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<ふたなり寮>ACT10




「ゆーりかー、おーきてー」
「そんなところで寝てると風ひくよー」

 ユリカは熟睡していた。瞳をうっすらと開くと、朝日と共に、シオリとキョーコが近くで見下ろしている。

「あ、起きた。おはよー」
「さすがにそろそろ準備はじめないと、遅刻だぞ」

 二人に言われて、しぶしぶ起き上がる。家でも妹に起こされていた、寝起きの悪いユリカにとっては、いつもの光景だった。平和で、他人に支えられた、温かい生活の一部。
 当然のようにそんな朝を迎えているのは、おかしいことだった。
(あれ……わたし……)
 何をしていたんだっけ、と昨日の記憶をたどって、愕然とした。
 理性を失って、性欲に任せてふたりを犯した自分の姿が浮かんだ。
 シオリを押し倒して、のしかかり、その胸で自分の男性器をはさんで、腰を振りまくった。精液をシオリの顔にぶっかけて放置した。意識のはっきりしないキョーコを襲って、たっぷりナカ出ししまくった。
 思い出すたび、寒気が走って、冷や汗が走った。猛烈な罪悪感で、胸が苦しくなる。
(わたし……あんなにひどいこと……)
 もし自分がそんなことをされたら、その友達と縁を切りかねないと思った。
 一方で、鮮明に思い出すほど、ユリカの股間はむくむくと大きくなった。若くてみずみずしい肌、柔らかい身体、濡れきった媚肉……そのどれもが、さっき味わったかのように思いだせた。その記憶は最高に興奮できる思い出としてユリカの脳に刻み込まれている。一生忘れられなさそうだった。
(それなのに……なんで?)
 ユリカは疑問に思った。|なぜ《・・》、ふたりとも平気なのか。

「シオリ、キョーコ……?」
「ん、どうしたの?」

 パジャマから制服に着替え中のシオリが、眠たそうに聞き返してくる。そのブラジャーの谷間や、可愛らしい顔に、白濁液がかけられたことなど、微塵も知らなさそうな表情だ。

「……ううん、なんでもない」

 ユリカは思わず、平然とそう言っていた。
(わたし……最悪だ)
 心の中で自分を責めながらも、それを二人に打ち明ける気にはさらさらならなかった。言ったら、絶交される。そういう恐怖で、胸がいっぱいになった。

「ていうか、なんか……自分の身体、変なにおいがする。キョーコ、一緒に朝風呂いかない?」
「行ったら一限、遅刻だよ? それでもいいなら、わたしも行く……なんか、体がべとべとするよね」

 シオリとキョーコが、そんな会話をし始めても、黙っていた。もちろん、ユリカは冷や汗をびっしょりかいている。
 キョーコが次のように話を振ってきたときは、心臓が変な動き方をした。

「ユリカも身体、べとべとしない?」
「わ、わたしは……しないよ? 昨日は暑かったし、たくさん汗かいたんだよっ」
「そうだっけ……あれ? 昨日の夜、わたしたち何してたっけ」
「え……覚えてないの?」
「あれ……ああ、思い出した。思い出した。最近記憶力やばいなー」
「キョーコはいつも記憶やばいでしょ。しっかりー」

 シオリがそう茶化して、なんとか話は収まった。どうやら、二人とも知ったかぶりをしているらしい。それもそのはずだった。つい数時間前の記憶がすっかり欠落しているだなんて、誰にも言えなかった。

「二人の記憶は消しておいたキュー」

 制服に着替えて一通り準備を済ませ、三人で教室に向かう最中、そんなキューの声が聞こえたときは驚いた。
 キューは天井を歩いていた。てくてくと、可愛らしい足取りで。
(やっぱり、あなたが……)
 ユリカは違和感を覚えた当初から、その可能性を頭の片隅に浮かべていた。それが当たって、やっぱりそうなのかという気持ちと、本当にこの生き物が人の記憶を消すことが出来るのだという恐怖を感じた。

「全くユリカがやったことは覚えていないから、安心するキュー」

 ユリカは、他の二人にキューの声が聞こえていないことを確認もせず、ただ真実を知りたいという思いに任せ、勢い込んで心の中で話しかけた。

(一体なんなのよ~! どうなるかと思ったじゃん!)
「ユリカのためを思って、力を使ったんだキュー。もし嫌だったのなら、申し訳ないキュー」
(……べ、別に嫌じゃないけど。キューは……わたしを困らせて、何がしたいの?)
「それは秘密だキュー。でもいずれわかるキュー。今のユリカはただ、普通に生活して、普通に他の女子生徒と、セックスすればいいんだキュー」
(なんでわたしがそんなこと……こんなのまっぴら!)
「それは嘘だキュー。だって、こんなに大きくなって、新しいおま○こを求めてるキュー」

 確かに、ユリカは今勃起していた。朝勃ちがまだ残っていたのだ。おかげで、若干スカートは盛り上がりかけていて、どうしようかと思っていたところだった。
 立てようと思って立てているわけではない。勝手に、むっくりと立ち上がってしまうそれが、ユリカにはとても不快だった。

(こんなおち○ちん、なくなっちゃえばいいのに~!)

 そう強く心の中で言うと、キューはすんなりとこう答えた。

「出来ない相談ではないキュー。しかし、本当にそれでいいキュー?」
 ユリカは、そう問われてはっとなった。
 夢のような、昨晩の思い出がまざまざとよみがえる。

「もしそれを消したら、二度と、キョーコのヌレたおま○こを味わうことは出来ないキュー」

 ユリカの目線は、前を歩くキョーコの太ももに注がれた。健康的で、モチモチと柔らかい太ももだ。
 昨日それを手のひらでぎゅっとつかんだことを思い出す。そう、下着姿のキョーコが、自分の下にいて、自分はその下着をずらして、愛液が溢れだす秘所に、自分のソレをあてがって、ぐいっと――

(あ~~! もうだめ! 勃起しちゃうから、ダメ~~!)
「そんなに気持ちよかったかキュー? もう一回、キョーコの中で、たっぷり射精したくないのかキュー?」
(し、したくないわよ! ばか!)
「シオリの胸はどうだったんだキュー? 柔らかかったかキュー?」

 キョーコと何気ない会話をするシオリが、すぐ近くで楽しそうに笑った。あの純粋な笑顔に、精液をぶちまけたことを思い出す。そしてブラジャーから溢れる、あの胸……今は服の下に隠れているが、昨晩、自分はあれを揉みしだいて、感じさせて、さらにはあれで挟んで、自分のモノをしごいてやった――

(うるさいうるさいっ! 昨日のわたしはおかしくなってたのっ! もう二度と、あんなことなんか――)
「まだあるキュー。ユリカには、これから先も、素晴らしい快楽が約束されてるんだキュー」
(え?)

