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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(3)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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〈アーク――1〉

 俺が異世界に転移したとき、最初に視界に入ったのは、何もない一面の青だった。
 雲一つない青空。日本では滅多に見ることのできないような澄んだ空だった。
 息を吸うと、空気がおいしい。それだけで元気が出るような気がして、俺は起き上がった。
 尻と手のひらに、柔らかい草が触れていたからわかっていたが、目の前に広がる光景を目にして、俺は心が洗われるような気分になった。
 ――果てなく広がる、広大な草原。
 俺は転生が成功したことを確信した。
 女神に言われていた通り、俺はもといた世界から、こちらの世界へとやってきたのだ。
 もともと、俺は自分の人生に飽き飽きしていた。何の変哲もない一般人として、惰性で大学に通う学生生活。リア充にもなる元気もなく、毎日をゲームばかりして過ごしていたところに、突然どこからともなく、このチャンスが巡ってきた。
 ある日、昼寝をした時に夢を見て、俺は女神に出会った。
 彼女は自らの世界を救うため、別の世界から勇者となるべき人間を探しに来たと言った。
 俺にはそちらの世界での一般人より高い能力が与えられ、このままの姿で別世界へと派遣される。そう聞かされて、全く躊躇せずに俺は引き受けた。
 こちらの世界に未練など一欠けらもなかった。俺は女神に目をつぶれと言われ、次に目を開いた時、この異世界に辿り着いていたわけだ。
 俺は、思い切り伸びをして、思案した。俺はまさに着の身着のままという感じで、昼寝したときに身に着けていたものしか、こちらの世界に持ち込んでいなかった。
 持ち物――Tシャツ・ジーパン・ベルト・下着、そしてスマートフォン、定期券、ハンカチとティッシュ。それが俺の全財産だった。
「さて、まず……どうしようか」
 そう呟いた時、ぐう、と腹が鳴った。
 まずは、腹ごしらえをせねばなるまい。
 俺は、遠く彼方に見える、建物の密集地――街を目指して、歩き出した。かなりの距離だ。どれだけかかるかわからなかったが、俺は嫌な気はしなかった。
 自らの手で、自分の人生を切り開いていける。それも、一から。
 女神から、ここは剣と魔法の世界だと聞いていた。きっと、勉強や人間関係に縛られず、自由に生きていけるに違いない。希望と夢が、溢れていた。

 アリサと初めて出会ったのは、その最初に俺が向かった街〈アスガルド〉だった。思い出すと懐かしいと思う。
 しかしまだその時は、俺は彼女を、ただの高慢な女騎士だとしか思わなかった――

