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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(5)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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 ハーナルは農産物を売りに通っているだけあって、街のことをよく知っていた。自信のある足取りで、ぐんぐんと進んでいく。
 俺はそれを信用してついていったが、入り組んだ道を進みながら段々と街の中心から離れつつあることに疑問を抱かざるを得なかった。
「さっきから、いくつ何件も武具屋を通り過ぎてるが大丈夫か」
「その質問を待ってました。えへん」
 ハーナルは人差し指を立てて、得意そうな顔をした。
「わたし、ちゃんと考えたんです。きっと、普通の武具屋さんは今、ほとんど品切れだと思うんです」
 確かに見た感じ、武具屋はどこも品薄で、完売してお店を閉めているところもあった。
 今この街にいるのは、ハーナルの父や兄のように、もともと武器を持っていないのにも関わらず召集された者たちや、今回の戦争で一稼ぎするために来た者たちが大半だろう。それにも関わらず、皆格好いい剣や盾、防具に身を包んでいる。彼らがこの街に到着して、真っ先に考えたのは、俺たちとおそらく同じ、ちゃんとした装備を整えること、だったのだろう。
 武具屋に殺到して、あっという間に装備、武器を買い漁ってしまった。
 もちろん、自慢の武器を持ち寄っている者たちもいるだろうが、少数派だろう。
 そういうことをハーナルに力説されて、納得させられてしまった。感心していると、得意満面な笑顔を浮かべた。
「えへへ、わたし、役に立ってますよね?」
「そういうことを自分で言われると、褒めてやる気も失せるな。あんまり調子づくようなら村に帰ってもらうぞ」
「その言い方はさすがにひどいですよぉ、折角いいこと教えてあげたのにぃ」
 頬をむくれさせるハーナルをあやすのは面倒だったが、勝手に喋り続けてくれるおかげで気まずくならないのは楽でいい。内心では、いい子だなと思っていた。
 さらに歩き続け、すっかり寂れた地区に来てようやく、ハーナルが立ち止まった。目の前には、人のいない廃墟があるのみだ。
「ここです。じゃーん」
「なんにもないじゃねえか」
「表には簡単に顔を出さないんです。知る人ぞ知るお店ですから」
 そう言って、ハーナルは廃墟の中へと入っていく。本当にこの村娘についてきてよかったのかと不安になりながら、俺は一人で待った。
「フレイさん、いますかー」
 そんなハーナルの声に、廃墟の中から別の声が答えた。
「おっ、ハーナルじゃないか」
 こんな廃墟だ。みすぼらしい人間が出てくるのかと思いきや、ハーナルに連れられて現れたのは、眼光の鋭い女だった。
「新しいお客さんかい? わたしはフレイ。武具屋、〈レージングル〉へようこそ」
 妙にボーイッシュな喋り方をする女だった。
 とはいっても、容姿は美人の類だ。長く伸ばした赤髪と、胸元を押し上げる柔らかそうな膨らみが、女であることを主張している。革の生地で出来た格好いい感じの服からも、すべすべとした白い肌が覗いている。
 フレイは、俺を妙な奴を見るような目でじろじろと見た。Tシャツにジーパンという、この世界ではありえない姿をしているのだから仕方ない。
「この男は昔話してた婚約者か? 村の農家の息子っていう。変わった服装をしてるな」
「違うんです。冒険者の方で、シンヤさんと言います。偶然わたしの家を訪ねてきて、今は案内してあげてるんです」
「ほう……? まあいい。あたしの考えたところだと、おそらくこの男の装備を整えに来たんじゃないかな?」
「そういうことだ。どんな装備があるか、見せてもらえないか?」
 俺が言うと、フレイは軽く唇を噛んで、どう言おうか考える素振りを見せた。
「うーん……実は今、この〈レージングル〉でも品を切らしちまってるんだ。どこの武具屋もそうだとは思うけどな」
「えぇ!? 品切れなんですか? そんなぁ……」
「おいおい、どうしてくれるんだよ、ハーナル」
「ご、ごめんなさい……ここまで来てもらったのに。許してくださいぃ……うえぇ」
 そこまで強く言った気はないのに、急にぐずぐず泣き出すハーナル。
「すぐ泣くなって。面倒くせえから」
