったが、勝手に喋り続けてくれるおかげで気まずくならないのは楽でいい。内心では、いい子だなと思っていた。
 さらに歩き続け、すっかり寂れた地区に来てようやく、ハーナルが立ち止まった。目の前には、人のいない廃墟があるのみだ。
「ここです。じゃーん」
「なんにもないじゃねえか」
「表には簡単に顔を出さないんです。知る人ぞ知るお店ですから」
 そう言って、ハーナルは廃墟の中へと入っていく。本当にこの村娘についてきてよかったのかと不安になりながら、俺は一人で待った。
「フレイさん、いますかー」
 そんなハーナルの声に、廃墟の中から別の声が答えた。
「おっ、ハーナルじゃないか」
 こんな廃墟だ。みすぼらしい人間が出てくるのかと思いきや、ハーナルに連れられて現れたのは、眼光の鋭い女だった。
「新しいお客さんかい? わたしはフレイ。武具屋、〈レージングル〉へようこそ」
 妙にボーイッシュな喋り方をする女だった。
 とはいっても、容姿は美人の類だ。長く伸ばした赤髪と、胸元を押し上げる柔らかそうな膨らみが、女であることを主張している。革の生地で出来た格好いい感じの服からも、すべすべとした白い肌が覗いている。
 フレイは、俺を妙な奴を見るような目でじろじろと見た。Tシャツにジーパンという、この世界ではありえない姿をしているのだから仕方ない。
「この男は昔話してた婚約者か? 村の農家の息子っていう。変わった服装をしてるな」
「違うんです。冒険者の方で、シンヤさんと言います。偶然わたしの家を訪ねてきて、今は案内してあげてるんです」
「ほう……? まあいい。あたしの考えたところだと、おそらくこの男の装備を整えに来たんじゃないかな?」
「そういうことだ。どんな装備があるか、見せてもらえないか?」
 俺が言うと、フレイは軽く唇を噛んで、どう言おうか考える素振りを見せた。
「うーん……実は今、この〈レージングル〉でも品を切らしちまってるんだ。どこの武具屋もそうだとは思うけどな」
「えぇ!? 品切れなんですか? そんなぁ……」
「おいおい、どうしてくれるんだよ、ハーナル」
「ご、ごめんなさい……ここまで来てもらったのに。許してくださいぃ……うえぇ」
 そこまで強く言った気はないのに、急にぐずぐず泣き出すハーナル。
「すぐ泣くなって。面倒くせえから」
「で、でもぉ……わたしが連れてきたせいで無駄足を……なんでもしますからぁ、ぐすん、おいしいご飯だけは、おいしいご飯だけはぁ」
「わかった、わかったって。だから一旦泣き止んでくれ」
 ハーナルが俺の足元にくずおれて泣くのを見て、フレイはドン引きしながらも困り顔で言った。
「お前ら、どういう関係なんだ? ……ともかく、武具自体は、実は、ある。だから泣くな」
「あるんですか!」ハーナルがぱっと顔を明るくする。
「あるんだが……とある事情で、売りに出せない状況でね」
「それは、俺たちが聞いていい話か?」
「〈レージングル〉の客には、この話をした上で物を売ってる。シンヤと言ったか、他の者に口外しないのなら、教えてもいい」
「もちろん黙っておくよ」
「ハーナルの友人なら信用できるな」
 約束すると、フレイはぶっ飛んだことを言うのだった。
「〈レージングル〉は、盗品で商売をしてるんだ。戦場で死んだ戦士たちが使っていた剣や鎧を拾い集めて売ってる。死人が着ていた鎧を着るのは薄気味悪い、と言う奴もいるが、あたしは気にしちゃいない。そして、わたしが客として相手するのは気にしちゃいない奴らだ。あんたはそうかい?」
 盗品での商売。だから、こんな辺鄙な場所に隠れ住んでいるのかと納得がいった。
 ハーナルが、再び申し訳なさそうに縮こまっている。
「そのこと、伝えないでここに連れてきちゃってごめんなさい……」
「別に問題ないよ。俺はそういうことは気にしないタイプだ。とにかく武器も防具もなくて困ってる」
「最近はそんな奴らばかりだ。あんたらみたいな、これまでまともに戦闘したことのない奴らが付け焼き刃の装備を買って戦場に出ると、あたしらが再び回収しに行くような羽目になることが多くてな」
 つまり、俺が戦死して、その死体から再び装備を剥ぎ取ることになると言いたいのだろう。ハーナルが見かねて口を挟んできた。
「失礼ですよ、フレイさん。シンヤさんは遠方の地からはるばる来た冒険者様ですからねっ!」