 どういうことかと思案する間もなく、背後から、声が飛んできた。

「ユリカさん、おはよ~!」

 振り返らずともわかった。それは、昨日であったアヤヒの声だった。ユリカをマスミの支配するハーレムたる、バレー部に招待した、淫乱娘だ。
 制服をきっちり着こなして、にっこりと笑顔を浮かべてこっちに手を振っている。

「あれ、ユリカの友達?」
「最近一人で出歩いてると思ったら、友達作ってたの?」

 キョーコとシオリが、ユリカにこそこそと聞いてくる。さっきまで抱いていた二人への性欲を打ち消しながら、いつも通りの会話になるよう、答えた。

「うん。バレー部の子なんだ。わたし、バレー部入ろうかと思ってて――」

 ユリカはこの時、閃いている。シオリとキョーコをバレー部に入れてしまえば、マスミ先輩のおこぼれで、自分も二人を犯せるのではないか。簡単な話だった。

「二人も、まだ部活決めてないなら、バレー部にしない? 練習、そんなに大変じゃないって聞くし、メンバーも面白かったよっ」

 言いながら、ふと昨日、アヤヒに言われた言葉そのままだと気づいた。
 しかし、二人の反応は悪くない。

「ああ、バレー部かぁ……確かにいいかも。わたし、体動かさないと太っちゃうから~。シオリはどう?」
「うーん……わたしは帰宅部でもいいけど、二人が入るなら、入ってもいいよ」

(やった~! これで……うまくいけば……)
 ユリカがしめしめと思っていると、隣に来ていたアヤヒがぱっとユリカの腕をつかんだ。

「ユリカさん、今日の1限、サボらない?」
「え?」
「来てくれないの? 昨日はすごかったね。わたしもあんな風にめちゃくちゃに――」
「な、なに言ってるの、アヤヒちゃん」

 昨晩のことを暴露しかけるアヤヒを慌てて止めた。小声で真意を聞いた。

「どういうつもりなの!?」
「わたし、昨日からずっと我慢してたの。だから、はやくエッチしよ♡」

 そう囁いて、年に似合わない妖艶さがわずかに漂う笑みを浮かべるアヤヒ。ユリカはどきりとなって、股間がぴくんと震えるのを感じた。
 シオリとキョーコはそのやり取りを聞いて首をかしげている。

「ユリカ、一限サボるの?」
「ええっと」

 ユリカが迷ったのは一瞬だった。授業なんかより、ずっと大事なものが……アヤヒのスタイルのいい女体が目の前にあった。

「うん、今日はちょっとアヤヒちゃんと用事があって」
「えー、じゃあわたしたちもサボろ。お風呂入りたい」

 そうキョーコが言って、二人は風呂の準備をするために部屋に戻ってしまった。
 アヤヒと二人きりになって、ユリカは胸がどきどきするのを感じた。アヤヒもそれは同じらしく、ほんのり頬を染めている。ぽつりと、彼女はこう言った。
 
「わたしの部屋、隅っこだから……そこでいいよね」

 そして、二人は手をつないでアヤヒの部屋に向かっている。ユリカはなんだか夢見心地で、現実感が感じられなかった。今から、昨日マスミ先輩がしていたように、アヤヒちゃんを犯すことができる。まるで信じられなかった。
 同時に、猛烈な性欲が湧き上がってくるのを感じた。昨晩と同じ、我を忘れてしまうような、異常な性欲だ。
 目の前にいる女の子が、自分とのセックスを望んでいる。そう思うと、居ても立っても居られなかった。
(ダメ、我慢できなくなってきた……)

「アヤヒ、ちゃん……」

 ユリカ小さくそう呼んで、暗いその部屋の玄関で、早くもアヤヒと向かい合った。
(つづく)






<ふたなり寮>ACT9




 ユリカは、夢見心地の世界にいた。
 そこは、純白の羽毛がひらひらと舞う部屋だった。床も天井も、どこもかしこも純白の美しい毛に覆われている。
 ユリカはそこで、ぼんやりと座り込み、幸せな気分に包まれている。どうしてこんなところにいるのかという疑問は、全く浮かばなかった。

「キュー……」

 聞き覚えのある可愛らしい鳴き声が聞こえる。
 真っ白いふさふさの毛に覆われた生き物が、てくてくとユリカに向かって歩いてきていた。例の生物、キューだ。膝元まで歩いてきたそれを、ユリカは抱き上げた。心地よい触り心地だった。
 そのくりくりした瞳が、ユリカをまっすぐ見つめる。

「おめでとうキュー」

 祝われて、単純に幸せな気分がさらに増すユリカだった。頭の中に霧がかかったようになって、熱にうなされているときのように、頭が働いていない。

「でも、もっと先に行けるキュー。ボクは、そうしてもらわないと困るんだキュー」

 キューが少し悲しげな声音で言って、ユリカも悲しくなった。この愛らしい生物を助けてあげたいという思いで胸がいっぱいになった。

「一度|膣内《ナカ》の感触さえ味わってしまえば、ユリカはもう戻れないキュー。今すぐこのままの勢いで、あの子を犯すんだキュー」

 その声と共に、ふいに、異変が起きていた。
 世界《・・》が、溶けていく。空中を漂う羽毛がどろどろと溶け出し、床、壁、天井、全ての白い羽毛まで、同じように爛れていく。
 ぐちゃぐちゃの油のように溶けると同時に、色がどす黒い赤に変色してもいた。その赤の中には無秩序に暗い青や茶色が混ざっていて、醜いことこの上なかった。
 美しかった風景が、みるみるうちに目も当てられないほど汚くなっていった。
 まるでもともとそこにあったものの表面が剥がれて、醜い内面が表れていくようだった。
 吐き気を催すような気色悪さに、ユリカは目をつぶって叫び声をあげる。しかし、その自分の声がユリカの耳には聞こえなかった。いや、声すらあげられていないことに気づく。ようやく、自分を幻想の世界から引き戻そうと意識した。
 何かが変化したことを感じて、目を開ける。 
(あ……れ?)
 現実世界に戻ってきていた。どこかから帰ってきた気がしていた。
 そして、目の前には、先ほどまでなかったものが現れていた。
 キョーコが、白い毛に覆われて床に寝そべっていた。それは美しい光景だった。
 下着姿なのは、さっきと同じだ。異様なのは、白い毛の束のようなもの――あるいは、触手のようなもの――が、床や壁からぬっと生えて、その体を拘束するように絡みついているところだ。
 その毛の束はキョーコの膝の裏を通って、その体を締め付けていた。つまり、キョーコを膝を抱えたような姿勢にさせていた。当然、大事な部分がユリカに向けられる形になる。
 
