ユリカは、夢見心地の世界にいた。
そこは、純白の羽毛がひらひらと舞う部屋だった。床も天井も、どこもかしこも純白の美しい毛に覆われている。
ユリカはそこで、ぼんやりと座り込み、幸せな気分に包まれている。どうしてこんなところにいるのかという疑問は、全く浮かばなかった。
「キュー……」
聞き覚えのある可愛らしい鳴き声が聞こえる。
真っ白いふさふさの毛に覆われた生き物が、てくてくとユリカに向かって歩いてきていた。例の生物、キューだ。膝元まで歩いてきたそれを、ユリカは抱き上げた。心地よい触り心地だった。
そのくりくりした瞳が、ユリカをまっすぐ見つめる。
「おめでとうキュー」
祝われて、単純に幸せな気分がさらに増すユリカだった。頭の中に霧がかかったようになって、熱にうなされているときのように、頭が働いていない。
「でも、もっと先に行けるキュー。ボクは、そうしてもらわないと困るんだキュー」
キューが少し悲しげな声音で言って、ユリカも悲しくなった。この愛らしい生物を助けてあげたいという思いで胸がいっぱいになった。
「一度|膣内《ナカ》の感触さえ味わってしまえば、ユリカはもう戻れないキュー。今すぐこのままの勢いで、あの子を犯すんだキュー」
その声と共に、ふいに、異変が起きていた。
世界《・・》が、溶けていく。空中を漂う羽毛がどろどろと溶け出し、床、壁、天井、全ての白い羽毛まで、同じように爛れていく。
ぐちゃぐちゃの油のように溶けると同時に、色がどす黒い赤に変色してもいた。その赤の中には無秩序に暗い青や茶色が混ざっていて、醜いことこの上なかった。
美しかった風景が、みるみるうちに目も当てられないほど汚くなっていった。
まるでもともとそこにあったものの表面が剥がれて、醜い内面が表れていくようだった。
吐き気を催すような気色悪さに、ユリカは目をつぶって叫び声をあげる。しかし、その自分の声がユリカの耳には聞こえなかった。いや、声すらあげられていないことに気づく。ようやく、自分を幻想の世界から引き戻そうと意識した。
何かが変化したことを感じて、目を開ける。
(あ……れ?)
現実世界に戻ってきていた。どこかから帰ってきた気がしていた。
そして、目の前には、先ほどまでなかったものが現れていた。
キョーコが、白い毛に覆われて床に寝そべっていた。それは美しい光景だった。
下着姿なのは、さっきと同じだ。異様なのは、白い毛の束のようなもの――あるいは、触手のようなもの――が、床や壁からぬっと生えて、その体を拘束するように絡みついているところだ。
その毛の束はキョーコの膝の裏を通って、その体を締め付けていた。つまり、キョーコを膝を抱えたような姿勢にさせていた。当然、大事な部分がユリカに向けられる形になる。
「ん……?」
そう、寝言のようにつぶやいている。その瞳に光はなく、半開きだった。
明らかに、普段のキョーコではない。白い触手に、何かおかしくされていた。
しかし、ユリカはそんなことなど眼中にない。そこにある、美しい羽毛に飾りつけられた、無抵抗な女体に目が釘づけになっている。
(キョーコ……綺麗……)
ユリカはシオリの上から立ち上がり、マスミやアヤヒに見られているにもかかわらず、まっすぐにキョーコに近づいていった。
その柔らかい太ももをきゅっとつかんでも、軽く身ゆすりするだけで、ほとんど反応がない。ユリカの心拍が、再び上昇していく。
「キョーコ……いいの……シて、いいの……?」
そう囁きかけながら、ユリカはすでに自らの肉棒を片手で支えて、もう片手でキョーコの下着に手をかけている。
普段自分の下着をおろすように、するするとそれをおろすと、ピンク色の女性器が、ユリカの目の前にさらされた。自分の女性器を鏡で見ることがあっても、他人のそれをこんなに間近で見るのは初めてだった。
ぴとり、と触ってみる。親友のそれを触ることに、妙に興奮していた。
「ここも、綺麗……触ってるよ……キョーコ?」
話しかけても反応はない。ユリカは拒否されていないと感じて、そのままくにゅり、と性器を愛撫した。
一度始めると、女の子の身体を自由に弄りまわすことが、楽しくて仕方ない。しかもこれまでずっと一緒に遊んできた親友の身体をいじっているという事実が、さらにユリカを興奮させた。
(こうしたら、濡れるよね……キョーコ)
ユリカだって、オナニーくらいはしたことがあった。その要領で、割れ目の上の方にある、木の芽みたいな突起をくりくりと指の腹で優しく刺激した。
「んー……あっ……ふ……」
続けるうちに、キョーコの息が次第に荒くなっていく。奥の方から、じんわりと粘液があふれて、性器全体に広がっていく。
早く挿れようと、すでに割れ目にぴったりあてている肉棒に、トロトロとそれが付着していった。ほんのり香る、女の子の芳しい匂いに、ユリカの頭は沸騰した。
(キョーコの体、えっちぃよ~……もう、挿れないなんて、ありえない……♡)
ずぶりと、親友の柔らかい性器の中に、自分のカチンコチンに固まった性器を突き立てた。