「冒険者か……そう名乗るのならば、多少は実力を認められているのだろう。いいだろう、それなら装備を売ろう。条件付きなら、タダでくれてやってもいい」
「タダでいいんですか!?」
 ハーナルは信じられないという風に言った。
 一方俺は、条件、という言葉に妙に引っかかっていた。何かわけありそうな話に引っ張り込まれるのを感じながらも、装備を手に入れるためならば、引き返すつもりはなかった。
 折角の異世界ライフ、魔物と戦って冒険するというのがロマンというものだ。多少の綱渡りくらいしないと面白くない。
「いったいどういう条件だ?」
「話に乗ってくれそうな手合いで嬉しいよ。さっき説明した通り、あたしは盗品商だ。そして、この街は戦争に向かって盛り上がっている。やることは一つに決まっているだろう」
「というと?」
「戦争開始までもうわずかだ。全身をしっかり装備で固めた戦士たちが、魔物退治のために一斉に戦場に出る。あたしの読みでは、魔物の大群に押されて、大半の戦士たちはそこで命を落とす。アスガルドの存亡も危ないと思っている」
 衝撃的な発言。相変わらず鋭い瞳をしたフレイがほらを吹いている様子はないし、その言葉には、彼女の経験に裏打ちされた確証がありそうだった。
 ハーナルはとんでもないとばかりに反論した。
「そんなことないです! みんな一生懸命準備してます。アスガルドは魔物たちの手に落ちたりはしません!」
「ああ、すまない。ハーナルの兄と父は戦場に向かうのだったな。彼らぐらいの実力があれば引き際を見極めて戻ってくることは出来るだろう。安心しろ。だが、アスガルド自体は十中八九、このままでは滅ぶぞ」
「どうしてそこまで言えるんだ?」
「それについては後で説明しよう。とにかく話を戻すと、戦場で多くの者が命を落とす。つまりあたしの買い入れ時ってわけだ。出来るだけたくさんの剣、槍、弓をかき集めたい。そこで必要になるのが、人手だ」
「手伝ってほしいってことか」
「もともと何人か雇おうと思ってた。装備を売れないというのは、〈レージングル〉自身が装備を身に着けて戦場に出るためだ。あんたがその一人になるというのなら、タダで装備をくれてやる」
 フレイの提案は悪くないものだった。
 俺はまだ自分の戦闘での実力を測り知れないでいる。最初は〈レージングル〉に協力しながら、戦場がどのようなものか様子見をするくらいがちょうどいいんじゃないだろうか。
「戦場で得た武器や装備を譲ってもらうことは出来るか?」
「もちろんだ。今回の戦争はかなりの大漁になる見込みだ。気に入ったものをいくつか持ち帰られてもどうってことはない」
「決まりだ。その話、受けよう」
「ありがとよ。戦争が始まったらまたここに来てくれ。その時に出来るだけ良い装備を渡そう」
 意外にも、おいしい話にありつくことが出来た。
「でかしたぞ、ハーナル。お前のおかげで色々うまくいきそうだ」
「えっ、そうですか? えへへ、急にそんなに褒められると照れちゃいますよぉ」
「それじゃあ、また会おう、シンヤ」
 フレイがそう言って、廃墟の中に戻っていこうとするところに、ハーナルが慌てて頼み込んでくれた。
「あー、そのことなんですけど……簡単な装備だけでいいので、シンヤさんに今渡してあげられませんか?」

〈ア―ク――4〉

 俺はフレイにもらった服を着て、ようやくこの街の風景に馴染むことが出来た。
 一般的な冒険者の服装。魔獣の革や毛で編まれた防具に、そこそこいい感じの剣や盾。着てみると、自分がRPGに出てくる勇者になったような気分で、ちょっと嬉しかった。
「やっぱりこっちのほうが格好いいですよ!」
 ハーナルも俺の姿を見て上機嫌になった。
 しかし、どうすればいいのか、と途方に暮れる物事に思い当ってもいた。
 ここまで、自分は転生者としてステータスが優遇されていると思っていた。実際、体力は以前よりはるかに高いのはこの街にたどり着くまでの徒歩でわかった。でも、一つ不安なのが、戦い方がわからないことだった。
 試しに、さっき剣を振ってみたのだが、いまいち体にしっくりこない。
「なんだかへっぴり腰じゃないですか?」
 ハーナルにもそう言われてしまい、不安になってしまった。
 女神に転生させてもらった際の言葉を思い出す。俺にはそちらの世界での一般人より高い能力が与えられる。そう聞いていたはずだった。どのくらい信用できるのかはわからないが、剣や魔法の技量はかなり高いものだと思い込んでいた。