「ん……?」

 そう、寝言のようにつぶやいている。その瞳に光はなく、半開きだった。
 明らかに、普段のキョーコではない。白い触手に、何かおかしくされていた。
 しかし、ユリカはそんなことなど眼中にない。そこにある、美しい羽毛に飾りつけられた、無抵抗な女体に目が釘づけになっている。
(キョーコ……綺麗……)
 ユリカはシオリの上から立ち上がり、マスミやアヤヒに見られているにもかかわらず、まっすぐにキョーコに近づいていった。
 その柔らかい太ももをきゅっとつかんでも、軽く身ゆすりするだけで、ほとんど反応がない。ユリカの心拍が、再び上昇していく。

「キョーコ……いいの……シて、いいの……?」

 そう囁きかけながら、ユリカはすでに自らの肉棒を片手で支えて、もう片手でキョーコの下着に手をかけている。
 普段自分の下着をおろすように、するするとそれをおろすと、ピンク色の女性器が、ユリカの目の前にさらされた。自分の女性器を鏡で見ることがあっても、他人のそれをこんなに間近で見るのは初めてだった。
 ぴとり、と触ってみる。親友のそれを触ることに、妙に興奮していた。

「ここも、綺麗……触ってるよ……キョーコ?」

 話しかけても反応はない。ユリカは拒否されていないと感じて、そのままくにゅり、と性器を愛撫した。
 一度始めると、女の子の身体を自由に弄りまわすことが、楽しくて仕方ない。しかもこれまでずっと一緒に遊んできた親友の身体をいじっているという事実が、さらにユリカを興奮させた。
(こうしたら、濡れるよね……キョーコ)
 ユリカだって、オナニーくらいはしたことがあった。その要領で、割れ目の上の方にある、木の芽みたいな突起をくりくりと指の腹で優しく刺激した。

「んー……あっ……ふ……」

 続けるうちに、キョーコの息が次第に荒くなっていく。奥の方から、じんわりと粘液があふれて、性器全体に広がっていく。
 早く挿れようと、すでに割れ目にぴったりあてている肉棒に、トロトロとそれが付着していった。ほんのり香る、女の子の芳しい匂いに、ユリカの頭は沸騰した。
(キョーコの体、えっちぃよ~……もう、挿れないなんて、ありえない……♡)
 ずぶりと、親友の柔らかい性器の中に、自分のカチンコチンに固まった性器を突き立てた。
 途端、変な声が出た。

「んぅ……っはぁ♡」

 むにゅ……ぷちゅ。
 温かくて湿った、なんともいえない感触の柔肉が、ユリカのそれをぴったりと締めつけた。まるでその柔肉が、意思を持って、ユリカの肉棒を離すまい、と食いついてきている気がした。
 少し挿れただけなのに、奥へ奥へと、引き込まれていく気がした。
 これをするために生まれてきたんだと思うくらい気持ちよかった。

「あ……あぅっ♡ あぁ~!」

 ユリカは未知の快感に、がくがく震えた。そして早くも射精している。我慢しようと思う前に、精液をとろとろと漏らしてしまった感じだった。それほどに気持ちがよかった。
 見ると、まだ中ほどまでしか性器を挿入できていなかった。
(キョーコに、こんな簡単にイかされちゃった……|膣《ナカ》、気持ちよすぎだよぉ……)
 すっかり蕩けた顔で、ユリカは行為に夢中になっている。
 全く肉棒は硬度を失っていなかった。射精したばかりで敏感なそれを、さらに奥まで挿入した。

「キョーコ、もうちょっとだけ……あうぅ♡」
「? んぅ……?」

 キョーコは、ユリカがその太ももを両手でおさえて、腰をぐっと前に押し込んでも、曖昧な声を出すだけだ。しかしその声はどこか色っぽく、甘い響きを含んでいた。
 ユリカは一番奥まで挿入したころには、またお漏らしをするように精液を出していた。男と違って我慢するという概念はなかった。気持ちよくなったら、そのたびに素直に射精している。

「あ、あれぇ? また……出るぅっ♡ これ、止まんないよぉ……ああぁん♡ また出るぅ……!」

 可愛い女子高生がぷるぷる震えながら、甘い声をあげて射精する姿は、あまりにも卑猥だった。
 ユリカはとどまることを知らない快感で絶頂し続けていた。いくら射精しても精液がなくならないのだ。
 
 ユリカの身体に異変が起きているのは間違いなかった。本来なら、出すたびに襲ってくるはずの余韻や、達成感がまるでない。男性器が、まるでユリカから独立した生物かのように、一通り気持ちがよくなるたびに、精液をびゅるびゅると放ち続け、睾丸がどくどくと波打ち続けている。
 明らかに、ユリカに生えてきたものは、人間の男性のそれとは異なっていた。それは男性器を模した、別の何かだった。

「ユリカさん……これで完全に、ふたなりの快楽の味を知ってしまったわね」

 マスミが妖艶な笑みを浮かべながら、ユリカが闇に落ちていく様子を見ていた。
 その目には、自分と同じ境遇になってしまったユリカを同情するような色も交じっている。

「しばらくはあなたが相手してあげなさい、アヤヒ」
「はい、先輩っ♡」

 そう元気に答えるアヤヒは興味津々な様子で、ユリカの乱れる姿を観察していた。
 ユリカは艶のある髪をばらばらと乱し、制服に精液が飛び散るのも構わず、のろのろと腰を振り続けている。呼吸するたびに喘ぎ、その瞳はキョーコでなく虚空を見ている。表情は淫らな笑みを浮かべ、だらしがない。
 突然言葉を発すると思えば、次のような言葉だった。

