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<妹姫6話>黒龍の襲撃と学園のもう一つの姿




「城の魔力源を全てこっちによこせ!」

 赤髪を後ろで一つに束ね、後ろに流した女が叫んだ。
 その女の声は低く、胸は平たい。眼光は敵を射抜くように鋭いが、整った顔形をしていた。
 野性的な美貌と男性的な厳しさを兼ね備えた女で、レイジが現れるまでは、密かに姫たちの人気を集めていた。

「マカデミア教官、あの、今魔力大砲と魔力供給管を調整していますが、少々時間がかかるかと……」
「はやくしろ! もう敵はすぐそこまで来ている。手遅れになるぞ!」
「は、はい!」

 怒鳴りつけられた生徒は、慌てて城の中へと駆けこんでいく。
 マカデミアの手元には、彼女の身長ほどの巨大な大砲があった。城壁に古来から備え付けられたものだ。黒い石造りで、外見だけでその威力がうかがい知れる。
 少しずつ充填されつつあるその大砲を指でこつこつと叩きながら、彼女は城壁の上部分、砦に集まった生徒たち一隊に怒鳴る。

「くっ……このままでは間に合わん! 他の戦力……レイジ閣下の帰りはまだか!」
「すみません、まだダンジョンの探索中とのことです……!」
「ったく、どこで油を打ってんだ閣下殿はっ!」

(皇族の長男として訓練を受けてきた彼以外、誰が龍に敵うというのか)
 歯ぎしりしていると、悲鳴のような声が聞こえた。

「先生! もうすぐそこに、ドラゴンが!」

 見張り塔からだった。覚悟を決める余裕もなく――
 翼を広げ、それは高い城壁の上を悠々と飛んできた。
 全身、漆黒の鱗に包まれた黒龍だった。手足は小さいが、広げた翼は体長の2倍近くある。その影はマカデミアや生徒たち全員を飲み込んだ。
 黒龍は空中から、ゆっくりと彼女たちにその目を向けていた。マカデミアは思わず一歩退いてしまう。
(勝てるのか……あのような太古の魔物に)
 圧倒されていると、そこに一人の生徒が叫ぶ。

「先生、大砲の準備が完了しました!」
「よ、よし! 照準を合わせろ!」
「はい!」

 歯車の回る音が鳴り響き、砲口が黒龍に向けられる。その間も、黒龍は宙に留まっている。マカデミアには、黒龍が余裕の佇まいで彼女たちを観察しているように見えた。
 とにかく攻撃のチャンスを逃すわけにはいかない。彼女は気合を入れて叫ぶ。

「|撃て《てぃ》っ!」

 腹の底に響く地響きのような衝撃とともに、紫色の炎の球が砲塔から吐き出される。
 それは轟音を立てながら風を切り、まっすぐ黒龍へと向かう。黒龍は逃げる暇もなく、数多くの炎の球に襲われた。
 咆哮が空に響く。灰色の煙が黒龍を覆い隠した。

「やったか!」

 思わずマカデミアは歓声をあげるが、煙が消えた時、彼女は呆然とすることになる。
 黒龍は怯むこともなく、悠然と砦に降り立っていた。衝撃で石造りの砦が振動する。

「まずい! みんな逃げろ!」
 
 一目散に砦を下りていく生徒たちの中、マカデミアも撤退しようとするが――

「きゃっ」

 一人の生徒がつまづいて転んでしまう。足をひねったらしく、その場から立ち上がれない。迫る黒龍を見て、尖ったエルフ耳が緊張でぴんと立っている。

「チコ! しっかりしろ! 回復して逃げろ!」
「ご、ごめんなさい! せ、先生は逃げてください!」

 泣きそうになりながらチコは叫ぶが、マカデミアはその場に踏みとどまっていた。
 彼女愛用の大剣を、まっすぐに構える。身の丈ほどもある、分厚い剣だった。
(勝てるとは思えないが……わたしが時間稼ぎをしなければ、生徒が)
 彼女は悠然と一歩一歩近づく龍に向かって駆け、大剣をふるう。力強い剣撃だったが……
(!?)
 岩でも叩き切れる一撃が、呆気なく弾かれる。
(この甲殻、硬い……! 物理が通らない!)
 しかも弾かれた隙に、龍は体重を乗せて腕を彼女に振り下ろしてくる。咄嗟に大剣でガードするも、彼女はふっとばされて大砲に背を激突させた。彼女のHPがほとんど削られる。

「くっ……なんだこの威力は! かはっ!」
「先生! そんな、ボクのせいで……!」

 チコは何もできず、ゆっくりと迫る龍を見上げるしかない。
 突然、雷属性の電撃が走る。それは黒龍の顔面に直撃し、黒龍は煩わしそうに発射元に顔を向ける。
(魔法攻撃は通る……わたしの出番はないってわけか)

「にしてもあの雷属性の魔法……サーニャか!」

 城壁の淵から下を見ると、そこに魔女姿の生徒たちが集まっていた。
 その中心で分厚い本を片手に持っているのは予想通りサーニャ。隣では彼女にヘーゼルが何か指南している。
 黒龍もサーニャたちに気付き、標的を彼女に変える。たまらずマカデミアは叫ぶ。

「逃げろ! 攻撃力が半端じゃない!」

 わらわらと駆けだす魔女たちに向かって、黒龍は滑降していく。マカデミアは次の手を打つべく、砦で足を引きづり準備をし始める。
(あの古代の装置を起動するときがくるとはな……)

***

 ダンジョンから戻り城の庭園に入った途端、驚いた。
 さっきの飛影は、ドラゴンだった。分厚い革で出来た感じの翼といい、鞭のような長い尻尾といい、俺の好きなゲーム「ハンマー&ソード」の中の黒龍そっくりだ。

「すっげえ! あれって絶対ミラボ――」
「レイジ様、喋ってないで逃げないと!」

 ノエルは俺の言葉をさえぎり、恐怖に引き攣った顔で俺の腕を引っ張る。だが、そこに声が飛んだ。

「ノエル! 敵に背を向けるつもりか! お前はそれでも姫騎士か!」

 聞き覚えのある凛々しい声が響く。それを聞きノエルははっと立ち止まった。
 黒龍の足元に、クリスティーユが堂々と立ちはだかっている。
(さすがは俺の見込んだ女騎士……!)
 その背後では、さっき会ったサーニャと教師のヘーゼルが身を寄せ合って分厚い本に目を通し、何かぶつぶつ唱えている。
(魔法の詠唱か……あの位置じゃ危ないんじゃ?)
 周囲で槍を構える他の姫騎士たちは恐れをなして、近づけない。一部の勇気のある姫たちは攻撃するが、呆気なく渾身の突きを弾き返されている。
(物理攻撃は通らないのか……?)