 それがあまりあてにならなさそうだと、ようやく気付いたわけだ。
 とりあえず、さっき考えた通り、フレイと一緒に戦場に出て、様子を見てみるしかないだろう。
「次はどこに行きましょう、シンヤさん?」
 元気いっぱいのハーナルにそう言われても、なんとなくぼんやりしてしまっていた。
「……どうしましたか? もしかしてお腹空いちゃいました?」
「ご飯のことしか考えてないお前と一緒にするなよ」
「ひどいですぅ、ご飯以外のことも考えてますよぉ……」
 よく喋るハーナルの相手をしながら、そうして街を歩いている時だった。
 通りの奥の方から、何か大きな集団が近づいてくるのが分かった。
「騎士団様一行だ!」
「道を空けないと!」
 歩いていた人々が、声を張り上げ、道の脇へとよけていく。
 何がこっちに向かってくるのかと思って隣のハーナルを見ると、彼女もよくわかっていないみたいだった。
「誰でしょう? 偉い人かなぁ」
 もたもたしているうちに、その集団がすぐそばにまで来ていた。
 最初に目に入ってきたのは、輝く甲冑だった。キラキラと太陽の光に輝く騎士鎧を着た集団が、馬に乗って行進しているのだ。
「あっ、わたし思い出しました! 帝国から派遣されてきた騎士団様たちです」
「騎士団?」
「魔物たちの襲撃を食い止めるために、救援に来てくれたんです」
 ハーナルの説明を聞きながら、俺は騎士団の中の一人に目を留めていた。
 たった一人、目を引くその人物――女騎士が、一人紛れていた。頭部装甲を外した彼女は、栗色のウェーブする髪を風に揺らしている。
 その場にいる者たちは少なからず、紅一点の彼女に注目していたが、その視線を撥ね退けるようなつんとした顔で、一切笑顔を見せようともしない。
 馬に乗り、高いところから見下ろす彼女は、なんとなくプライドが高そうな雰囲気が出ており、あまりイメージはよくなかった。
 俺が見つめている人物に気づいたのか、ハーナルはニヤニヤしながら話しかけてくる。
「あの人、綺麗ですね。戦う女の子が好みなんですか?」
「いいや。騎士なんかやってる女なんて、ろくな奴じゃないだろ」
「そうですか? わたしは憧れるけどなぁ」
 これが、アリサとの出会いだった。
 まさか彼女と再会し、助けてあげることになるとはこの時は思いもしなかった。残念なことに予想通りプライドが高くてロクな奴ではなかったが、俺はアリサとハーナルと三人で初期パーティーを組むことになるのだった。
(つづく)
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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(4)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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「ところで、俺はその戦争に集められたわけなんだが、一体何と戦うのか、詳しくは聞いてないんだ」
「えぇーー! 聞いてないんですか!? もちろん、魔物たちですよ!」
 素直に教えてくれる村娘に感謝しながら、さらに質問を重ねていく。
「魔物たち?」
「この近くに、魔物たちの巣食う地があるのはご存知ですか? アルヴヘイムという名の地です」
「アルヴヘイム」
「一度その地に赴いたものは最後、戻ってくることのできないと言われる恐ろしい呪われた地です。多くの魔物たちが棲み処とするその地から、最近魔物たちの一群が出てきて、行進を始めたんです」
「魔物たちの行進」
「どうしてその魔物たちが棲み処から出てきたのかは謎なんですけどね……冒険者様は、本当に何もご存じないのですね」
「ニッポンはとても遠い地でな。情報も伝わってこないんだ。……それで、その魔物たちが、アスガルドに近づいているというわけだな」
「はい。緊急事態ですよ! こんなことは、これまでなかったんですから。冒険者様たちが参集しているのはもちろん、遠くにある帝国からもアスガルドに騎士団が派遣されたらしくて、まさに厳戒態勢ですね」
 滔々と語るハーナルに、ふと疑問を抱いた。