「あっあぁ……っ! 出る、また出るぅ~!」

 ユリカは慣れない腰つきで、ぱちゅん、ぱちゅんとゆっくりピストンを繰り返している。突然ぶるぶるっと痙攣するたびに、毎回精液をびゅるびゅると漏らしていた。

「何回出しても止まんない……♡ まだ出るよ、キョーコ……」

 キョーコの膣から白濁液が溢れはじめても、気が狂ったように腰を振り続けるユリカを見て、キューがてくてくと近づいた。

「そろそろ頃合いだキュー……このままではキョーコが壊れちゃうキュー」

 途端、キョーコを縛っていた白い毛の束が引っ込み、反動でキョーコは横倒しになった。
 ユリカの肉棒がずるりと膣から抜けて、ピストンが終わる。
 同時に、栓を失ったキョーコの膣から、ぶびゅっと精液があふれ出し、床に精液溜まりをつくった。
(もうちょっとだけ……)
 ユリカは再び肉棒をどろどろの膣にいれようとするが、ふいにキューが間に立った。

「ユリカ、少しは加減を覚えるキュー……それがこれからの課題だキュー」

 キューが体に触れた瞬間、ユリカは身体がぐらりと揺れるのを感じた。どっと疲労が押し寄せてきた感じだった。瞼が重くなり、身体に力が入らない。
(あ、れ――)
 ユリカは、一気に意識が朦朧としかけるのがわかった。
 同時に、正気に戻っている。これまでの、勝手に自らを突き動かされるような欲求が引っ込んで、自分が自分である感じが、戻ってくる。
 ふと冷静になって部屋に倒れたキョーコとシオリを確認し、寒気が襲っていた。
(わたし――うそ――)
 二人とも、自分が出しまくった精液でめちゃくちゃに汚されていた。あまりにも酷い光景で、到底自分がしたこととは思えなかった。
(そん、な――)
 しかし、明確に自分の記憶に、自分がそれをしたことが残っていた。急に申し訳ない気持ちが湧き上がってくる。二人を助け起こそうと思うが、その前に、ユリカの意識は消えていた。
(つづく)






<ふたなり寮>ACT8




 ユリカはほとんど、自制心を失っていた。欲望に身を任せてシオリを床に抑えつけ、腰から生えた男性器を、じりじりとその豊満な胸に近づけていく。

「シオリ、ごめんね……ちょっとだけ、好きにさせて……」
「ゆ、ユリカ……や、やだ……やめてよぉ……」
 
 シオリは、のしかかる女体をどけようともせず、ただ縮こまって怯えている。
 そんな彼女に、ユリカは嗜虐心を刺激され、ますます血が滾るのを感じてしまった。
(シオリをいじめてるだけなのに……なんでこんなに、快感なんだろう……♡)
 自分の下に、女の子を従わせていることが、楽しくて仕方なかった。自分の欲望を満たすために、道具のように使おうとしているのに、この時は全く心が痛まなかった。

「お願い、シオリのおっぱいで、させて……」

 ユリカは、涎すら垂らしそうになりながら、その胸をわしづかみにした。風呂上がりの、汗と水滴で濡れた、ぴちぴちとした肌が、手のひらにすいつく。

「ひゃんっ♡ だめぇっ! 触らないでっ」

 シオリはあられのない声をあげ、身悶えた。みたことのない親友の姿に、興奮が高まっていく。
 その豊かな胸の先端の突起が、コリコリと固くなっていることにユリカは気が付いた。
(あれ……もしかして、シオリも感じてるのかな……)
 そう思った瞬間、喜びが身体を駆け抜けていった。自分が、シオリを、女の子を、感じさせている。快楽を与えている。そう思うだけで、自分が神様にでもなったような気分になった。

「シオリぃ……可愛いよぉ……もう、しちゃうねっ♡」

 もう何をしても許される気がして、ユリカはにたりと笑みを浮かべて、己の男性器を、シオリの胸の谷間に突き込んだ。むにゅりと、柔らかい乳の感触に、先端から中ほどまで包まれた。
 途端、ユリカは無意識に、背筋を強張らせて、嬌声をあげている。普段の声からかけ離れた、ひどく調子はずれな獣のような声だ。

「あっ……いいぃっ♡!!!」

 そのときユリカの身体を駆け巡っている快感たるや、すさまじいものだった。ビチビチと電撃が走るような感覚で、全身が灼けてしまいそうだった。
(ふ、ふあ、あぁぁっ♡)
 ユリカは完全に自己を失った。なすりつけるように、いやらしく腰を動かしていた。皮の剥けた性器を、汗や水滴でよく滑る、ぷにぷにの胸の谷間にこすりつけるのだ。もちろん、両手で胸を寄せて、圧迫するのも忘れない。
(さい、こうっ……♡)
 慣れない腰振りで息があがり、汗まで流し始めているのに、ユリカは止まらなかった。その目線はもはや、シオリすら見ておらず、どこか虚空を見ていた。
 そんな彼女を見て、ようやく金縛りを解かれたキョーコは、慌てて止めに入っていた。駆け寄って、ユリカを押しのけようとする。

「ユリカ! どうしちゃったの! や、やめなよっ」
「無理ぃっ! あはぁっ♡ こんないいの、無理だよぉっ!」

 しかしユリカは、恍惚の表情を浮かべて必死に腰をふりたくっている。

「ゆ、ゆり、か……」

 豹変してしまった親友に、キョーコは驚愕して、その体から手を離してしまった。押しても引いてもびくともしなかった。これはどうにもならない、と察していた。

 発情の汗を全身にかき、女の匂いをむんむんと発しながら、同級生にのしかかって獣のように腰を振る女子高生。その表情は、快楽の味を覚えた女の表情だ。
 それは異様な光景だった。しかし、もし男子が見ていたとしたら、一瞬で肉棒が反り返るような、淫靡さだった。

 そんな見ている他人すら興奮に巻き込む光景の渦中にいるユリカに、そろそろ絶頂が近づいていた。これまでにない、大きな絶頂だった。

「これ、気持ちよさすぎっ! 我慢できるわけないっ♡ 出るっ! いっぱい出るぅっ♡」

 ユリカはラストスパートと言わんばかりに、寄せた胸の間に自分の性器を勢いよく突き込んだ。

「ユリカ……やめてよぉ……!」
「シオリ、シオリぃっ♡ 可愛いよぉ……お願いだから、最後までっ♡」

 ユリカはどんどん快楽の至りに近づくのを感じて、性器の根元まで、豊満な胸にうずめた。それが我慢の限界だった。ぎりぎりで押しとどめていたものが、一気にあふれ出した。
 色っぽい喜びの声をあげて、ユリカは射精した。

「んんんっ!」

 ぴゅっ! びゅるるっ! びゅるぅ!