「お前もこっちに来て、騎士団の務めを果たせ! 己を犠牲にしても姫への忠誠を尽くすのが、姫騎士というものだろう!」
「で、でも――」

 ノエルが何か言おうとした瞬間、黒龍は耳をつんざく大音響で咆哮した。一瞬、耳が聞こえなくなるほどの音量で、その場にいる全員が耳を塞ぐ。
(やばい……あんな魔物、勝てる気がしない!)
 俺も危機感を感じ始めていたが、騎士団長はさすが格が違った。

「この臆病者が! わたしが手本を見せてやる!」

 クリスティーユが槍を引き構えると、その刃が光を帯び始める。

「|燦槍撃《グロリアス・スピア》!」

 眩しくて直視できないほどまで光輝いた槍が突かれると同時に、巨大な衝撃波が放たれる。
(お、いけるんじゃ……!)
 俺は黒龍にダメージをかなり与えられたんじゃないかと思ったが――

「なっ! 全然効いてないだと!? なぜだ!」

(やっぱり物理は通らない……)
 黒龍は動じずに首を回して周囲の姫騎士たちを見ている。
(何か、探してるのか……?)
 簡単に蹴散らせるはずなのにそうしないのは、何か理由があるように思える。
 首を回すのをやめた龍は、歯を食いしばるクリスティーユに向け溜めのモーションを取り、牙の隙間から紫色の火炎を放射した。クリスティーユは盾を構える。

「クリスティーユ先輩、逃げて!」

 ノエルが必死になって叫ぶが、逃げるには手遅れだ。しかし、炎がクリスティーユに届く直前、遮るように半透明の結界が形作られる。
(魔法か……?)
 よく見るとサーニャが片腕をあげている。彼女が魔力障壁を作り出しているらしかった。
(いや待てよ……サーニャのやつ、まだ何かやるつもりだ)
 彼女はまだ詠唱をやめていない。

「レイジ様、空が……」

 ノエルに言われて見上げると、いつの間にか灰色の雲が渦を巻いて立ち込めている。

「まさか……同時に二つの魔法を発動させてるのか?」
「きっとそうです! サーニャのスキルは「同時詠唱」なのです!」
 
 すげえ頭良さそうなスキルだな。
 黒龍も異変に気付いたのか、頭上を見上げた時だった。
 空気を切り裂いて、稲妻が枝分かれしながら龍へと迫る。その速度に、当然避けきれず――
 雷が落ちた瞬間、轟音が響き、ピカッとフラッシュを焚いたような光が辺りを満たす。
(たおせたんじゃね……?)
 激しい光にやられた目が回復したとき、龍はまだその場に立っていた。

「そんな、まだ倒れないなんておかしいです!」

 ノエルが言うのを、龍の怒りの咆哮が遮る。
(これは……勝てるのか!?)
 サーニャやヘーゼルは体力を削りきれなかったことにぎょっとした顔で龍を見上げている。そんな中、また聞きなれた声が聞こえた。

「マリ皇女、もっと速く走ってください!」
「走るのなんて、何年ぶりかしら! 足がもつれて!」

 見ると、相変わらず猫を抱えたウィルベルが一人の女の子を連れ、俺たちのいる方角、学園の外に向かって息を切らして走ってくる。銀髪ストレートの女の子だった。宝石が輝くティアラを頭に伸せ、姫らしく長いドレスは走るのに邪魔そうだ。
(ん?)
 ……どこかで見覚えのある顔だと思ったら、現世の幼馴染みにそっくりだった。顔つきはおとなしげ、目元のあたりまで一致している。違うのは髪の色だけ。
(嘘だろ……瓜二つじゃねえか)
 思わず目が離せないでいると、俺のもとに駈け寄ったウィルベルが荒い呼吸のまま喋る。

「もう学園の中でさえ安全でないと姫たちから聞きました! 学園に連れてきていた従者たちも既に帰国しており、戦力が足りません。ご主人様も一緒に逃げましょう!」
「ああ、そうしよう――って言いたかったけど……そういうわけにもいかなそうだ」

 俺の目線の先では、なぜか龍がこっちに顔を振り向けていた。
(一切攻撃してないのに何で狙われてるんだ?)
 奴の瞳には……俺とマリ皇女、どちらが映っているのか。とにかく、やつはこれまで、ずっとどちらかを探していたようにしか思えない。
 きっと何か理由があるんだろうが、今考えるべきことではない。
 既に覚悟が決まっていた。ひとまず幼馴染みそっくりの子を、守らなければならない。

「あの飛行能力……外はかえって危ない。城の中に逃げ込もう。こっちに」
「で、でも今城から出てきたばかりなのに――」
「はやく!」

 ここまでの観察で、龍は翼を使えば素早く動けるが、歩行がのろいことはわかっていた。
 攻撃力や防御力が高いが、素早さがない脳筋タイプの魔物だ。
 一番近い校舎に向かって走ると、思った通り小さい足でのしのしとついてくる。距離が空いていたこともあり、なんとか接近しないで済む。
 屋内に入り一息ついて、考える。
(これから、どうやって奴を倒せばいいんだ……?)
 少なくとも脚部や腹部には物理は通らない。俺はほとんど呪文を知らないから、魔法攻撃も行えない。
 考えうる方法としては、あるかわからない弱点を探すか、それとも……
 ウィルベルの胸の中から、にゃんこが飛び出す。
――僕が呪文を教える! だけど君の最強スペックでも、喋るスピードは他人と変わらない。強力な魔法の詠唱には時間がかかるよ。しかも何回魔法を放てば勝てるかわからない。龍はこの世界では最強クラスの魔物だ。奴を討伐しにいって、帰ってきたものはいないと聞く。
――ああ、そうかスミレがいたか。わかった、魔力源は……
――そこの皇女様は龍属性の魔力を持ってる。彼女を使って。龍には龍属性が一番効くからね。

「ご主人様、あの、はやく逃げないと……」

 俺の腕を掴むウィルベルの手は、震えている。

「大丈夫だよ、ウィルベル。でもどこに逃げれば――」

 突然、衝撃とともに一撃で壁の一部が崩壊した。石の塊が飛び散り、女子二人が悲鳴をあげる。
 空いた穴から、龍の巨大な瞳がこっちを覗き見ている。
(まずい……城の中もダメか!)

「とにかく逃げよう!」
「もう足が動きません……」
「皇女様、諦めてはいけません! あなたは国をささえるお人で……あ」

 何かに気が付いて、ウィルベルが手鏡を取り出す。

「こんな時に誰が……」
「お前がレイジ殿の従者か! レイジ閣下はいないのか!」
「今ここに……」

 龍が放った火炎放射の熱を背に感じながら逃げつつ、ウィルベルから手鏡を受け取る。
 赤髪ポニーテールの女が、鋭い目線で話しかけてくる。

「わたしはこの学園で教官をやっている者だ。いきなりだが中央校舎に向かってくれ、殿下。そこで決着をつけられるはずだ」
「お前のこと、信じていいのか?」
「正直わからん……一度も使ったことのない古代兵器を使う。だがそれ以外に方法がない」
「ご主人様、連絡橋を通れば中央校舎に行けます……そっちのほうが頑丈で安全なはずです!」
「わかった。急ぐぞ」

 背後で石造りの壁が崩壊する音を聞きながら、俺たちは連絡橋へと走る。
 魔法を詠唱している暇なんかない!

***

「おい……壁がないぞ」

 連絡橋は文字通り橋だった。姿が丸見えだ。危険すぎる。
 しかしもう遅かった。城を破壊しながらすぐそばまで来ていた龍が、俺たちを見つけ咆哮する。

「接近戦じゃ勝てない……走れ!」

 龍が腕で橋を攻撃し、足元に衝撃が走る。
(このままじゃ橋が落ちる……!)
 しかも長い首を活かして、一気に顔面を近づけてくる。攻撃をくらうか、橋ごと落ちるかのどちらか。時間の問題だった。
(なんとかしないと……)
 龍と目線が同じになって、ようやく気付く。
(そうだ………硬いのはあの甲殻。眼球になら物理が通る。ここからなら、攻撃できるはずだ!)