「ハーナルこそ、よく知っているな」
「お兄様がわたしに話してくれたんです」
「もしかして、お兄さんは……」
「アスガルドに行ってしまいました。父と兄と、三人暮らしだったんですけど、二人とも戦士としてアスガルドに召集されてしまったというわけです」
 こんな家に娘を一人で置いて行ってしまうあたり、その二人の無神経さが伺える。
「なるほどな……っていうことは、この村に人が極端に少ないのも、男手が皆アスガルドに召集されたからか」
「そういうことです。でも、わたしは寂しくないですよ。戦争が終わったら二人とまた一緒に暮らせますし何より戦争で一稼ぎしてきてくれますから。普段より豪華な食事をできるのが楽しみです」
 口ではそう言って見せるが、その表情からは寂しさが拭いきれていない。このボロ屋で一人ぼっち、長いこと家族の帰りを待ち続けるのはさぞ辛いだろう。
 なんとなくハーナルに情が湧いてきてしまって、俺は一つ提案してみた。
「なあ、お願いがあるんだけど……アスガルドまで道案内をしてくれないか。方向音痴なんだ」
「冒険者様のお願いなら、喜んで引き受けます!」
「あと、しばらく街の中も案内してほしいんだ。どこに武器屋があって、どこに居酒屋があるのかとか。しばらく付き合ってもらうことになるけど、いいか?」
「ええ、もちろん! わたしなんかがご一緒するなんてお恥ずかしいです」
 ハーナルはわかりやすく嬉しそうな顔をして喜んでいたが、ふいに何か思い出したような顔をした。
「……あ、すみません。見ての通り、わたしは貧しい農家の娘なので……ほとんど、お金がなくて……」
「飯は全部おごるよ。その代わりに、ついてきて話し相手になって欲しい。それだけでいい」
「本当ですかっっ!」
 ハーナルは身を乗り出して驚いた。俺が頷くと、感極まったのか何なのか、突然ボロボロと泣き出した。
「うぇぇ……ぐすん」
「おい……おい、どうしたんだよ」
「う、うぇぇ……こんなに懐の深いお方に出会えるだなんて、生きてきてよかったですぅ……わたしは一生、この村で貧しい暮らしを続けていくものだと……ふえぇ」
「泣くなって、おい……パン食っていいから」
「えぇ……!? これは、冒険者様のために……わたしなんかが口にするなんて」
「街で買うから、俺はいらないよ」
「いぃんですかぁ……! あむ……うぅ、おいしぃ……! 丸パンおいしぃ……」
 ハーナルは嗚咽をあげながら余計にボロボロと泣き出して収拾がつかなくなってしまった。
「辛かったよぉ……わたし、やっと報われたんですね……神様ありがとうございますぅぅ」
 俺はハーナルの背中を撫でてあやしてやりながら、こういう可愛い娘を救ってあげられる立場にいられることに感謝した。これも、こちらの世界に転生できたおかげだ。

〈アーク――3〉

 しばらくくつろいだ後、ハーナルを連れて、俺はアスガルドへと向かうことになった。
 ハーナルはほとんど準備もせずに、俺についてきた。
「あんまり物を持ってないんです……」
 恥ずかしそうに言うが、考えてみれば俺も大して持ち物に恵まれてはいない。
 もう一度確認すると、服を除いてスマートフォン、定期券、ハンカチとティッシュしかない。この世界で使えそうなものは皆無だ。武器になりそうな物なんてちっともない。
 そのこともあってか、案内される道中、ハーナルが聞いてきた。
「そういえば、シンヤ様はどんな武器を使うんですか? 今は武器を持っていないみたいですけど……」
「うーん、なんでも使えるよ」
「え……? すごいですっ! そんな冒険者様がいるだなんて……ニッポンという国の冒険者様はみなそうなんですか?」
「あー、みんなってわけでもないかな」
 適当に誤魔化すのが段々面倒になってきていたけど、嘘をこのまま貫き通すしかないだろう。
 村からアスガルドへは、あまり遠い道のりではなかった。街の建物が見えて来ると、ハーナルは指さして喜んだ。
「もうすぐです! 結構歩きましたね。普段は馬で来るからもっと早く着くんですけど」
「アスガルドにはよく来てるのか」
「行きますよ。わたしたちは農家ですから、父や兄と一緒に、穀物や野菜を売りに行くんです」
「なるほどな」
「それにしても、冒険者様とこういう風にふたりで街に出かける日が来るなんて……ふふ」