 その先端から、音を立てそうな勢いで、大量の精液が|飛沫《しぶ》いている。
(うあ……あっ……あはぁ♡)
 尿道を精液が一気に通り抜ける快感に、ユリカは天を仰いで、がくん、がくんと腰を震わせている。
 たまらなかった。止まらなかった。何度も何度もユリカの男性器から、白濁液が迸った。

 そして、肉棒の根元まで入るよう突き込んだせいで、先端は胸から飛び出て、シオリの顔にまっすぐ向いていた。
 放出された精液が、全てシオリの可憐な顔を汚していく。髪にべっとりとこびりつき、瞳やそのまつ毛にまでぶっかけて、青臭い匂いをまき散らした。惨憺たる状況だった。シオリは、あまりにも酷いことをされて、ほとんど失神していた。

「はぁ……は……」

 ひとしきりやりきって、ユリカは茫々と虚空を見つめている。自分の下で、親友をめちゃくちゃに汚してしまったことなど、気にとめていない。
(気持ちよかったぁ……)
 ただひたすら、達成感と多幸感に包まれていた。

 そのとき、すぐ近くではさらなる事態が起き始めていた。

「キョーコも、ユリカの苗床になるんだキュー」
「……へっ?」

 ユリカとシオリを、一種の放心状態で見ていたキョーコは、突然、聞いたことのない声を聞いていた。可愛らしい声だった。どこから聞こえたのかと振り返ると、いつの間にか二人の女子高生が部屋に入ってきていることに気づいた。そのうちの、背の高い、上級生らしき人物――つまりマスミが、何気なく近づいてくる。

「あら、キョーコさん、でしたっけ。あなたにも、ユーマの声が聞こえるの?」
「ゆ、ユーマ? なんのこと? あなたたちは誰? もしかして、あなたたちがユリカをあんな風に……」
「それは違うわ。やったのはユーマよ。この寮に昔から住み着いている、不思議な生き物」
「キュ~」

 マスミの後ろで、同級生と思しき人物――つまりアヤヒが、何かを胸に抱えていることに、キョーコは気づいた。次第にはっきりと姿が見えて、思わず息をのんだ。
 間違いなく、キョーコの知っている、普通の生き物ではなかった。胴体がなく、猫のような可愛らしい顔面から、直接足と尻尾が生えている。
 しかし、アンバランスな形にも関わらず、意外にもグロテスクではない。むしろ、全身にふさふさとした毛が生えていて、愛らしいくらいだ。
(ユーマ……もしかして、UMA、未確認生物ってこと?)
 キョーコは不思議とその生物を守りたい、と思ってしまった。アヤヒの胸から床にすとんと降りて、てくてくと自分に近づいてきても、全く警戒しなかった。

「あなた、ユーマって名前なの……?」
「そうだキュー。でも安心するキュー。キョーコは、ふたなりにならなくてもいいキュー」
「ふ、ふたなり?」
「この寮の生徒たちは、男性器を生やした生徒をそう呼ぶキュー」

 キョーコには、この生物がユリカをあんな風にしたとは、到底信じられなかった。
 これから、その人知の及ばざる力を知る羽目になるとは、全く想像していなかった。

「キョーコは、ユリカの初めての相手になるんだキュー」
「は? え?」
「一度その快楽を知ってしまえば、キョーコもきっと、その幸せに気が付くはずだキュー」
「な、なに言ってんのよ」
「今、身を持って教えてあげるキュー」

 そしてキョーコは、ふいに自分の背後で何かが動く音を聞いた。まるで、粘着質の肉が動いたかのような音――
(つづく)






<ふたなり寮>ACT7




 マスミが、アヤヒの頭に手をのせた。
 髪をなでた後、頬にまで手のひらを添わせ、その顔を見つめる。

「マスミさん……んぅっ♡」

 アヤヒは口づけられて、なんとも艶めかしい声をあげた。
(女の子同士で、あんなこと……)
 ユリカは胸のざわめきを覚えた。心地よいざわめきだった。初めてかじった禁断の果実の味に、ぞわぞわと身が震えるようだった。
 二人は未だ糊付けしたかのようにキスを続けていた。アヤヒが息継ぎするように色めかしい息を吐き、唾液が一筋垂れた。

「ん、はぁ……はぁ」

 アヤヒは口元を指で拭いながら、にっこりとほほ笑んで見せる。その笑みに応えるようにマスミも凛々しく笑顔を浮かべ、囁くように言った。

「アヤヒのお口を、借りてもいい?」
「は、はいっ! もちろんです……♡」

 アヤヒはゆっくりとその場で膝立ちになり、奉仕すべき先輩を見上げた。
 ちょうど目の前の高さにある、黒く、太い男性器を、両手で包み込んだ。マリの愛液で濡れているせいで、ぺちゃぺちゃと、湿った音がした。
 そして全く厭わずに、むしろ喜びさえ滲ませながら、あんぐりと口を開けて、肉棒を咥えていく。

「あむ……んぐ……ふぐ」
「んくっ……ふう……」

 マスミは、遠い目をして、たまらないという風にため息をついた。

「ちゅ……ちゅるるぅ……ふぅ」

 アヤヒが情熱的に舌を這わせ、念入りに顔を上下させてしゃぶりつくすと、マスミは内またになって、かくかくと膝を震わせている。喘ぎ声は大人しいが、いかにも気持ちがよさそうに、ユリカには見えた。
(あんなこと、させちゃうなんて……やらしいよぉ)
 同時に、強く嫉妬心を抱いていた。
(ずるい……わたしだって、ああいうこと、させたい……女の子にしゃぶってほしい……!)
 そう強く願えば願うほど、ユリカはマスミに自己投影して、肉棒を強く握りしめていた。
 いつしかスカートの上からではなく、捲り上げたスカートの下、下着からはみ出たそれを強くしごいている。

「アヤヒ……すごく上手……このままでは、出してしまいそう……」
「らひてふらはい……たっふり……すきならへ……」

 アヤヒは陶酔しきった様子で、激しく、しかし丁寧に、内頬のやわらかいところで、肉棒を刺激していた。
 完全に相手を信じ切り、健気に奉仕する姿は、ユリカにはうらやましく思えた。
 マスミがたまらなそうに前かがみになり、甲高い嬌声をあげ始めるころ、ユリカもまた射精の予感に我慢できなくなり、ますますしごく手を速めている。

