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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(4)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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「ところで、俺はその戦争に集められたわけなんだが、一体何と戦うのか、詳しくは聞いてないんだ」
「えぇーー! 聞いてないんですか!? もちろん、魔物たちですよ!」
 素直に教えてくれる村娘に感謝しながら、さらに質問を重ねていく。
「魔物たち?」
「この近くに、魔物たちの巣食う地があるのはご存知ですか? アルヴヘイムという名の地です」
「アルヴヘイム」
「一度その地に赴いたものは最後、戻ってくることのできないと言われる恐ろしい呪われた地です。多くの魔物たちが棲み処とするその地から、最近魔物たちの一群が出てきて、行進を始めたんです」
「魔物たちの行進」
「どうしてその魔物たちが棲み処から出てきたのかは謎なんですけどね……冒険者様は、本当に何もご存じないのですね」
「ニッポンはとても遠い地でな。情報も伝わってこないんだ。……それで、その魔物たちが、アスガルドに近づいているというわけだな」
「はい。緊急事態ですよ! こんなことは、これまでなかったんですから。冒険者様たちが参集しているのはもちろん、遠くにある帝国からもアスガルドに騎士団が派遣されたらしくて、まさに厳戒態勢ですね」
 滔々と語るハーナルに、ふと疑問を抱いた。
「ハーナルこそ、よく知っているな」
「お兄様がわたしに話してくれたんです」
「もしかして、お兄さんは……」
「アスガルドに行ってしまいました。父と兄と、三人暮らしだったんですけど、二人とも戦士としてアスガルドに召集されてしまったというわけです」
 こんな家に娘を一人で置いて行ってしまうあたり、その二人の無神経さが伺える。
「なるほどな……っていうことは、この村に人が極端に少ないのも、男手が皆アスガルドに召集されたからか」
「そういうことです。でも、わたしは寂しくないですよ。戦争が終わったら二人とまた一緒に暮らせますし何より戦争で一稼ぎしてきてくれますから。普段より豪華な食事をできるのが楽しみです」
 口ではそう言って見せるが、その表情からは寂しさが拭いきれていない。このボロ屋で一人ぼっち、長いこと家族の帰りを待ち続けるのはさぞ辛いだろう。
 なんとなくハーナルに情が湧いてきてしまって、俺は一つ提案してみた。
「なあ、お願いがあるんだけど……アスガルドまで道案内をしてくれないか。方向音痴なんだ」
「冒険者様のお願いなら、喜んで引き受けます!」
「あと、しばらく街の中も案内してほしいんだ。どこに武器屋があって、どこに居酒屋があるのかとか。しばらく付き合ってもらうことになるけど、いいか?」
「ええ、もちろん! わたしなんかがご一緒するなんてお恥ずかしいです」
 ハーナルはわかりやすく嬉しそうな顔をして喜んでいたが、ふいに何か思い出したような顔をした。
「……あ、すみません。見ての通り、わたしは貧しい農家の娘なので……ほとんど、お金がなくて……」
「飯は全部おごるよ。その代わりに、ついてきて話し相手になって欲しい。それだけでいい」
「本当ですかっっ!」
 ハーナルは身を乗り出して驚いた。俺が頷くと、感極まったのか何なのか、突然ボロボロと泣き出した。
「うぇぇ……ぐすん」
「おい……おい、どうしたんだよ」
「う、うぇぇ……こんなに懐の深いお方に出会えるだなんて、生きてきてよかったですぅ……わたしは一生、この村で貧しい暮らしを続けていくものだと……ふえぇ」
「泣くなって、おい……パン食っていいから」
「えぇ……!? これは、冒険者様のために……わたしなんかが口にするなんて」
「街で買うから、俺はいらないよ」
「いぃんですかぁ……! あむ……うぅ、おいしぃ……! 丸パンおいしぃ……」
 ハーナルは嗚咽をあげながら余計にボロボロと泣き出して収拾がつかなくなってしまった。
「辛かったよぉ……わたし、やっと報われたんですね……神様ありがとうございますぅぅ」