 ハーナルは瞳をキラキラと輝かせ、ニヤニヤと頬を緩めている。素直に思ったことが顔に出る子だな、と思った。大学には、こんなに純粋な女の子はいなかった。
 どんな反応をするのかと、意地悪してやった。
「ニヤニヤするな、気持ち悪いぞ」
「そ、そんなぁ、ひどいです! 折角連れてきてくれたのに、冷たくないですか?」
 困り顔になるハーナル。ぐずぐず泣いたり、ニヤニヤしたり、困ったり、コロコロ表情の変わるハーナルは見ていて飽きない。
「いいから立ち止まってないで、案内してくれよ。飯をおごってやらないぞ」
「えぇ!? わ、わかりました……行きましょう!」
 慌てて歩き出すハーナルについていきながら、いちいち可愛い反応に俺がニヤニヤしてしまっていた。
 街に入ると、急に人通りが多くなった。人の声が重なってガヤガヤと響いている。
 目を引くのは、そこら中に施された、パーティーのような飾りつけだ。まるでお祭りのように賑わっているし、街も盛り上げようとしているのが分かる。
「賑わってますね! 普段はもうちょっと静かなんですけど」
「冒険者が訪れるから、商売も繁盛するってわけか」
 すれ違っていく人々の服装に俺は驚いた。
 皆、冒険者なのだろうが、RPGで出てくるような装いの者たちばかりだ。防御力の高そうな鎧で身を包み腰に剣を携えている男、法衣を纏い身の丈ほどもある杖を抱えている女。
 その光景に胸が熱くなって、ついつい俺は道行く人々をじろじろと眺めてしまう。
「すげえ……」
「各地から冒険者様たちが集まってますからね。わたしもこんなに人がたくさんいるのは初めて見ました」
「そうじゃなくて、服装だよ、服装。みんな、ちゃんと冒険者って感じの服を着てるじゃないか」
「ニッポンから来た冒険者様らしい人は今のところ見かけませんね」
「遠い地だからな。この服は動きやすさを重視した服なんだ……やっぱり俺目立ってるか?」
「えっと……言っていいのかわからないですけど、ちょっと浮いちゃってるかもしれません」
「だよな。よし、新しい装備を買いに行こう。武具屋に案内してくれ」
「こだわりがあってその格好をしていたわけじゃないんですか……?」
「いいから案内しないと飯は抜きだぞ」
「えぇっ!? それだけはやめてくださいよぉ。お願いしますぅ」
「あんまりくっつくな、暑苦しい」
 すがりついてくるハーナルを急かして、俺たちは武具屋へと向かった。
(つづく)
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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(3)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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〈アーク――1〉

 俺が異世界に転移したとき、最初に視界に入ったのは、何もない一面の青だった。
 雲一つない青空。日本では滅多に見ることのできないような澄んだ空だった。
 息を吸うと、空気がおいしい。それだけで元気が出るような気がして、俺は起き上がった。
 尻と手のひらに、柔らかい草が触れていたからわかっていたが、目の前に広がる光景を目にして、俺は心が洗われるような気分になった。
 ――果てなく広がる、広大な草原。
 俺は転生が成功したことを確信した。
 女神に言われていた通り、俺はもといた世界から、こちらの世界へとやってきたのだ。
 もともと、俺は自分の人生に飽き飽きしていた。何の変哲もない一般人として、惰性で大学に通う学生生活。リア充にもなる元気もなく、毎日をゲームばかりして過ごしていたところに、突然どこからともなく、このチャンスが巡ってきた。
 ある日、昼寝をした時に夢を見て、俺は女神に出会った。
 彼女は自らの世界を救うため、別の世界から勇者となるべき人間を探しに来たと言った。
 俺にはそちらの世界での一般人より高い能力が与えられ、このままの姿で別世界へと派遣される。そう聞かされて、全く躊躇せずに俺は引き受けた。
 こちらの世界に未練など一欠けらもなかった。俺は女神に目をつぶれと言われ、次に目を開いた時、この異世界に辿り着いていたわけだ。