「二人とも逃げて。ここは俺が何とかする」
「ご主人様!?」

 俺は「そこそこ上質な剣」を鞘から引き抜く。
(今の俺はマックスレベルのLV150だ……剣の扱いがわからなくても、なんとかなるはず!)
 剣を構え、駆けだす。不思議と頭は冷静だった。

「そんな無茶苦茶な! ご主人様おやめください!」

 ウィルベルの悲痛な叫びを無視し、俺は正面突破を挑む。
 LVMAXの動きは常人にはとても真似の出来ないものだった。龍が振り下ろした腕をするりと回避し、龍の顔面向けて高く跳躍する。
 
「うおおお!」

 ゲームの主人公になった気分で雄叫びをあげる。龍の眼球に向け、剣を思い切り振り下ろす。
 攻撃は命中し、黒い血のようなものが噴き出す。龍は苦悶の咆哮をあげ、思い切り振り払うように頭をぶんまわした。
(あ……攻撃後のこと考えてなかった)
 滅茶苦茶なスピードで吹っ飛ばされ、連絡橋の下まで落下する。
 腕をついて立ち上がろうとするが、激痛が走る。

「いってええええええええええええええ!」

 地面についた方の腕が、肩のあたりから変な方向に曲がっている。骨が飛び出していて、血がみるみるうちに流れ出す。
(そんな……ゲームみたいに吹っ飛ばされるだけじゃないのか!?)
 もっとLVが低かったら、地面に叩き付けられた時点で即死だったのかもしれない。
 龍はその眼に深く突き刺さった「そこそこ上質な剣」をどこか遠くに吹っ飛ばしていた。俺の武器はなくなった。
 ウィルベルが橋の上から驚愕の表情で俺を見ている。

「ご主人様! う、腕が!」
「それよりお前は逃げろ! ……あのドラゴン、まだピンピンしてる!」

――はっきりした……狙いは君だ! こっちに向かってくるよ! 
 橋から器用に飛び降りた猫のスミレは、手鏡を口にくわえている。

「レイジ殿下! 準備ができた! 中央校舎の近くの城壁まで来てくれ!」
「きっとあそこです、ご主人様! 後ろの城壁に教官先生が!」

 振り返ると、城壁の上に赤い髪の女が堂々と仁王立ちしている。
 龍は再び俺に残ったほうの目を向け、一歩一歩地響きをたて歩いてくる。翼を使うほどの距離が空いていない。
(もうすぐ……!)

 半身を血まみれにしながら、気力を奮い立たせ、俺は城壁へと走る。
 その間、激しく視界がピントの合わないカメラのように揺らいでいた。出血しすぎたのだ。
 後ろからついている影を、俺はぼんやりと知覚していた。また攻撃してくるかと思いきや、そこに誰かの声が響く。女の勇ましい声だった。

「大砲、全門放火!」

(あれは……?)
 見ると、城壁に設置された大砲らしきものが全て、一斉に火を噴いていた。
 全弾が黒龍の身体へ命中する。黒龍はある程度ダメージを負っているらしく、悲鳴のような声で吠えている。

「とどめ! |撃龍槍《げきりゅうそう》、放て!」

 突然、目の前の城壁から巨大な棘だらけの禍々しい槍が暴力的なスピードで飛び出した。
 槍は黒龍の胸の甲殻を強引に破壊し、突き刺さる。黒い液体が噴き出す。黒龍は激痛に身を悶えさせる。
(撃退、したのか……?)
 もはやそれが信じられなかった。
 地面に倒れ伏せた龍は慌てて翼を広げ、空へと羽ばたく。
 城壁の向こう側へと、帰っていく……俺は安心して、がくりと膝をついた。身体に力が入らない。

***

 庭園の花に埋もれ、俺は仰向けに倒れていた。サーニャが呼び出した雲はなくなり、綺麗な青空が視界いっぱいに広がっている。
(やべ……身体から力、抜けてくんだけど)

「閣下、腕が欠損しているではないか……!」

 意識が朦朧とし、ウィルベルとマリの必死に呼びかける声が聞こえるなか、そんな低めの声が唐突に聞こえた。
(君は、近いうちに殺される)
 そんなことを言われた記憶が蘇り、ぼんやりと、自分の死を覚悟しているところだった。
 目を開けると、赤髪の大人の女が立っていた。女戦士といった感じの風貌をしている。生徒たちと違い、下はスカートでなく黒いズボンをはいている。

「レイシア、アイシア、急ぎ治療を頼む」
「はーい」
「了解でーす」

 彼女は背後に二人の大人の女を引き連れていた。二人とも、ナース服を着ている。足にぴったりした黒いパンストを履いていて、むちむちした太ももがなんともエロイ。
(死ぬ間際なのに、こんなこと考えてるなんて……俺、バカだろ)

 俺の傷ついた片腕に触れたその二人は、よく見ると全く同じ顔かたちをしていた。
 面白い耳の形も、全く同じ。まるでエルフみたいに、ぴんと上を向いた耳だ。
(幻覚でも見えてんのかな)
 二人は俺の腕を傷口にあて、呪文を唱える。

「「オールリカバリー!」」

 淡い緑色の光とともに、ぐちゅ、と何かが接着する音がした。
 なんとか首をひねって見ると、肩が元通り繋がっている。
(え……マジかよ。一瞬で治っちゃってんだけど!?)
 痛みも退きはじめていた。しかし、出血多量で今にも意識が飛びそうなのは変わらない。

「ご主人様、これで一命はとりとめましたね……よかった……!」
「ふあ……よかったのです。このまま霊が分離するかと思ったのです」
「しかし、騎士が見習うべき高潔な一騎打ちであった。尊敬するぞ」

 ウィルベルの他に、知っている声も二つ聞き取れた。姫たちが、俺の周りに集まっている模様。
 そこに、また赤髪の女が喋りかけてきた。

「まずは、感謝しよう……閣下、我らの要塞を守っていただいたこと、ありがたく思う」

 赤髪の女に頭を下げられた。俺がいなかったらこの学園は黒龍に破壊されていただろうから、当然のことだ。

「だが、もう少し身体を大切にしてくれ。御身体はいくらでも再生できても、絶命し、霊が肉体と分離してしまったら、二度とその身体で生き返れないことは心得ているはずだ。次期皇帝閣下が亡くなれば、この帝国は支えを失う。他国や、魔物の侵入にすぐ敗れ去ることだろう」
「いくらでも……再生できるのか?」
「どうした、不思議そうな顔をして。ああ、そう言えば閣下は道中幻属性魔法にかけられたとの話だったな。生徒たちから聞いているぞ」

 一つ質問しておこう、と彼女は言った。

「なぜ帝国の一点に、帝国の主要魔法戦力である姫たちが集結しているか、覚えているか? 学園が城塞の形をとっている理由を記憶しているか?」
「そんなの、知らねえよ……」
「そうか、では答えよう。覚悟してもらう必要があるからな。この学園は、確かに……こほん……王族繁栄のためにある。しかしもう一つの裏の役割は、帝国領内への魔物や他国の侵入を食い止める、最初にして最後の砦……軍事要塞だ」

(なんだそれ……キツイ展開だなぁ……)
 俺は、そう思ったのを最後に、意識を失った。
(つづく)







<妹姫7話>双子エルフの保健室




「これはあくまでも、男性機能の検査ですからね? レイジ様?」
「わたしたちのおっぱいで、お射精してくださぁい……うふふ」

 突然だけど、俺は今、ナース姿の双子エルフに看護という名のおっぱい検診を受けていた。
 ふたりのあわせて四つの豊乳が、俺のペニスを全方向から刺激しているのだ。
 柔らかすぎて、どこで胸と触れ合っているのか、境界がわからなくなるほどだ。

「すげえ……くっ」
「わたしたちほど巨乳のお姉さんって、お姫様方の中にはあまりいないでしょうからぁ」
「年上も素敵だってことも、今日は覚えて帰ってくださいね」

 クスクスと笑いながら、二人は半脱ぎ状態のナース服からこぼれた大きな乳房を手のひらで寄せ、むにゅむにゅとペニスに擦り付ける。
 二人は銀髪セミロングだったが、頭の横におしゃれな編み込みを作っていた。右を編み込んでいるのがレイシアで、左を編み込んでいるのがアイシア。
 レイシア、と呼ばれたほうのエルフがうっとりと頬を染めて言う。

「それにしてもすっごーい……レイジ様のおちんぽ、ぱんぱんに膨れ上がってますよぉ」
「興奮していただけてるんですねぇ、うふふ」

 彼女たちは舌をべろんと大きく出して、とろみのある唾液をペニスや自分の巨乳にまぶしていく。
(上手だな……気持ちよくてたまんねえぜ)