途端、変な声が出た。
「んぅ……っはぁ♡」
むにゅ……ぷちゅ。
温かくて湿った、なんともいえない感触の柔肉が、ユリカのそれをぴったりと締めつけた。まるでその柔肉が、意思を持って、ユリカの肉棒を離すまい、と食いついてきている気がした。
少し挿れただけなのに、奥へ奥へと、引き込まれていく気がした。
これをするために生まれてきたんだと思うくらい気持ちよかった。
「あ……あぅっ♡ あぁ~!」
ユリカは未知の快感に、がくがく震えた。そして早くも射精している。我慢しようと思う前に、精液をとろとろと漏らしてしまった感じだった。それほどに気持ちがよかった。
見ると、まだ中ほどまでしか性器を挿入できていなかった。
(キョーコに、こんな簡単にイかされちゃった……|膣《ナカ》、気持ちよすぎだよぉ……)
すっかり蕩けた顔で、ユリカは行為に夢中になっている。
全く肉棒は硬度を失っていなかった。射精したばかりで敏感なそれを、さらに奥まで挿入した。
「キョーコ、もうちょっとだけ……あうぅ♡」
「? んぅ……?」
キョーコは、ユリカがその太ももを両手でおさえて、腰をぐっと前に押し込んでも、曖昧な声を出すだけだ。しかしその声はどこか色っぽく、甘い響きを含んでいた。
ユリカは一番奥まで挿入したころには、またお漏らしをするように精液を出していた。男と違って我慢するという概念はなかった。気持ちよくなったら、そのたびに素直に射精している。
「あ、あれぇ? また……出るぅっ♡ これ、止まんないよぉ……ああぁん♡ また出るぅ……!」
可愛い女子高生がぷるぷる震えながら、甘い声をあげて射精する姿は、あまりにも卑猥だった。
ユリカはとどまることを知らない快感で絶頂し続けていた。いくら射精しても精液がなくならないのだ。
ユリカの身体に異変が起きているのは間違いなかった。本来なら、出すたびに襲ってくるはずの余韻や、達成感がまるでない。男性器が、まるでユリカから独立した生物かのように、一通り気持ちがよくなるたびに、精液をびゅるびゅると放ち続け、睾丸がどくどくと波打ち続けている。
明らかに、ユリカに生えてきたものは、人間の男性のそれとは異なっていた。それは男性器を模した、別の何かだった。
「ユリカさん……これで完全に、ふたなりの快楽の味を知ってしまったわね」
マスミが妖艶な笑みを浮かべながら、ユリカが闇に落ちていく様子を見ていた。
その目には、自分と同じ境遇になってしまったユリカを同情するような色も交じっている。
「しばらくはあなたが相手してあげなさい、アヤヒ」
「はい、先輩っ♡」
そう元気に答えるアヤヒは興味津々な様子で、ユリカの乱れる姿を観察していた。
ユリカは艶のある髪をばらばらと乱し、制服に精液が飛び散るのも構わず、のろのろと腰を振り続けている。呼吸するたびに喘ぎ、その瞳はキョーコでなく虚空を見ている。表情は淫らな笑みを浮かべ、だらしがない。
突然言葉を発すると思えば、次のような言葉だった。
「あっあぁ……っ! 出る、また出るぅ~!」
ユリカは慣れない腰つきで、ぱちゅん、ぱちゅんとゆっくりピストンを繰り返している。突然ぶるぶるっと痙攣するたびに、毎回精液をびゅるびゅると漏らしていた。
「何回出しても止まんない……♡ まだ出るよ、キョーコ……」
キョーコの膣から白濁液が溢れはじめても、気が狂ったように腰を振り続けるユリカを見て、キューがてくてくと近づいた。
「そろそろ頃合いだキュー……このままではキョーコが壊れちゃうキュー」
途端、キョーコを縛っていた白い毛の束が引っ込み、反動でキョーコは横倒しになった。
ユリカの肉棒がずるりと膣から抜けて、ピストンが終わる。
同時に、栓を失ったキョーコの膣から、ぶびゅっと精液があふれ出し、床に精液溜まりをつくった。
(もうちょっとだけ……)
ユリカは再び肉棒をどろどろの膣にいれようとするが、ふいにキューが間に立った。
「ユリカ、少しは加減を覚えるキュー……それがこれからの課題だキュー」
キューが体に触れた瞬間、ユリカは身体がぐらりと揺れるのを感じた。どっと疲労が押し寄せてきた感じだった。瞼が重くなり、身体に力が入らない。
(あ、れ――)
ユリカは、一気に意識が朦朧としかけるのがわかった。
同時に、正気に戻っている。これまでの、勝手に自らを突き動かされるような欲求が引っ込んで、自分が自分である感じが、戻ってくる。
ふと冷静になって部屋に倒れたキョーコとシオリを確認し、寒気が襲っていた。
(わたし――うそ――)
二人とも、自分が出しまくった精液でめちゃくちゃに汚されていた。あまりにも酷い光景で、到底自分がしたこととは思えなかった。
(そん、な――)
しかし、明確に自分の記憶に、自分がそれをしたことが残っていた。急に申し訳ない気持ちが湧き上がってくる。二人を助け起こそうと思うが、その前に、ユリカの意識は消えていた。
(つづく)
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