〈ア―ク――2〉

 美しい自然の中を散歩するのは、なかなか楽しいものだった。
 ただひたすらに歩き続けて、俺は違和感を抱いた。あきらかに、前の世界とは違うことがあった。
 ――体が軽い。
 久しぶりに運動するのにも関わらず、ちっとも疲れなかった。元の世界では、大学に通うのさえ、ちょっと疲れるな、と面倒がっていたのに、足はぴんぴんしているし、気分も晴れ晴れしている。
「ステータスが高め、っていうのは、こういうことか」
 俺は早速、女神の恩恵を感じながら、上機嫌で歩いて行った。
 一つ残念だったのは、一匹も、魔物らしきものが現れなかったことだ。折角の高いステータスを活かして、魔物をザクザクと倒し、報酬と経験値をゲットするというのがセオリーなんじゃないだろうか。
 こういう草原には、決まって雑魚敵がたくさん出てくるものだ、と思っていたから、拍子抜けだった。
 ゲームのようにはうまく行かないものなのだろうか、とがっかりしているうちに、周囲の風景は変わっていき、草原は、人の手によって作られた畑へと変わっていった。
 畑と言っても、日本で見るような、画一的な畑ではない。好きなところを耕して、好きなものを植える。そんな感じの、適当極まりない感じの畑だ。
 赤い木の実が成っていると思えば、その隣には緑色の木の実が成っている。
(それほど文明が発達していないみたいだな)
 畑の作り方一つにしても、この世界はまだまだ未成熟なのが、はっきりと分かった。
 そして、もう一つ俺が畑について思い込んでいたことが裏切られた。
 きっと多くの者たちが、畑を耕しているのだろう――そういうものだと思っていたが、なんだか様子がおかしかった。
 ちらほらと見える小さな掘っ立て小屋には、ほとんど人がいない。広大な土地に、点々と人影が見えるのみだ。
「どういうことだ……?」
 さすがに、人手がいないと、これだけ広い畑は耕せないはずだ。一体どうやって管理しているのだろう、と思いながらも、それを尋ねる人すらいないから、悶々としたまま歩き続けた。
 かなり進んだところでようやく、小さな掘っ立て小屋の中に人影が見えた。俺はわき道にそれて、その小屋の扉を、トントンと叩いてみた。
 ややあった、ぎぃ、と音を立てて扉がわずかに開き、その隙間から娘が顔を出した。
 妙齢の娘だ。見た感じ、十五か十六くらいに見える。なかなか可愛らしい顔たちをしていた。
「あなたは……?」
 わずかにおびえた瞳で、俺のことを見ている。良い言い訳も思いつかず、俺は素直に白状することにした。
「ちょっとわからないんだ。最近この辺りに来たばかりで」
「……?」
 娘は、ぎょっとした表情をした。ちょっとまずいなと思って、言い繕っておいた。
「旅人みたいな感じかな。そう、俺は旅人だ」
「はぁ……旅人。なんだか、面白い格好をしているのですね」
 その村娘は、俺を頭からつま先まで眺めて、珍妙なものを見る目つきで、段々と俺への警戒を強めていくようだった。
 俺はとりあえず、聞きたかったことだけでも聞いておくことにした。
「それより、この辺りは人が少ないんだな。何かあったのか」
 娘は、特段変わったことでもない、という感じで言った。
「戦争が始まるんです」
「戦争?」
「ご存じないのですか? もしかして、遠くからいらした冒険者の方ですか」
「ああ、それだ。冒険者」
「冒険者様でしたか! それならそうと、最初に言ってくれればいいのに。おもてなししなくちゃ」
 村娘は、態度を一変させ、扉を開けた。にっこりと笑顔を浮かべる。
 あまりにもわかりやすい手のひら返しっぷりに、この世界での冒険者の地位の高さとこの娘の性格を見た気がしたが、もてなしてくれるのなら文句はない。
 全身を改めて審美してみても、見込み通りの綺麗な娘だった。ほっそりとスリムな体つきに、胸もお尻も、しっかりと出るところが出ている。栗色の髪には艶があった。
 ずっと着古していそうな服。貧しそうな雰囲気が染みついてしまっているが、娘の肌は瑞々しく、若い女の子らしい溌溂とした雰囲気があるのも確かだ。
「そこにおかけください、冒険者様」
 傾いたテーブルと椅子に座って、家の内装を確認する。壁には染みがあり、天井には蜘蛛の巣が張っていた。雨漏りしていたのか、床にはところどころ雨を受け止めるための容器が散らばっている。良い暮らしをしているというにはほど遠いようだ。
 村娘は奥へ引っ込んだかと思うと、にこにこと笑顔で食器類を持ってきた。ティーカップに、ティーポット、丸パンの乗った皿。どれも古ぼけていたが、異国情緒ある洋風のデザインで、以前と違う世界にいることを実感させられる。
「お出しできるものは少ないんですけど、ぜひくつろいでいってくださいね」
 村娘は、俺に向かい合った椅子に座り、ティーポットからほんのり甘い匂いのするお茶を注いだ。嗅いだことのない香りだ。
 皿の上に乗った丸パンは、どう見ても乾燥して、パサパサとしているように見えて、手を出すのを渋ってしまう。まだ、見境もなく食べるほど腹は空いていなかった。
「どうぞお召し上がりください」
 ニコニコとされながら言われると、手を付けないのも悪い気がして、一口かじってみる。思った通り、大しておいしいものではない。
 村娘は、ごくりと唾を飲んで俺の食事を見守っていた。どうやら、この子にとっては大事な食料だったらしい。
「そのパンは兄さまが帰ってきた時のために取っておいたんですが、出しちゃいました。なんといっても冒険者様ですもの。おいしいですか……?」
「あー、うん。おいしい」
「わあぁ……わたし、パンなんて何年も食べていないんです……おいしそう」
 ぽわぽわとした表情で、俺の咀嚼を見つめる村娘。唇の端から涎が垂れそうになっている。
 この子はいったい毎日何を食べているんだろうと突っ込みたくなったが黙っておいた。
 涎を指で拭って、娘は自己紹介をした。
「あっ、名乗るのが遅れてしまいました。わたしはハーナルと言います。この村で農家を営む一家の一人娘です」
「俺はシンヤ。よろしく」
「冒険者様がわたしの家を訪れてくれるなんて夢見たいです……どうして、こんなド田舎に来てくれたんですか?」
 ハーナルは興味津々といった感じで、目を輝かせている。
 冒険者という嘘をついてもてなしてもらった手前、適当なことは言えない。この娘、それほど頭がいいようにも見えないし、なんとか言い繕えるだろうと思って出まかせを言った。
「この近くにある大きな街に用があってきたんだけど、道に迷っちゃって」
「大きな街……アスガルドのことですか?」
「ああ、そう、それだ」
「ということは、やっぱり今度の戦争に参加なされるんですか?」
「そうそう。戦うために来たんだ」
「すごいですっ! 今回の戦争は規模が大きいみたいで、各地から勇者様が集められているっていう話は聞いてます! さぞ、お強いのでしょうね……」
「うーん、まあな」
「どこからお越しなんですか?」
「遠方の地、ニッポンから」
「へぇ……聞いたことないです。よっぽど遠くから来たんですね。その服もニッポンのものなんでしょうか」
「ニッポンでは皆、こういう服を着るんだ」
「おもしろいです……!」
 俺の話にうんうん、と頷きながら熱心に聞き入る村娘を見ていると、ちょっと可哀想になってくる。すっとぼけるのも意外と疲れるな、と思いながら、俺は使える情報を聞き出していく。
(つづく)
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