「二人は、どこでこんなことを……?」

 そう訊くと、双子の二人はぴったり同時ににっこりする。

「ご存じないですかぁ? わたしたちは帝都近くの箱入り娘とは違うんですぅ。ハーフエルフの弱小国は、ひっそりと森の奥深くにあるので」
「情報統制が少し甘めなんですぅ。色々知ってますよぉ」
「男の人がどうされたら気持ちよくなっちゃうかとかぁ」
「女の子が男の人にどんな風に犯されちゃうかとかぁ」

 息ピッタリで二人は言って、うふふと笑いあう。
 発言から面白いことが読み取れた。二人ともハーフエルフだったのか。純血のエルフは他にいるようだ。

「二人とも経験済みなのか」
「ええ? 違う違う、そういうことじゃないってば」
「わたしたち根が真面目だからぁ、勉強熱心だっただけだよね? 回復魔術に関しても、えっちなことに関しても」
「意外だな。てっきり二人とも単なるビッチかと」

 そう言うと、二人は顔を見合わせて笑う。

「ひどぉい。身体は大切にレイジ様に捧げるために守ってきたのに。一応私たち王族だし、下級身分の村男に身体を渡すなんて嫌だわ」
「皇帝殿に犯してもらえるしきたりならぁ、願ったりかなったりだよねぇ」
「あとあとぉ、純血のヒューマンおちんぽのほうが気持ちいいっていうし」
「うんうん。なによりレイジ様みたいなイケメンとエッチしたいし」

 これがイケメンの特権か……。

「そろそろピクピクしてきましたよぉ」
「ここからぁ、赤ちゃん汁がどぴゅどぴゅって出るって読んだけど……本当なんですかぁ?」
「見てなよ……そろそろイキそうだ」
「了解でーす」

 俺の言葉を聞くと、二人のエルフはますます乳を寄せ、刺激を強めてくれる。
 二人とも楽しそうにマシュマロみたいな胸でペニスをしごく。もう限界だった。

「ぐあ……出る!」
「「きゃあっ!」」

 ペニスの脈動が終わるころ、二人を見ると……白濁液が顔や胸や服に飛び散っていた。ねっとりと、糸を引いている。

「やだぁ、たっぷりかかっちゃいましたよぉ……ナース服がどろどろですぅ。先生にぶっかけるなんて、いけない生徒ですね……」
「精液臭くなっちゃったじゃないですかぁ……こうなったら、責任取ってもらわないといけませんね?」

 二人は、精液を浴びながらも一層興奮した様子で俺を見つめている。
 いつも通り回復ベッドがぼおっと薄く光り、へたりかけていたペニスを再び勃起させる。
(次は本番かな!)
 そもそもどうして、こんな嬉しい事態になったんだっけ……

***

 目を開くと白い天井が見えた。
 俺は清潔なベッドの上に寝転がっていた。カーテンがその周りを取り囲んでいて、周囲から隔絶された空間になっている。どうやら、ここは病室、いや保健室のベッドといったところか。
 静けさが辺りを支配しているあたり、今は深夜だろうか。
(いてて……)
 右腕を動かそうとすると、まだ少し痛みが走る。
 顔をしかめて呻くと、カーテンの一部がするり、と開いた。二人の女性が、向こう側から出てくる。

「目、覚めました? レイジ様」
「御身体の具合はいかが?」

 俺の腕を再生してくれた二人の女性が、揃って俺の顔を上から覗き込んでいた。声が全く同じだ。

「ああ、ちょっと痛いけど平気だよ」
「まあそうじゃないと困りますよねぇ」
「わたしたちが心を込めて回復魔法かけたんですものぉ」
「そういえばそうだったな、ありがとう」
「いえいえ」
「お仕事ですから」

 俺が黙ると、二人は何やら俺を見てこそこそ囁きあい始めた。

「えーと、何か俺の顔についてるのか?」
「いえいえ、なんでもないですってぇ」
「ゆっくりお休みしてくださいね」

 二人はカーテンの向こうへ戻っていった。しかしまだ相談する声がかすかに聞こえる。
 全神経を傾け耳をそばだててみる。

「最初にやっちゃおうって言ったのはレイシアでしょ?」
「でもぉ、お誘いするなんて恥ずかしいしぃ……わたしよりアイシアのほうがエッチじゃん、わたし知ってるんだからぁ」
「そんなことないってばぁ、オナニーだって二人一緒に、同じ回数しかしたことないでしょう?」
「それは、アイシアがしてるとわたしもしたくなっちゃうからでしょ……わたしたち、そういうスキル持ちなんだから」

 どう考えてもエロイ話をしてる。なんとなく自分がこれから何をされるか予想できた。どうしようかと思っていると。

「もう、わかったよぉ、レイシア。わたしが行く」

 アイシアと呼ばれたエルフがカーテンを開き、ベッドの脇でしゃがみこむ。
 俺と同じ目の高さで、頬を染めて囁く。

「あのぉ、レイジ様?」
「どうした……何か俺としたいことでも?」
「はい、その通りですぅ……特別検診、させていただきますね」
「特別?」
「そのぉ、帝として一番大事な能力……生殖能力を、お測り申し上げたく存じます」
「まじで? いきなり?」
「よろしいですかぁ?」
「……仕方がないな」
「はい。では、おズボン下ろしますね……うふふっ。レイシア、お許しいただいたよぉ」
「はーい……レイジ様、二人で検診させていただきますね」

 そうして、俺はあれよあれよと言う間に服を脱がされてしまったのだった。

***

「素股って言葉、レイジ様はご存知ですかぁ?」

 カーテンで仕切られた密室の中。
 ナース服のスカートを脱ぎ去り、黒いパンストに包まれた下半身をさらけ出したレイシアが、俺の上に馬乗りしている。ストッキングに染みついた女の匂いがほんのり香る。
 この状況だけで、ペニスはガチガチに固くなってきている。
(エルフおまんこ、超楽しみだぜ)

「次は素股してくれんの?」
「はい、責任とってもらわないといけませんから、ね? レイジ様も、たくさんエッチなこと、したくないですかぁ?」

 レイシアは、パンストにくるまれた温かい太ももで、膨れ上がったペニスを挟み込み、きゅっ、きゅっとしごき始める。
 すっかりズル剥けになったペニスの皮が、ずるずると動きに合わせて剥けたり被さったりする。

「レイシアの太もも、いかがですかぁ?」
「むちむちだし、パンストがすべすべ……ペニスについた唾液のおかげでヌルヌル滑るし」
「ではでは、もう少し深くまで挟みますね」

 レイシアは股間にペニスを挟んで、パンスト越しにおまんこをなすりつけ始めた。
 円を描くいやらしい腰振りで、見ているだけで勃起の力が増す。

「レイシア、上手だぞ……もっとやれ」
「はぁい、レイジ様ぁ……んんっ」

 レイシアも、性器にあたる男のモノで感じているようだった。
 そこで異変が起こる。脇で見ていた同じくパンスト姿のアイシアが、股に手のひらを挟んで、なぜか悶えはじめる。

「ああ、ダメですぅ! レイシアが気持ちいの、伝わってくるよぉ」
「アイシアったら、一人でそんな声出さないっ……あぁん」
「でもぉ……びんびん伝わってくるんだもん……」

 アイシアとレイシアのエルフ耳が、交信するようにぴくぴく動いている。
 保健室は二人の喘ぎ声で満たされ、なんともエロイ雰囲気。

「アイシア、お前どうしたんだ?」
「あの、わたしたち……二人でペアの、|共感《シンパシー》のスキル持ちなんですぅ……だから、レイシアが気持ちいいと、わたしも……ふあぁっ」

(双子らしいスキルだな)