 俺は、思い切り伸びをして、思案した。俺はまさに着の身着のままという感じで、昼寝したときに身に着けていたものしか、こちらの世界に持ち込んでいなかった。
 持ち物――Tシャツ・ジーパン・ベルト・下着、そしてスマートフォン、定期券、ハンカチとティッシュ。それが俺の全財産だった。
「さて、まず……どうしようか」
 そう呟いた時、ぐう、と腹が鳴った。
 まずは、腹ごしらえをせねばなるまい。
 俺は、遠く彼方に見える、建物の密集地――街を目指して、歩き出した。かなりの距離だ。どれだけかかるかわからなかったが、俺は嫌な気はしなかった。
 自らの手で、自分の人生を切り開いていける。それも、一から。
 女神から、ここは剣と魔法の世界だと聞いていた。きっと、勉強や人間関係に縛られず、自由に生きていけるに違いない。希望と夢が、溢れていた。

 アリサと初めて出会ったのは、その最初に俺が向かった街〈アスガルド〉だった。思い出すと懐かしいと思う。
 しかしまだその時は、俺は彼女を、ただの高慢な女騎士だとしか思わなかった――

〈ア―ク――2〉

 美しい自然の中を散歩するのは、なかなか楽しいものだった。
 ただひたすらに歩き続けて、俺は違和感を抱いた。あきらかに、前の世界とは違うことがあった。
 ――体が軽い。
 久しぶりに運動するのにも関わらず、ちっとも疲れなかった。元の世界では、大学に通うのさえ、ちょっと疲れるな、と面倒がっていたのに、足はぴんぴんしているし、気分も晴れ晴れしている。
「ステータスが高め、っていうのは、こういうことか」
 俺は早速、女神の恩恵を感じながら、上機嫌で歩いて行った。
 一つ残念だったのは、一匹も、魔物らしきものが現れなかったことだ。折角の高いステータスを活かして、魔物をザクザクと倒し、報酬と経験値をゲットするというのがセオリーなんじゃないだろうか。
 こういう草原には、決まって雑魚敵がたくさん出てくるものだ、と思っていたから、拍子抜けだった。
 ゲームのようにはうまく行かないものなのだろうか、とがっかりしているうちに、周囲の風景は変わっていき、草原は、人の手によって作られた畑へと変わっていった。
 畑と言っても、日本で見るような、画一的な畑ではない。好きなところを耕して、好きなものを植える。そんな感じの、適当極まりない感じの畑だ。
 赤い木の実が成っていると思えば、その隣には緑色の木の実が成っている。
(それほど文明が発達していないみたいだな)
 畑の作り方一つにしても、この世界はまだまだ未成熟なのが、はっきりと分かった。
 そして、もう一つ俺が畑について思い込んでいたことが裏切られた。
 きっと多くの者たちが、畑を耕しているのだろう――そういうものだと思っていたが、なんだか様子がおかしかった。
 ちらほらと見える小さな掘っ立て小屋には、ほとんど人がいない。広大な土地に、点々と人影が見えるのみだ。
「どういうことだ……?」
 さすがに、人手がいないと、これだけ広い畑は耕せないはずだ。一体どうやって管理しているのだろう、と思いながらも、それを尋ねる人すらいないから、悶々としたまま歩き続けた。
 かなり進んだところでようやく、小さな掘っ立て小屋の中に人影が見えた。俺はわき道にそれて、その小屋の扉を、トントンと叩いてみた。
 ややあった、ぎぃ、と音を立てて扉がわずかに開き、その隙間から娘が顔を出した。
 妙齢の娘だ。見た感じ、十五か十六くらいに見える。なかなか可愛らしい顔たちをしていた。
「あなたは……?」
 わずかにおびえた瞳で、俺のことを見ている。良い言い訳も思いつかず、俺は素直に白状することにした。
「ちょっとわからないんだ。最近この辺りに来たばかりで」
「……?」
 娘は、ぎょっとした表情をした。ちょっとまずいなと思って、言い繕っておいた。
「旅人みたいな感じかな。そう、俺は旅人だ」
「はぁ……旅人。なんだか、面白い格好をしているのですね」
 その村娘は、俺を頭からつま先まで眺めて、珍妙なものを見る目つきで、段々と俺への警戒を強めていくようだった。
 俺はとりあえず、聞きたかったことだけでも聞いておくことにした。
「それより、この辺りは人が少ないんだな。何かあったのか」
 娘は、特段変わったことでもない、という感じで言った。
「戦争が始まるんです」
「戦争?」
「ご存じないのですか? もしかして、遠くからいらした冒険者の方ですか」