「で、でもぉ……わたしが連れてきたせいで無駄足を……なんでもしますからぁ、ぐすん、おいしいご飯だけは、おいしいご飯だけはぁ」
「わかった、わかったって。だから一旦泣き止んでくれ」
 ハーナルが俺の足元にくずおれて泣くのを見て、フレイはドン引きしながらも困り顔で言った。
「お前ら、どういう関係なんだ? ……ともかく、武具自体は、実は、ある。だから泣くな」
「あるんですか!」ハーナルがぱっと顔を明るくする。
「あるんだが……とある事情で、売りに出せない状況でね」
「それは、俺たちが聞いていい話か?」
「〈レージングル〉の客には、この話をした上で物を売ってる。シンヤと言ったか、他の者に口外しないのなら、教えてもいい」
「もちろん黙っておくよ」
「ハーナルの友人なら信用できるな」
 約束すると、フレイはぶっ飛んだことを言うのだった。
「〈レージングル〉は、盗品で商売をしてるんだ。戦場で死んだ戦士たちが使っていた剣や鎧を拾い集めて売ってる。死人が着ていた鎧を着るのは薄気味悪い、と言う奴もいるが、あたしは気にしちゃいない。そして、わたしが客として相手するのは気にしちゃいない奴らだ。あんたはそうかい?」
 盗品での商売。だから、こんな辺鄙な場所に隠れ住んでいるのかと納得がいった。
 ハーナルが、再び申し訳なさそうに縮こまっている。
「そのこと、伝えないでここに連れてきちゃってごめんなさい……」
「別に問題ないよ。俺はそういうことは気にしないタイプだ。とにかく武器も防具もなくて困ってる」
「最近はそんな奴らばかりだ。あんたらみたいな、これまでまともに戦闘したことのない奴らが付け焼き刃の装備を買って戦場に出ると、あたしらが再び回収しに行くような羽目になることが多くてな」
 つまり、俺が戦死して、その死体から再び装備を剥ぎ取ることになると言いたいのだろう。ハーナルが見かねて口を挟んできた。
「失礼ですよ、フレイさん。シンヤさんは遠方の地からはるばる来た冒険者様ですからねっ!」
「冒険者か……そう名乗るのならば、多少は実力を認められているのだろう。いいだろう、それなら装備を売ろう。条件付きなら、タダでくれてやってもいい」
「タダでいいんですか!?」
 ハーナルは信じられないという風に言った。
 一方俺は、条件、という言葉に妙に引っかかっていた。何かわけありそうな話に引っ張り込まれるのを感じながらも、装備を手に入れるためならば、引き返すつもりはなかった。
 折角の異世界ライフ、魔物と戦って冒険するというのがロマンというものだ。多少の綱渡りくらいしないと面白くない。
「いったいどういう条件だ?」
「話に乗ってくれそうな手合いで嬉しいよ。さっき説明した通り、あたしは盗品商だ。そして、この街は戦争に向かって盛り上がっている。やることは一つに決まっているだろう」
「というと?」
「戦争開始までもうわずかだ。全身をしっかり装備で固めた戦士たちが、魔物退治のために一斉に戦場に出る。あたしの読みでは、魔物の大群に押されて、大半の戦士たちはそこで命を落とす。アスガルドの存亡も危ないと思っている」
 衝撃的な発言。相変わらず鋭い瞳をしたフレイがほらを吹いている様子はないし、その言葉には、彼女の経験に裏打ちされた確証がありそうだった。
 ハーナルはとんでもないとばかりに反論した。
「そんなことないです! みんな一生懸命準備してます。アスガルドは魔物たちの手に落ちたりはしません!」
「ああ、すまない。ハーナルの兄と父は戦場に向かうのだったな。彼らぐらいの実力があれば引き際を見極めて戻ってくることは出来るだろう。安心しろ。だが、アスガルド自体は十中八九、このままでは滅ぶぞ」
「どうしてそこまで言えるんだ?」
「それについては後で説明しよう。とにかく話を戻すと、戦場で多くの者が命を落とす。つまりあたしの買い入れ時ってわけだ。出来るだけたくさんの剣、槍、弓をかき集めたい。そこで必要になるのが、人手だ」
「手伝ってほしいってことか」
「もともと何人か雇おうと思ってた。装備を売れないというのは、〈レージングル〉自身が装備を身に着けて戦場に出るためだ。あんたがその一人になるというのなら、タダで装備をくれてやる」
 フレイの提案は悪くないものだった。
 俺はまだ自分の戦闘での実力を測り知れないでいる。最初は〈レージングル〉に協力しながら、戦場がどのようなものか様子見をするくらいがちょうどいいんじゃないだろうか。
「戦場で得た武器や装備を譲ってもらうことは出来るか?」