 俺は二人を困らせてやろうと、自分からレイシアのパンスト越しの素股にペニスを出し入れする。

「だ、だめですよぉ……わたしがレイジ様を治療しているのにぃ!」
「ひゃあッ! 伝わってくる快感、一気に強くなっちゃいましたぁ!」

 リズムよく腰振りしていると、ビクっ、とレイシアが震える。パンスト越しに、とろみのある愛液が溢れ出すのが感じられた。

「いやぁっ! ……はあ、はあ……レイジ様より先にイってしまいましたぁ!」
「ああぁ! アイシアもイきますぅ! イクぅ!」

 遅れてアイシアもびくんと達してしまった。何も触ってないのに。
(面白いな……どっちかをイかせればもう片方もイっちゃうのか)
 これから二人に何をしてやろうかと企んでいると、レイシアが待ちきれなさそうに言った。

「はぁ、はぁ……ではでは、そろそろわたしたちの処女、ご賞味になりますかぁ?」
「きっとこれまでで一番、気持ちいいですよぉ……?」

***

「いやぁん、レイジ様ったらエッチな生徒さんですぅ」
「ヘンタイさんなんですね、わたしたちを並べて犯そうだなんてぇ」

 ベッドの上には、二人のエルフが並んでよつんばいになっていた。
 黒の光沢のあるパンストにくるまれた丸いお尻を俺に向かって突き出している。お尻から太もも、足指までぴっちりと覆うパンストは半分透けているが、下着が透けて見えていない。

「二人とももしかして、ぱんつ履いてない?」
「ばれちゃいましたぁ?」
「このストッキングは、下着の役目も果たしてるんですよぉ? 直ばきって言うんですぅ」
「じゃあ一気に脱がすよ」
「あんっ……」

 二人のパンストに指をかけ、同時にずりさげる。真っ白なお尻が黒い生地に包まれた太ももといい感じのコントラストだ。

「おまんこ、すうすうしますぅ……」
「ったく、お前らもうとろとろじゃねえか」

 愛液を垂らすふたつのおまんこが、挿入を待ちかねてヒクヒクしている。いやらしい女の匂いが、カーテンに区切られた部屋の中に充満していた。

「先に突っ込まれたいのはどっちだ?」
「もちろん、レイシアにいれてくださぁい」
「ダメですぅ、アイシアにくださいよぉ。いくら「共感」するからって、生おちんぽのほうがいいに決まってるじゃですかぁ」

 二人して、ねだるようにペニスにお尻を押し付けてくる。漏らした先走りが、白い尻肉を汚していく。
(もう我慢できねえ……)

「じゃあ、さっき素股してくれたレイシアで。よっと」
「ああぁん! はいってきますぅ――くぅ、いたぁ……」

 ぬるぬるなエルフおまんこのヒダ肉を、みちみちと拓いていく。
 レイシアが身をのけぞらせて痛みに耐えると同時に、アイシアもエルフ耳をぴくぴくさせ、痛覚を「共感」する。二人そろって辛そうな表情になり、背筋を強張らせた。

「うそっ……こんなに痛くなってるの、レイシア!?」
「レイジ様に気持ちよく種付けしていただくんです……くうう、耐えましょう、アイシア」
「頑張れ、二人とも。じゃ、アイシアも処女喪失しちゃおっか」
「えぇ? ……いやぁ、んんんん!」

 レイシアから引き抜いたペニスを、アイシアに一気にぶち込む。めりめりと柔肉が裂けていく。再び、共感した二人を痛覚が襲う。

「いったあぁ……二回も痛みを味わわなければならないなんてぇ」
「もう痛いのイヤですよぉ……」

 二人とも口調は変わらないが、目尻に涙が浮かんでいる。やっぱり未開通のおまんこを無理やり開拓されるのは、なかなかの苦痛を伴うらしい。

「大丈夫だよ、二人とも。このベッドも、回復ベッドだろ?」
「えぇ? このベッドっておまんこも回復してくれるんですかぁ? あ……」

 二人を青白い光が下から照らしだす。光が消えたころ、二人は驚きの声を上げる。

「すごぉい……万能ですぅ。もう全然痛くないですよぉ」
「またおまんこがうずうずしてますぅ……レイジ様、はやくわたしたちに女の快楽を、教えていただけませんかぁ?」

 すっかりエロイ発情顔で、二人が俺を振り返る。
(しょうがないエロエルフたちだな……こんな淫乱が保健室の先生なんて驚きだぜ)
 俺は、アイシアのみちみち締まる愛液まみれおまんこを、ずちゅずちゅ撹拌しはじめる。
 途端、気持ちよすぎて俺は思わずため息をついてしまう。
(エルフおまんこ、キツキツで超気持ちいいじゃん)
 アリスやリナより狭い感じで、奥ゆきも狭い。簡単に、子宮口をノックできてしまう。

「あぁん! すごいですぅ! レイジ様のヒューマンおちんぽ、太くておっきいぃ! こつんって奥に当たってますぅ!」 
「やだぁ、アイシアがみっともないくらいおちんぽで感じてるの、伝わってきますぅ……!」

 二人は同時に甘ったるく喘ぎ始め、カーテンの中はラブラブな雰囲気に包まれる。アリスとリナの時も思ったが、3Pって賑やかで楽しいな。
 女の子は、温かくて柔らかくて気持ちいい。一人でもウィルベルの言う通りなのに、二人も相手にしたら、こっちまで女の子の甘さにとろけてしまう。

「そろそろレイシアのおまんこに交代だ!」

 ぬるり、と愛液を掻きだしながら、アイシアからペニスを引き抜く。
 レイシアの性器からは、独りでに透明な愛液がトロトロと溢れ出していた。

「はぁい、お願いしますぅ……触られてないのに感じまくってるレイシアにおちんぽ下さぁい――やあぁん、きたぁ、おちんぽ来ましたぁ!」

 一気にペニスを打ち込むと、さっきまで挿入していたアイシアのおまんこから愛液がぴゅるっと飛び出した。潮吹きというやつだ。ゾクゾクと何度もお尻を震わせて、アイシアはぴるっ、ぴるっと最後までフェロモン汁を出しきってしまう。

「……んあ、はあぁ……! 嘘ぉ、アイシア、なにもされてないのに潮吹きしちゃいましたぁ!」
「まだ休憩は出来ないからね。レイシア、動かすぞ!」

 ぱちゅんぱちゅんと腰を振ると、二人はエルフ耳で「共感」しながら、淫らに腰を揺らめかせ夢中になって喘ぎまくる。

「んほぉぉ! ダメですぅ、また潮吹いちゃいますよぉ!」
「生おちんぽ、熱くて固いですぅ……! ゴリゴリ奥まで届いてますってばぁ!」
「まだまだこれからだよ。二人同時に攻められたら、どうなっちゃうかな?」
「そんなぁ! らめですらめぇぇ……!」

 アイシアの狭いおまんこに指を三本打ち込むと、二人は狂ったように喘ぎだす。エルフ耳がぴくんぴくんと壊れたように震え、二人の唇から涎が垂れる。こっちを振り返る表情はすでに、子作りに夢中な発情期のメスそのものだ。

「きゃあぁっ! 気持ちいいのが、増幅してますよぉ! さっきの二倍ぃ!」
「いやぁぁ! 指でかきまわされて気持ちいいのに、アイシアのおちんぽ感覚まで来ておかしくなるぅ!」

 共感、すげえな……俺もそのスキルで女の子と快感をシンパシーしてみたい。
 そんなことを考えるのでさえ精一杯なくらい、俺は追いつめられていた。エルフ膣の締め付けはどんどん強くなり、精液を搾り取ろうと必死だ。

「出すぞ!」
「はあい!  あん、レイジ様のオス汁、たっぷりレイシアに出してぇっ!」
「レイジ様ぁ、種付けお願いしますぅ! アイシアにもお射精共感させてくださぁい!」