「アヤヒ、アヤヒ……わたし、もう……!」
「おねらいひまふ……! んううううっ!」

 ぴゅるるっ、と白濁液が迸った。射精の瞬間、マスミが腰砕けになり、アヤヒの口から肉棒が抜けてしまっていた。
 アヤヒの顔が、何度も吐き出される精液で、どろどろに汚されていくのをユリカは見た。たまらなかった。
(女の子を、あんなふうに汚しちゃいたい……!)
 興奮がありあまって、一気に昇天していた。

「あ、いくっ、わたしもイクぅっっ!!!」

 叫びながら、大量の精液を床にぶちまけていた。身体から全てが吐き出されるような虚脱感と共に、やりきった満足感のようなものを感じながら、ユリカは幸福感に包まれていた。
(こんなに気持ちいいオナニー、初めて……)
 目の前で、本物のフェラチオを見ながらだったからに違いなかった。
 本当に自分がそんなことをしてもらったら、どれだけ気持ちがいいか、想像がつかない。
(キョーコにしごいてもらったら、シオリにしゃぶってもらったら、どれだけイイんだろう……?)
 そんな妄想に浸ってしまうほどだった。
 しかし、それも長くは続かなかった。二人が、ユリカの射精を目撃していた。

「ユリカさん、それ……!?」

 アヤヒは顔中に青臭い精液をかけられて、うれしそうな表情をしていたが、ユリカのとんでもない状態を見て、あらま、と口に手を当てている。
 マスミも同様だった。恍惚の余韻から冷め切らずにいても、ユリカがぱんぱんに膨れ上がった肉棒を握りしめているのを見て、ぽつりとつぶやいた。

「あなたが、ユーマが言ってた、わたしの後継者になる女の子ね」

 それらの言葉を聞いて、ユリカはさすがに自分に刺さる数々の視線に気が付いた。

「うそ……あの人、新入生のユリカさんだよね?」
「本物だよね、あれ。本当に、生えてる……! マスミ先輩と同じ!」

 いつの間にかユリカたちの周りを取り巻いていたバレー部員にこそこそと囁かれ、ユリカは奈落に突き落とされたかのような絶望感を味わった。
(学校中に、広まっちゃう……)
 もう自分のハイスクールライフは終わったのかと、半ば嘆かわしく思いながらも、半ばは怒りを抱いていた。あのキューという謎の生物にさえ出会わなければ、こうはならなかったのだ。
 そう思った瞬間、声が聞こえた。

「僕のこと、恨んでるのかキュー?」

 はたして、そのキューがマスミの足の陰から顔を覗かせていた。ユリカは冷や汗が出るのを感じた。どこにいても、いつでも付きまとってくる――これではまるで、この生物に呪われているかのようだった。

「あら、ユーマ。こんばんわ。あの子が、新しい後継者なのかしら」
「そうだキュー」

 マスミさんにはユーマと呼ばれているらしい。その生物は相変わらず無邪気にそう答えて、悪意のかけらもない瞳を、ユリカに向けた。

「ユリカは、まだ女の子の身体を味わったことがないらしいキュー」

 それを聞いて、マスミさんは、美貌を崩さずに、にやりと嬉しそうに笑顔を浮かべたのだった。

「それなら、今ここで体験させてあげましょう。アヤヒ?」

 アヤヒは、ユリカに嫌悪感を示す様子もなく、むしろ乗り気で、にっこりとほほ笑んだ。
 ユリカは呆然となるばかりだった。信じられなかった。どうして話が振られたアヤヒが、恥ずかしそうにこっちに向かってくるのか。頭では理解できても、心構えが追い付かない。

「ユリカさん、わたし、あなたのことも、とても可愛い女の子だと思うの。だから、ここに連れてきたんだよ?」
「……あ、アヤヒちゃん?」
「おちんちんも、すごく可愛い。先輩もそう言ってるし……わたしと、えっち、しよ♡」

 恥じらいを露わにしながらも、積極的に言い寄ってくるアヤヒに、強烈な性欲を感じた。
 しかし、まだ心がそれに抗っていた。これはいけないことだ、と壁を作っていた。

「で、でも――」
「大丈夫だよ、わたしは……もう、ヌレヌレだから」

 そう言って、スカートをまくって見せる。下着の割れ目の部分が、しっとりと濡れて変色していた。
(き、きもちよさそう……♡)
 その下着の奥の、ひだひだした、柔らかい肉の壺を想像して、ユリカは肉棒が再びがちがちに固まっていくのを感じていた。
(な、なにかんがえてるの、わたし! だめだってば……!)
 欲望に身を委ねそうになって、慌てて気を取り戻す。そのまま、衝動に任せて、ユリカは叫んだ。

「や、やっぱり、ダメ!!!」

 そして、次の瞬間には何にも目をくれず、一目散に逃げ出していた。

◇◆◇◆◇

(わたしは普通の女の子に、戻りたい……もうこんなの、いや!!)
 ぜいぜい呼吸を乱しながら、自室に向かって走っているときも、そのことで頭がいっぱいだった。
 異常なほどの性欲が、下半身からこみ上げてくるせいで、ユリカはそう念じていないと自分がコントロールできなくなっていたのだった。
 普通の男子でも、これほどまでに強い欲求を感じることはないはずだった。ユリカの身体は、例の謎の生物によって、かなり深いところまでおかしくなっていた。
 まるで他の女生徒を犯すためだけに、特化されていくようだった。
 ユリカは、自室の扉を力任せに開けて、こう叫んでいた。

「助けて!」

 ほとんど自意識が打ち消されるほどの欲求に抗うせいで、勝手にそんな言葉が口に出ていた。
 
「ど、どうしたの、ユリカ~」
「そんな慌てた顔して~。しかも、酔っぱらったみたいに顔が赤いよ? お酒でも飲んだの?」

 キョーコとシオリは、ジュースの缶を片手に、テレビを鑑賞中だった。大きく目を見開いて振り向きざま、硬直している。
 ユリカはその二人の服装に、どくん、と体内の血液が熱くなるのを感じた。
 下着姿だった。キョーコはバスタオルを羽織っているからまだいいものの、シオリに至っては、可愛らしい淡い色のブラジャーと、パンツだけを身に着けて、床にうつぶせに寝そべっている。
(な、なんでそんなエッチな恰好してるの……!)
 ほとんど隠されていない肌色に、ユリカはもう我慢ならなかった。
 さっき見せつけられたマスミとアヤヒの行為が、脳裏で自分とシオリの行為として再生された。
 自分もしてみたい。ため込んでいた欲求が堰を切ってあふれ出し、ユリカの自制心を崩壊させた。
 