「もちろんだ。今回の戦争はかなりの大漁になる見込みだ。気に入ったものをいくつか持ち帰られてもどうってことはない」
「決まりだ。その話、受けよう」
「ありがとよ。戦争が始まったらまたここに来てくれ。その時に出来るだけ良い装備を渡そう」
 意外にも、おいしい話にありつくことが出来た。
「でかしたぞ、ハーナル。お前のおかげで色々うまくいきそうだ」
「えっ、そうですか? えへへ、急にそんなに褒められると照れちゃいますよぉ」
「それじゃあ、また会おう、シンヤ」
 フレイがそう言って、廃墟の中に戻っていこうとするところに、ハーナルが慌てて頼み込んでくれた。
「あー、そのことなんですけど……簡単な装備だけでいいので、シンヤさんに今渡してあげられませんか?」

〈ア―ク――4〉

 俺はフレイにもらった服を着て、ようやくこの街の風景に馴染むことが出来た。
 一般的な冒険者の服装。魔獣の革や毛で編まれた防具に、そこそこいい感じの剣や盾。着てみると、自分がRPGに出てくる勇者になったような気分で、ちょっと嬉しかった。
「やっぱりこっちのほうが格好いいですよ!」
 ハーナルも俺の姿を見て上機嫌になった。
 しかし、どうすればいいのか、と途方に暮れる物事に思い当ってもいた。
 ここまで、自分は転生者としてステータスが優遇されていると思っていた。実際、体力は以前よりはるかに高いのはこの街にたどり着くまでの徒歩でわかった。でも、一つ不安なのが、戦い方がわからないことだった。
 試しに、さっき剣を振ってみたのだが、いまいち体にしっくりこない。
「なんだかへっぴり腰じゃないですか?」
 ハーナルにもそう言われてしまい、不安になってしまった。
 女神に転生させてもらった際の言葉を思い出す。俺にはそちらの世界での一般人より高い能力が与えられる。そう聞いていたはずだった。どのくらい信用できるのかはわからないが、剣や魔法の技量はかなり高いものだと思い込んでいた。
 それがあまりあてにならなさそうだと、ようやく気付いたわけだ。
 とりあえず、さっき考えた通り、フレイと一緒に戦場に出て、様子を見てみるしかないだろう。
「次はどこに行きましょう、シンヤさん?」
 元気いっぱいのハーナルにそう言われても、なんとなくぼんやりしてしまっていた。
「……どうしましたか? もしかしてお腹空いちゃいました?」
「ご飯のことしか考えてないお前と一緒にするなよ」
「ひどいですぅ、ご飯以外のことも考えてますよぉ……」
 よく喋るハーナルの相手をしながら、そうして街を歩いている時だった。
 通りの奥の方から、何か大きな集団が近づいてくるのが分かった。
「騎士団様一行だ!」
「道を空けないと!」
 歩いていた人々が、声を張り上げ、道の脇へとよけていく。
 何がこっちに向かってくるのかと思って隣のハーナルを見ると、彼女もよくわかっていないみたいだった。
「誰でしょう? 偉い人かなぁ」
 もたもたしているうちに、その集団がすぐそばにまで来ていた。
 最初に目に入ってきたのは、輝く甲冑だった。キラキラと太陽の光に輝く騎士鎧を着た集団が、馬に乗って行進しているのだ。
「あっ、わたし思い出しました! 帝国から派遣されてきた騎士団様たちです」
「騎士団?」
「魔物たちの襲撃を食い止めるために、救援に来てくれたんです」
 ハーナルの説明を聞きながら、俺は騎士団の中の一人に目を留めていた。
 たった一人、目を引くその人物――女騎士が、一人紛れていた。頭部装甲を外した彼女は、栗色のウェーブする髪を風に揺らしている。
 その場にいる者たちは少なからず、紅一点の彼女に注目していたが、その視線を撥ね退けるようなつんとした顔で、一切笑顔を見せようともしない。
 馬に乗り、高いところから見下ろす彼女は、なんとなくプライドが高そうな雰囲気が出ており、あまりイメージはよくなかった。
 俺が見つめている人物に気づいたのか、ハーナルはニヤニヤしながら話しかけてくる。
「あの人、綺麗ですね。戦う女の子が好みなんですか?」
「いいや。騎士なんかやってる女なんて、ろくな奴じゃないだろ」
「そうですか? わたしは憧れるけどなぁ」
 これが、アリサとの出会いだった。
 まさか彼女と再会し、助けてあげることになるとはこの時は思いもしなかった。残念なことに予想通りプライドが高くてロクな奴ではなかったが、俺はアリサとハーナルと三人で初期パーティーを組むことになるのだった。
(つづく)
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