「ああ、それだ。冒険者」
「冒険者様でしたか! それならそうと、最初に言ってくれればいいのに。おもてなししなくちゃ」
 村娘は、態度を一変させ、扉を開けた。にっこりと笑顔を浮かべる。
 あまりにもわかりやすい手のひら返しっぷりに、この世界での冒険者の地位の高さとこの娘の性格を見た気がしたが、もてなしてくれるのなら文句はない。
 全身を改めて審美してみても、見込み通りの綺麗な娘だった。ほっそりとスリムな体つきに、胸もお尻も、しっかりと出るところが出ている。栗色の髪には艶があった。
 ずっと着古していそうな服。貧しそうな雰囲気が染みついてしまっているが、娘の肌は瑞々しく、若い女の子らしい溌溂とした雰囲気があるのも確かだ。
「そこにおかけください、冒険者様」
 傾いたテーブルと椅子に座って、家の内装を確認する。壁には染みがあり、天井には蜘蛛の巣が張っていた。雨漏りしていたのか、床にはところどころ雨を受け止めるための容器が散らばっている。良い暮らしをしているというにはほど遠いようだ。
 村娘は奥へ引っ込んだかと思うと、にこにこと笑顔で食器類を持ってきた。ティーカップに、ティーポット、丸パンの乗った皿。どれも古ぼけていたが、異国情緒ある洋風のデザインで、以前と違う世界にいることを実感させられる。
「お出しできるものは少ないんですけど、ぜひくつろいでいってくださいね」
 村娘は、俺に向かい合った椅子に座り、ティーポットからほんのり甘い匂いのするお茶を注いだ。嗅いだことのない香りだ。
 皿の上に乗った丸パンは、どう見ても乾燥して、パサパサとしているように見えて、手を出すのを渋ってしまう。まだ、見境もなく食べるほど腹は空いていなかった。
「どうぞお召し上がりください」
 ニコニコとされながら言われると、手を付けないのも悪い気がして、一口かじってみる。思った通り、大しておいしいものではない。
 村娘は、ごくりと唾を飲んで俺の食事を見守っていた。どうやら、この子にとっては大事な食料だったらしい。
「そのパンは兄さまが帰ってきた時のために取っておいたんですが、出しちゃいました。なんといっても冒険者様ですもの。おいしいですか……?」
「あー、うん。おいしい」
「わあぁ……わたし、パンなんて何年も食べていないんです……おいしそう」
 ぽわぽわとした表情で、俺の咀嚼を見つめる村娘。唇の端から涎が垂れそうになっている。
 この子はいったい毎日何を食べているんだろうと突っ込みたくなったが黙っておいた。
 涎を指で拭って、娘は自己紹介をした。
「あっ、名乗るのが遅れてしまいました。わたしはハーナルと言います。この村で農家を営む一家の一人娘です」
「俺はシンヤ。よろしく」
「冒険者様がわたしの家を訪れてくれるなんて夢見たいです……どうして、こんなド田舎に来てくれたんですか?」
 ハーナルは興味津々といった感じで、目を輝かせている。
 冒険者という嘘をついてもてなしてもらった手前、適当なことは言えない。この娘、それほど頭がいいようにも見えないし、なんとか言い繕えるだろうと思って出まかせを言った。
「この近くにある大きな街に用があってきたんだけど、道に迷っちゃって」
「大きな街……アスガルドのことですか?」
「ああ、そう、それだ」
「ということは、やっぱり今度の戦争に参加なされるんですか?」
「そうそう。戦うために来たんだ」
「すごいですっ! 今回の戦争は規模が大きいみたいで、各地から勇者様が集められているっていう話は聞いてます! さぞ、お強いのでしょうね……」
「うーん、まあな」
「どこからお越しなんですか?」
「遠方の地、ニッポンから」
「へぇ……聞いたことないです。よっぽど遠くから来たんですね。その服もニッポンのものなんでしょうか」
「ニッポンでは皆、こういう服を着るんだ」
「おもしろいです……!」
 俺の話にうんうん、と頷きながら熱心に聞き入る村娘を見ていると、ちょっと可哀想になってくる。すっとぼけるのも意外と疲れるな、と思いながら、俺は使える情報を聞き出していく。
(つづく)
<書籍化>ふたなり女学園へようこそ 上<完全版>
<電子書籍>やんデレはーれむの作りかた 上<リライト>


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