「しおり……しおりいいぃっ!」

 泣き出しそうな声でユリカは駆け寄っていた。考えることを放棄して、ただ身体の奥深くから命じられる犯せ、という声に従っている。
 シオリのほうは、いきなりユリカが胸に飛び込んできて、びっくりしてしまった。さっきの「助けて」という言葉から、何か怖い目にあって、逃げ込んできたのかと思いこんでいる。

「ど、どうしたのユリカ!? 何かあった!?」
「……」

 ユリカは何も答えなかった。ただ、シオリをぎゅっと抱きしめ、のしかかっている。
 それを見て、キョーコは缶を手に、茫然とするばかりだ。しかし、次にユリカがとった行動には、さすがに違和感を覚えた。
 そのままシオリの上に馬乗りになり、その豊満な胸に、手のひらをむにゅっと置いた。シオリは突然のことに、思わず色っぽい声を漏らしている。

「ひゃっ」
「しおりぃ……」

 ユリカの目には、自らの下で、胸を触られて嬌声をあげる親友が映っていた。
(しおり、可愛いよぉ……♡ わたしのものにしたいっ……友達だから、許してくれるよねっ)
 もちもちとした肌に一度指を食い込ませると、止まらなかった。もみもみと、何度も揉みしだいて、その毬のような感触を味わった。
(女の子のおっぱい、最高……♡ こんなの、興奮しておちんちんガチガチになるぅ……♡)
 頬を上気させて、はあはあと荒い息づかいのユリカに、シオリは嫌な汗をかいて、尋ねた。

「ユリカ、なんか、変だよぉ……目つきが、とろんとして……酔っぱらってるの?」
「しおり、違うの……わたし、もう、我慢できなくてぇ……♡」

 ユリカは、もはや完全に性欲に支配されていた。相手の感情など考える余裕はなく、ただ己の欲求を満たすために動いていた。
 自分で制服のスカートをたくしあげ、下半身を晒した。
 それは異様な光景だった。むっちりとした太ももの根本、フリルのついた女性用下着から、血管の浮き出た、逞しい肉棒がはみ出ていた。その先端からは、よだれのように先走りを垂らしている。

「見て、しおり……わたし、こんなになっちゃったの……♡」

 シオリはもちろん絶句していた。初めて見る臨戦態勢の男性器を、失神しそうな顔で見つめている。
 その反応もユリカは気にしていない。ただ、欲に頭が満たされていた。
(こんなに気持ちいいおっぱいに挟んだら、どうなっちゃうの……♡)
 一方キョーコも、完全に驚きに身を貫かれ、ただその光景を傍観することしか出来ないでいる。
 部屋の扉が開けられたことにも気づいていない。

「あら、ユリカさん……すっかりサカっちゃって。わたしたちの出番はなさそうね」
「そうですね、先輩。少し残念です。あの子のあれも、挿れてみたかったのに……♡」

 ユリカがシオリの目の前に腰から生えた男性器を見せつける様子に、マスミとアヤヒは、どこか微笑ましい表情を浮かべている。
(つづく)






<ふたなり寮>ACT6




 ユリカはアヤヒに連れられて、彼女の部屋へと向かっていた。
 背後からその立ち姿を見ていると、やっぱり惚れ惚れした。
 なんといっても、引き締まった、いい体つきをしている。中学生の時は間違いなく運動部だったのだろうと予想がついた。ずっと帰宅部だったユリカとしては、引け目を感じるというより、ちょっと憧れを抱いた。
 ふらふらと花に吸い寄せられていく蝶のようにアヤヒについていくと、こんなことを話してくれた。

「わたし、バレー部に入ろうと思ってるの。いまやってるパーティーって言うのも、そのバレー部の新入生勧誘会みたいなものなんだーっ」

 ずばり的中だった。
 ぴっちりした体操着を着て、掛け声をかけながら、額に汗する女子生徒たちの姿が思い浮かんで、ユリカは自分がむらむらと興奮していることに気づいた。
(前はこんなこと、ぜんぜん興奮なんかしなかったのに~~)
 変化は身体だけでなく、着実に考え方や、感じ方にまで広がっていることが痛切に心に刺さった。

 それはともかく、バレー部と聞いて、ユリカには他に思い出すことがあった。
 ツバキ先生のことだ。あのムチムチとして、大人として熟し始めた女体を持つ先生。彼女は、バレー部の顧問をしていると、この間、聞いたばかりだった。
(もしかして、これって運命なのかも……)
 ユリカは、掛け値なしに、そう信じかけていた。それほど彼女たちに魅力があったからだし、それほどユリカはあまり物事を考えていなかった。

「アヤヒちゃんは、どうしてバレー部に入ろうと思ったの?」
「えー、やっぱり楽しいからかなぁ……? バレーする以外にも、楽しい遊びがたくさんあるし♡」

 なにやら頬を染めて、心躍らせた様子でいうものだから、ユリカはさらに期待を膨らませてしまった。

「ていうかわたし、ほんとはバレー部に入るつもり、なかったの。中学の頃は、水泳部だったし。でもね、先輩方が本当に面白い人たちでね、たのしいよ!」
「そうなんだ! わたしも面白そうって思っちゃった。今からでも、先輩方と仲良くなれる?」
「うんうん、まだまだバレー部は新入生募集中だって! 毎年何十人も入部してるから、心配しなくても大丈夫だよ!」

 これだけの会話で、すっかり二人は打ち解けあっていた。
(アヤヒちゃん、可愛いなぁ……ほとんど初対面なのに、こんなに優しくしてくれるなんて、もっと仲良くなりたいなー……)
 そう思いながら、心の奥底では、自分の思い通りにめちゃくちゃにしてやりたいという欲求が疼いている。友情なのか、肉欲なのか、ユリカは自分が抱く感情がごちゃごちゃにわからなくなっていた。本当は、打ち解けあってなどいないのかもしれなかった。

「バレー部はきっと、楽しいよ! 他のどの部活よりも、確実に、絶対に……ね!」

 アヤヒは、ふふっと微笑んだ。
 意味ありげな、含みのある言い方だったが、ずぼらなユリカに、そんなことは気づけない。
 ただひたすら、このアヤヒという女生徒と、ツバキ先生と一緒にいられるというだけの理由で、こう答えていた。