 しゃぶりあげてくるエルフおまんこの最奥までペニスを突っ込み、俺は果てた。

「ぐっ出る!」
「きゃああああっ……! 熱い赤ちゃん汁がいっぱい入ってきますぅ!」
「すごぉい! 子宮の中までっ!」

 二人は感動した様子ではあ、はあ、と甘々な息を吐いている。
 極楽の感覚に酔いしれるとともに、辺りに青白い光が満ちてくる。どんどんペニスが回復していく……
(次は、アイシアに中だしかな)

***

 何度もたっぷり中だしをお見舞いされた二人は、未だ軽く喘ぎながら俺の左右に寝そべっていた。秘所からは、とろとろと白濁液が溢れ出している。
 俺は余韻に浸りながら、なんとなく気になったことを訊いてみる。

「なあ、アイシア、レイシア。黒龍が現れた時、これまではどうやって対処してきたんだ」
「ええ? そんなの、知りませんよぉ……だって、龍の城への襲撃があったのって、数百年ぶりらしいですよぉ」
「そうそう。わたしたち、まさかこんな大変なタイミングで赴任しちゃうなんて、思いもしなかったよねぇ?」

 俺を挟んで、二人のエルフはうんうん、と頷きあう。
(マジかよ転生のタイミング最悪じゃねえか)
 まあ女の子をいくらでも犯していい最高の境遇に転生出来ただけでも嬉しいのだが。

「何か、龍を退治する代々伝わる方法、みたいなのって無いのか」

(君は、近いうちに殺される)
 転生前に言われた言葉が気になって仕方なかった。出来るだけ、死につながる要素は取り除いておきたい。もっと姫達といちゃいちゃしたいもの。
 レイシアとアイシアは同時に答えた。

「「やっぱり、封龍剣でしょ」」
「封龍剣?」
「そう。ドラゴン退治と言えば伝説の封龍剣だよね」
「必要な素材は、「黒龍の甲殻」「水竜の背びれ」「火竜の尻尾」とかだった気がするけどぉ……」
「集めるの超大変だよねぇ。大体黒龍を倒すのに黒龍の素材が必要って、ちょっと矛盾してない?」
「それわたしも思った。水竜は隣の湖の中にいるらしいけど、火竜は生息地が遠いから、遠征しないと討伐できない魔物でしょう?」

 そうか、封龍剣とは作るのが大変な、いわゆるレア装備というやつか。

「龍属性武器なのか?」
「そうだよぉ。他にも龍属性武器はあるけど、あれが一番属性値が高いし、なにより超カッコイイよねぇ」
「冒険者の憧れの装備なんですよぉ。普通の冒険者が手に入れるのはほとんど無理ですけどぉ、レイジ様なら、なんとかなるんじゃないですかぁ」

 火竜とか言ってたけど、遠征って何だろう。訊いてみた。

「ええ? 遠征っていうのは6人一組で城を離れキャンプをしながら、生息地が離れた魔物を狩りに行くことですよぉ。それも覚えてないんですかぁ? 記憶喪失?」
「そうそう、そう言えばわたしさっき魔力の検査したけど、レイジ様には何も魔法がかかってなかったよぉ」

 少し疑いを含んだ目線が向けられる。
(正体がばれたらいけない)
 俺はスミレの忠告を思い出した。

「きっとかなり高度で、簡単に検出されない魔法なんじゃないかな」
「そんな魔法あるっけ、レイシア?」
「まあ、高位の知性のあるレベルの魔物なら、できるかもしれませんねぇ……たとえば、サキュバスとか」
「やだぁ、そんな下品な魔物の名前出さないでよぉ」

(この世界にはサキュバスなんかもいるのか)
 俺はそんなことを考えながら、意識を眠りの中へと沈ませていった。

***

「レイジ様……大丈夫なのです?」
「お見舞いしに来てあげたわよ」

 翌朝、制服姿のノエルとリナが花とお菓子を持って俺のもとを訪れていた。背後に、数多くの姫達が俺を一目見るために押しかけている。

「あれ、アリスは?」
「実は部屋から出てこなくなっちゃって。無理にはいろうとしたら、すごく焦った感じでだめだめって言うの。どうしちゃったのかしら」
「焦った感じ? 落ち込んだ感じとかじゃなくて?」
「そうなのです……姫騎士として仕えるわたしに対しても、同じ扱いだったのです……しょんぼりなのです」

 ノエルでも会えないのか……ちょっと気になる。あとで部屋を見に行こう。
 そう思っていると、リナが心配そうに言った。

「で、あなたの肩はもう完治したわけ?」
「ああ、昨日の夜は痛んだけど、もう全然痛くない。今日からこの保健室を出れる」

 巻いてあった包帯を解いて、肩を見せる。傷痕すら残っていない。

「わたしたちのおかげですよね、レイジ様?」
「また保健室に来てくれたら、昨晩みたいな検診してあげてもいいですよ?」

 レイシアとアイシアがくすくす笑いながら現れる。

「あ、先生たち……レイジ様を直してくれて、ありがとうなのです」
「いえいえ」
「お仕事ですから」
「なんかほわほわしてるイメージだけど……先生たちはすごく優秀な魔女なのよ。普通だったらここまで完璧には元通りに治らないわ」
「エロいだけじゃないんだ……」
「ん、レイジ様……どういうこと?」

 リナが訝しげに俺を睨む。

「いやなんでもないけど」

 彼女のじとっとした目線は次に先生たちに向く。どうかしましたか? と双子エルフはニコニコと受け流している。

「話変わるけど、お前ら、マリっていう姫を知らないか?」
「え? 知らないも何も、第一皇女様じゃない。いずれあなたの正妻になるお方よ」
「そうなのです。マリ様はわたしたちより一つ位が高い、皇族なのです。レイジ様とマリ様の子供が、次期皇帝になるのです」
「ああ……皇族、王族ね」

 幼馴染みそっくりの顔つきを思い出して、胸が騒ぐ。あの子とも、俺は子作りを許されているらしい。

「あ、その時のことだけど、ウィルベルに訊いたら、あなた、相当ムチャやったらしいわね。今度そういうことしたら、わたしが許さないからねっ」
「心配かけたか?」
「あ、当たり前でしょ……!」

 リナが腕を組むと同時に、ノエルが唇に指をあてながら何か思いついたような素振り。

「あれれ……どうしてリナはレイジ様のことを「あなた」って呼んでいるのです?」
「う、うるさいわね。ノエルには関係ないことよ」
「ずるいのです! いつの間に仲良くなったのです!?」

 ぷんすか怒り始めたノエルを無視して、俺はリナに訊いた。

「龍の襲撃の被害の方は大丈夫なのか」
「ええ。倒壊するほどでもないわ。壊れた校舎も復旧作業が進んでる」
「あっ、そう言えば……これが落ちていたのです」

 ノエルははっと何か思い出し、自分の身体のあちこちをさぐり始める。

「古代兵器の一撃で、龍の体の部位が破壊されたらしいのです。これはレイジ様が持つべきものだから、渡しておくように、と教官が」

 ノエルが懐から取り出したのは、薄い板状の、黒い岩片のような物だった。

「これってもしかして!」
「「黒龍の甲殻」らしいわよ。わたしたちみたいな普通のステータスの人間にはレベルが高すぎる代物だわ。超レア素材なんだから、大切に使いなさいよね」

 さっそく、封龍剣作成に向けて、一つの素材が揃ってしまったではないか!