 俺はハーナルの背中を撫でてあやしてやりながら、こういう可愛い娘を救ってあげられる立場にいられることに感謝した。これも、こちらの世界に転生できたおかげだ。

〈アーク――3〉

 しばらくくつろいだ後、ハーナルを連れて、俺はアスガルドへと向かうことになった。
 ハーナルはほとんど準備もせずに、俺についてきた。
「あんまり物を持ってないんです……」
 恥ずかしそうに言うが、考えてみれば俺も大して持ち物に恵まれてはいない。
 もう一度確認すると、服を除いてスマートフォン、定期券、ハンカチとティッシュしかない。この世界で使えそうなものは皆無だ。武器になりそうな物なんてちっともない。
 そのこともあってか、案内される道中、ハーナルが聞いてきた。
「そういえば、シンヤ様はどんな武器を使うんですか? 今は武器を持っていないみたいですけど……」
「うーん、なんでも使えるよ」
「え……? すごいですっ! そんな冒険者様がいるだなんて……ニッポンという国の冒険者様はみなそうなんですか?」
「あー、みんなってわけでもないかな」
 適当に誤魔化すのが段々面倒になってきていたけど、嘘をこのまま貫き通すしかないだろう。
 村からアスガルドへは、あまり遠い道のりではなかった。街の建物が見えて来ると、ハーナルは指さして喜んだ。
「もうすぐです! 結構歩きましたね。普段は馬で来るからもっと早く着くんですけど」
「アスガルドにはよく来てるのか」
「行きますよ。わたしたちは農家ですから、父や兄と一緒に、穀物や野菜を売りに行くんです」
「なるほどな」
「それにしても、冒険者様とこういう風にふたりで街に出かける日が来るなんて……ふふ」
 ハーナルは瞳をキラキラと輝かせ、ニヤニヤと頬を緩めている。素直に思ったことが顔に出る子だな、と思った。大学には、こんなに純粋な女の子はいなかった。
 どんな反応をするのかと、意地悪してやった。
「ニヤニヤするな、気持ち悪いぞ」
「そ、そんなぁ、ひどいです! 折角連れてきてくれたのに、冷たくないですか?」
 困り顔になるハーナル。ぐずぐず泣いたり、ニヤニヤしたり、困ったり、コロコロ表情の変わるハーナルは見ていて飽きない。
「いいから立ち止まってないで、案内してくれよ。飯をおごってやらないぞ」
「えぇ!? わ、わかりました……行きましょう!」
 慌てて歩き出すハーナルについていきながら、いちいち可愛い反応に俺がニヤニヤしてしまっていた。
 街に入ると、急に人通りが多くなった。人の声が重なってガヤガヤと響いている。
 目を引くのは、そこら中に施された、パーティーのような飾りつけだ。まるでお祭りのように賑わっているし、街も盛り上げようとしているのが分かる。
「賑わってますね! 普段はもうちょっと静かなんですけど」
「冒険者が訪れるから、商売も繁盛するってわけか」
 すれ違っていく人々の服装に俺は驚いた。
 皆、冒険者なのだろうが、RPGで出てくるような装いの者たちばかりだ。防御力の高そうな鎧で身を包み腰に剣を携えている男、法衣を纏い身の丈ほどもある杖を抱えている女。
 その光景に胸が熱くなって、ついつい俺は道行く人々をじろじろと眺めてしまう。
「すげえ……」
「各地から冒険者様たちが集まってますからね。わたしもこんなに人がたくさんいるのは初めて見ました」
「そうじゃなくて、服装だよ、服装。みんな、ちゃんと冒険者って感じの服を着てるじゃないか」
「ニッポンから来た冒険者様らしい人は今のところ見かけませんね」
「遠い地だからな。この服は動きやすさを重視した服なんだ……やっぱり俺目立ってるか?」
「えっと……言っていいのかわからないですけど、ちょっと浮いちゃってるかもしれません」
「だよな。よし、新しい装備を買いに行こう。武具屋に案内してくれ」
「こだわりがあってその格好をしていたわけじゃないんですか……?」
「いいから案内しないと飯は抜きだぞ」
「えぇっ!? それだけはやめてくださいよぉ。お願いしますぅ」
「あんまりくっつくな、暑苦しい」
 すがりついてくるハーナルを急かして、俺たちは武具屋へと向かった。
(つづく)
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