「決めた! わたしもバレー部はいろっと」
「それじゃ、決まりだね! ようこそ、わたしたちの、そして、|マスミさんの≪・・・・・・≫、バレー部に!」

 シオリもキョーコも誘って、仲のいい女の子たちと、楽しいハイスクールライフを送る……そんな輝く未来を想像しながら、アヤヒが手招く部屋に入った時だった。
 アヤヒが、ふと唇に人差し指をあて、ユリカの動きを制止した。

「今、大事なところだから、いいタイミングになるまで、こっそりここで見てよう」
「いいタイミング? どういうこと?」

 そう問いかけても、アヤヒは無言で首を振り、にこにことするだけだ。
 そこは他の女子生徒の部屋と比べて、明らかに大きな部屋だった。玄関から、直接部屋の中がのぞけない。そのときのユリカは、そのことを大して疑問に思わず、ただ緊張してアヤヒの後をついていった。
 足音を忍ばせて廊下を進むと、ユリカはとんでも空気感のようなものが、自分の周りを取り巻くのを感じた。
 ユリカはそれと気づいていないが、甘美で、身体の芯から熱くなるような、発情の雰囲気だった。
 かすかに聞こえる嬌声と、布と布、肌と肌が擦れる音、そしてむわっとまとわりつくような熱気が、直接感じられた。
(なに、これ……!? もしかして……?)
 ユリカは、処女らしい純粋さと、肉棒を固くする中学生男子のような性欲に後押しされ、吸い込まれるように部屋の奥まで入っていく。

 そのときだった。再びユリカを|幻想≪ビジョン≫が襲っていた。
 ぐらりと視界が歪むと同時に、自分がこれまでいた部屋が霞と消え、まるで本来そこにあったものが立ち現われたかのように、グロテスクなピンク色の肉壁が四方八方を取り巻いていた。
(いやっ! 気持ち悪い……!)
 化け物の体内にいるようだった。それはどくどくと波打ち、まぎれもなく生きていた。
 自分が、その一部にされてしまう気がして、ぐっと目を瞑った。

「ゆ、ユリカ、大丈夫!?」

 瞬間、アヤヒに身体を支えられて、なんとか倒れずに済んだ。
 目を開けると、目の前に心配げな可愛いアヤヒの顔があった。そして、その後ろの部屋も、正常に戻っている。

「うん……ごめんね、ちょっと貧血かも」

 とても、ユリカは自分が見たものをアヤヒに伝える気にはならなかった。気が狂ったと思われかねない。
 呑気なことに、向う側で起きている淫らなことを覗こうという欲求が再び湧いた時だった。

「ふう…………?」

 そこには、美しい女学生が膝立ちになっていた。いつの間にか、ユリカたちは覗き見るどころか、その光景のど真ん中に乱入してしまっていた。
 
「すみません、マスミせんぱい……」

 マスミ先輩と呼ばれた人は、見た目にも上級生なのが明らかだった。
 自分たちより、少し大人な雰囲気を醸している。自分たちより背が高く、つやのある黒髪を長く伸ばしている。その体は自分たちより女性として成熟し、丸みを帯びながらも余計な肉はついていない。
(綺麗な人……しかも、ちょっとかっこいいかも)
 彼女の凛としたたたずまいは、ユリカの心の女の子の部分を大いに刺激した。
 
 そしてその腰には――ユリカと同じ肉棒が生えていた。
 しかしユリカのそれとは程遠かった。彼女のクールな見た目からは想像のつかないような、醜い肉棒だ。使いこんだせいか、黒く色素が沈着し、でっぷりと肥え太っている。
 その表面にはぬらぬらと粘液が光り、しかも……白濁した液体が垂れていた。
 あまりの衝撃に、ユリカはあんぐりと開いた口がふさがらない。
(わたしの他にも……あれが生えてる人がいるなんて!!)
 さらに、膝立ちになったマスミ目の前には、今まで喘いでいた女生徒が、ぐったりと虚ろな目で寝転がっていた。マスミと同学年なのか、こちらも体つきが大人っぽい。肉棒に支配される快感に身を委ねた、淫靡な色気を放っている。
 遅れて、興奮した女性が発する、なんともいえない色香が香った。
 二人が欲求に溺れた後の、どろりとした淫らな雰囲気を感じて、ユリカは自分の肉棒がいつのまにか、びんびんに勃起していることに気づいた。

「今、ちょうどマリを|幸せ≪・・≫にしてあげたところよ。アヤヒ」
「うん……気持ちよかった……マスミ」

 マリと呼ばれた女生徒が、大きく満足げなため息をついた後、胡乱そうにユリカを見た。そして呂律の回らない舌で、つぶやくように言った。

「ようこそ……|マスミの≪・・・・≫バレー部へ……うふふ」

 そのあまりの色気に、ユリカは自分がその女性を犯したくてたまらないことに気が付いた。
(だ……だめだよ、そんなことしたら……!)
 ユリカの良心がそれを必死に止めるが、肉棒のほうは、さっきからヒクヒクと震えて、女の子を欲しがっている。
 その葛藤をよそに、あくまで淡々と、マスミは状況を進めていく。

「そのお友達の名前を教えて、アヤヒ。……彼女も、|わたしの≪・・・・≫バレー部に、入部希望でしょう?」
「ユリカさんですっ!」
「ユリカさん……ふーん、可愛い子ね」

 彼女の視線にまっすぐ射られて、ユリカは蛇に睨まれた蛙のように硬直した。獲物を捉えて逃がさない切れ長の瞳だった。
(も、もしかして……次は、わたし……!?)
 処女を奪われる恐怖と、自らの身体の異変を気付かれる恐怖がごちゃまぜになって、ユリカは足がすくんだ。
 しかし、それはただの品定めだった。次に彼女が襲う標的は、決まっていた。

「アヤヒ、いい子を連れてきてくれて、ありがとう。約束通り、ご褒美ね」
「マスミ先輩っ……! ありがとうございますぅっ!」

 アヤヒは頬を真っ赤に染めて、瞳を輝かせた。

「そんな……、アヤヒちゃん……!?」

 マスミは、下半身に何も身に着けない制服姿で、堂々とアヤヒに近づいていく。アヤヒはそれを受け入れるように、その場で胸の中心に手を当てて、恥ずかしそうに俯いている。
 ユリカはその場で座り込んでしまった。あまりに衝撃的な出来事が続きすぎて、立っている気力が尽きていた。
 しかし、現実に目を背けそうになりながらも、同時に期待してもいた。
 こっそりと、スカートの上から、がちがちになった肉棒を撫で始めるくらいには。
(つづく)






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