「ありがとな! これがあれば、封龍剣までの道のりは短いぞ!」
「封龍剣……まさかあなた、あの伝説の装備を作るつもりなの!?」

 目を丸くする姫達に向かって、俺はにやりと笑って見せた。

***

【ジョブ】 魔術師?
【LV】 150
【装備1】 なし
【装備2】 配給軍服
【スキル】 御影の腕
(つづく)






<妹姫8話>二人目のメイドとファンクラブ




「今日は講義無し、学校はお休みとのことです。昨日、あれだけ大変なことがありましたからね」

 俺はウィルベルと一緒に破壊された校舎の修復作業を見に来ていた。
 それぞれ役目を割り当てられた姫たちが、風属性の魔法を使って石を浮き上がらせ、もとあった位置へと戻したり、土属性魔法で「組立《コンポーズ》!」と石材を修復したりしていく。作業はすいすいと進んでいて、明日にでも学園は元通りになりそうだった。

「せっかくのお暇ですし、学園のあちこちを回ってみたり、これから共に過ごす生徒さんたちの様子を見に行ったりしてはいかがでしょう?」
「ああ、身体も全回復したし、そうしてみようかな」

 俺は肩をぐるりと回して見せた。

「ご主人様が起きたときにおそばにいれなくてすみません……一晩中おそばにいるつもりだったのですが、保健室の先生たちが面倒を見てくれると言ってくれたので、自室で休ませてもらいました」
「……あの二人か」

 とんでもないビッチエルフだった……二人のおまんこ、きつくて気持ちよかったなぁ。
 定期的に保健室に通うことになりそうだ。

「それにしても、ご主人様が無事で本当によかったです……! しもべであるわたしをドラゴンから守ってくれるなんて、ウィルベルは驚いてしまいました」
「そんなの当たり前だろ。可愛いメイドさんを失うわけにはいかないし」
「ご主人様……! ウィルベルは幸せ者です!」

 ウィルベルは感動した様子で頬を染めている。その胸に抱かれたスミレに頭の中で話しかける。

――おいおい、お前これまでウィルベルにどういう扱いしてきたんだよ?
――君が優しすぎるだけじゃないか? まあウィルベルがいい子だってことはわかってたけどね。

 スミレはウィルベルに頭を撫でられて、みゃーおと気持ちよさそうに鳴く。ウィルベルに抱かれるのには、もう慣れてしまったようだ。

「お前はいっつもスミレを抱えてんな」
「それはもちろんです。ご主人様がわたしに初めて与えてくださったペットですし、なにより可愛いじゃないですかぁ……」

 ふにゃふにゃ笑って、スミレをぎゅっと抱きしめ、頬ずりする。さすがに嫌なのか、スミレのほうは抜け出そうと暴れはじめた。

「でもこの子……こうやってしょっちゅう逃げようとするんです」
「そりゃ猫だからな、そういうもんだろ」

 言った傍から、スミレはウィルベルの腕を振り払って、廊下を走って逃げていく。
――そろそろ限界だ……空気から女の匂いがしない場所に行くよ。
――ご愁傷様……

「ああ、待ってくださいったらぁ……行ってしまいました」

 ウィルベルはスミレの消えた方角を寂しそうに見ている。

「すぐに帰ってくるよ。さ、そろそろ移動するか」
「そうですね……もうスミレったら……」

 歩き出すと、俺たちを観察していた姫たちの一団に出くわした。みんな、きゃあきゃあと騒いで俺を見て頬を染めている。瞳がキラキラして、まさに恋する乙女と言った感じ。

「ご主人様は、やはりお姫様たちに相当人気を博しているようですね……昨日ご主人様が寝ている間も、たくさんの姫君がお見舞いに来ていました」
「全員一気に種付けしちゃ、つまんないしな……」

 俺が押し通ると、姫たちの集団は黄色い声をあげながら2つに割れた。
 全員、高校のクラスに一人いるかいないかくらいの美少女だ。俺の顔を期待げに見て、声をかけてくれるのを待っている様子。
(いつか全員犯してやろう)
 その間を通り、俺はひとまずアリスの様子を見に行くことにした。

***

「あ、ウィルベル……久しぶり!」

 校舎内の廊下を歩いていると、声をかけてきたのはメイドさんだった。
 白と黒色のウィルベルのメイド服とは違う服装だった。水色や白色で彩られた、爽やかなデザインのメイド服を来ている。
 髪はセミロングのシルバーブロンドで、フリルのついたヘッドドレスをつけている。

「メルティ! ご主人様に仕え始めてから会っていませんから……何年ぶりでしょう?」
「五年ぶりじゃないかしら。ウィルベル、大きくなったね……」
「身長はたいして伸びていませんよ?」
「胸よ」
「やめてください……」

 ウィルベルは胸に手を当てて恥ずかしそうにしながら、紹介した。

「彼女は、わたしの幼馴染みのメルティです。見ての通り、姫様のメイドをやってます」
「ほう、メルティさんよろしく」
「ウィルベル、羨ましいわ……レイジ様のメイドなんて……」

 メルティは、思ったことをはっきり言うタイプらしい。照れたはにかみ顔で言った。

「わたしも、お供してもよろしいでしょうか?」
「メルティったら……あなたのご主人様は放っておいていいのですか?」
「だってシルフィはすぐに一人でどこかに行ってしまうんだもの……どうせわたしのことなんか必要としていないんだわっ!」

 手のひらをぎゅっと握って頬を膨らますメルティ。
 メルティはどうやら、主人に相手にされていないようだった。きっとスミレが俺と身体を交換しなかったら、ウィルベルもそういう運命を辿っていたのだろう。

「またメルティはご主人に失礼なことを言って……あ、ご主人様着きました。ここがアリス様の部屋です」

 ウィルベルは一つの扉の前で足を止めた。さっそく呼びかける。

「アリス。調子が悪いらしいじゃないか。見に来たよ」
「れ、レイジ様!? どうしてわざわざわたしなんかのために!?」
「回復ポイントにいる時から具合悪そうだっただろ。俺のせいじゃないかと心配になって」
「……。ごめんなさい。部屋には入らないでね。面倒かけちゃって悪いんだけど……これを食堂に持っていって欲しいんだけど……いいかな」

 ドアの下の小窓から、食べ物の乗ったお盆が出てくる。ほとんど手が付けられていない。

「食べないのか?」
「なんだか……変な味がするの。青臭いというか……」

 味覚に異常……どういうことだろう。これは何か理由がありそうだ。

「でもお腹は不思議と減らないの、大丈夫だよ、レイジ様?」
「そうか……無理するなよ」
「うん」

 アリスは元気そうだし、無理に部屋に押し入ることもないだろう。じゃあな、と挨拶して歩き出す。

「次、生徒会室にでも行こうか。クリスティーユに会いたいな」
「騎士団長様ですか? わかりました、ご主人様」
「メルティも一緒に行きます!」

 と踏み出した時だった。
――石造りの床ががしゃりと崩れた。

***

「落とし穴、成功! ガーネット、お手柄よ! 計画通りね!」

 落下点ちょうどのところに、ソファが用意してあり、俺はそこにお尻で着地すると、やたら威勢のいい声が響いた。
(なんだなんだ!?)
 部屋には明かりが灯っておらず、暗闇に包まれている。
 自分が落ちてきた穴を見上げると、ちょうど崩れた石の破片が再構築され、修復され差し込む光が消えていくところだった。きっと土属性魔法だ。

「これでレイジ様はわたしたちだけのものよ! ふふふっ!」

 ぱっと光が満ちると、ここが物置のような倉庫のような部屋だと分かる。
 目の前に、きりっとした眉に、目力のある美少女が腰に手を当て立っていた。
 髪型はプラチナブロンドを腰まで届くポニーテールにしたもの。服装は普通の制服だ。

「誰だお前」
「ふふふ……聞いて驚きなさい! このわたしは、レイジ様ファンクラブ(過激派)会長、アミーナよ! 以後見知り置きなさい!」

 びしっと指をさしながら、自信に満ちた表情で高らかに宣言。なかなか様になっている。普段からこういう人なんだろうな……

「俺のファンクラブ……? そんなもんがあるのか」
「いいえ、ファンクラブ(過激派)よ! クラブの中でもやばい派閥だから、覚悟しなさい? ふふふっ、他の子たちとは一線を画してるんだから」
(自分でやばいって言ってる時点で……)
「そう……皇帝様に落とし穴を仕掛けるなんて、わたしたち以外にはできない」

 そう言いながら穴を土属性魔法で塞いでいるのは、黒髪ぱっつんで、かすれた感じの感情のこもらない声の美少女だった。制服がよれよれで、全然見た目に気を使っていないのがわかる。
 どことなく、普通の人とは違う時間を生きているような雰囲気が漂っている。
(でも確かにやばいことには違いなさそうだ……)
 100人いれば、イレギュラーも出てくるわけか。
 俺はもう一人、部屋にいることに気が付いた。

「この子は?」
「レイジ様……っ! 握手してくださいっ!!!」

 他の二人とは違い、普通な雰囲気の、ブラウンの髪をセミロングにした美少女がいつの間にか脇にいた。ぺこり、と頭を下げて、両手を俺に差し出している。

「こら、ルナ! どこにでもいるようなファンと同じことやってるんじゃないわ!」
「はっ……! すみません、アミーナ様!」
「ふん、まったく。わたしたちは普通じゃないの! ヤバいのよ! そのことをしっかりわきまえなさい!」
「はい!」

(ああ……他人と違う自分に酔ってるタイプか……)
 この世界に中二病という概念があるのかどうかふと気になるが、アミーナがまた高らかに言った。

「さて、もちろんだけど、あなたはわたしたちから逃げられないわ、ふふふ! この部屋には魔法がかけられているから、簡単には探知されない。これからたっぷり付き合ってもらうんだから」

 アミーナは人差し指をピンと立て、部屋を行ったり来たりしている。

「何をするんだよ」
「ふふふ……聞いて驚きなさい? わたしたちは、とある手段を使って、殿方について、ある情報を手に入れた。長い長い諜報戦だったわ……!」
「なんの情報だよ」
「これからわかることになるでしょうね、ふふふっ! ルナ、レイジ様を取り押さえなさい!」
「失礼します! きゃあっ、わたしレイジ様の腕に触れてる! 殿方の筋肉すごい!」
「ルナ、安易に騒がない! 過激派としての誇りはどこにいったの!?」
「はい! すみません!」

 いつの間にか後ろに回っていたルナが、俺の両腕を動けないよう、押さえつけてくる。
 その力は弱くて、逃げ出そうと思えば逃げ出せるけど、面白そうだからあえて俺は怖がってみる。

「ウワア、イッタイコレカラナニガハジマルンダ」
「身動きがとれないのね? これから起こることを、あなたは受け入れるしかないのよ!」

 そう言った後、ごくり、とアミーナは音を立てて唾を飲んでいる。 

「で、何すんの?」
「ふ、ふふ……! 今に見てなさい! レイジ様、おそろしくてたまらないでしょう?」
「ヤ、ヤメテクレー」
「ふふ、ふふふ……」

 アミーナは顔を上気させ、軽く汗をかきはじめた。

「アミーナ、もしかしてためらってる……?」
「そ、そんなわけないでしょうガーネット! わかってないわね、こうして焦らすことで、レイジ様の恐怖は今も膨れ上がっているのよ!」
「オ、オタスケヲー」

 アミーナは踏ん切りをつけたようで、こつこつと足音をたて、悠々と近づいてくる。
 ふふふ、と不敵な笑みを浮かべながら俺のももをよじ登り、またがるように膝立ちする。
 彼女のてのひらが、俺の肩に乗っている。彼女の体温が伝わり、ロイヤルお嬢様ないい匂いが、ほんのり香った。

「か、括目しなさい……!」

 過激派にふさわしいビックリなことをアミーナはやってのけた。一思いに、なにゆえか自分のスカートのすそを指でつまみ、そっとまくりあげたのだ。
(すげ……おまんこが)
 アミーナは、はいていなかったのだ。女の子の丸みを帯びた臀部の曲線は、無二の美しさだ。

「ど、どう……かしら」

 アミーナは一生懸命恥ずかしさを押し殺して、余裕のある顔を演じようとしている。しかし、恥ずかしくてたまらなそうに、ぴくぴくと内股の太ももは震えている。

「下着をはかないなんて……先生に見つかったら退学ものなんだから! どう? 驚いたでしょう!」
「これはびっくり仰天……」
「で、でしょ!? ふん、どうよ、女の子に、お、おまんこを、見せつけられる気分は!」
「アミーナ……むりしすぎ」
「きゃあっ、アミーナ様……あんなに破廉恥なこと!」 

 二人にいわれる本人は、何やら息が妖しげに乱れてきている。

「はぁ……は……わたしアミーナは、知っているの。殿方を喜ばせる方法を……殿方の聖剣……きゃ、や、やっぱり」

 アミーナは俺の股間にそっと指を這わせ、立ち上がっている逸物に触れるとびくっと緊張したようにその動きを止めた。

「読んだとおりだわ……ふふ、全てはわたしの計画通りね!」

 少し調子を取り戻した様子で、アミーナは至近距離で俺にびしっと指さした。鼻に指が触れる。

「わ、わたしに……その聖剣で愛情の印を、き、刻みつけなさい!」

(聖剣て……)
 読んだとおり、とか言ってたけど。まあいい、とにかく今はアミーナ様の命令に従おう。

「ひゃうっ! あ……ゆ、ゆびが!」
 
 アミーナのおまんこに指をあて、くちゅくちゅと動かす。すでに愛液が分泌されて、いい感じに出来上がっている。ふにふにと柔らかくて、ペニスを咥えこませたら気持ちよさそう。
 愛液に濡れた指をくんくんと嗅いで、女の子のいやらしい匂いを確認して言う。
 
「アミーナ……お前、俺とセックスしてみたいんだな?」
「せっくす……きっと聖なる男女交渉のことね! その通りよ! そうすれば、わたしはレイジ様に誰よりも近しい姫になれるんだわ!」

 俺は手早くペニスをズボンから取り出し、ルナが悲鳴をあげ、アミーナがひゃぁっとらしくない可愛い声をあげるのも無視し、一気にアミーナのおまんこに突き立てる。

「あぐうぅ!? く、くぅ……!」

 俺の肩をつかむ指に、ぎゅっと力が入る。不敵な笑みを浮かべていた顔は、未知の痛みや女の子らしい恐怖心によって、俺の表情を窺う女の顔になっている。

「う、うそ……もうはいっちゃったの……?」
「これでアミーナは、俺専用の女の子だな」
「せんよう……見なさいルナ、ガーネット! これは過激派の勝利よ――んひゃっ」

 俺は彼女の小さめの胸に手を当て、「オールリカバリー」と唱える。
 この呪文は魔力の消費は多いが、一般的で簡単な魔法らしい。アミーナの膣が回復する。

「あれ……レイジ様、今何を――」

 言わせる前に、対面座位の格好で、一気に腰を突き上げる。
 ぐりゅりゅ……とペニスがアミーナのとろとろおまんこを掻き分ける。そのままの勢いで、アミーナの中を行ったり来たりする。

「んん――! あん、あ――いやぁ、なにこれ、ふあぁ……なか、擦られて!」
「なかで俺のが動いてるの、感じるだろ?」
「す、すごい……! 読んだとおりだわっ! 「主様の聖剣が突き上げるたび、わたくしの身体の中で甘やかな感覚が――」んひゃっ!」 
「あの絶対に弱みを見せないアミーナ様が……レイジ様に……」
「あんなの、アミーナじゃないみたい……」

 抱き合って腰を振る俺たちを見て呆然としているギャラリーに、俺は手招く。

「君らも、一緒にする?」

***

 俺はアミーナを床に寝かせ、征服感を感じさせる正常位で、ラストスパートをかけた。

「んひゃっイクっ……! あの本の中の女の子みたいに――んんん!」

 アミーナの足が俺の腰に力強く絡まり、びくびくと全身がふるえわななく。眉をよせ切なげで、しかし快感に悦を感じた複雑な表情でアミーナは俺を見ている。
 抜こうとすると、アミーナはうわ言のように呟く。

「これで、レイジ様はわたしのものね……ふふふっ……」
「次はガーネットとするか。アミーナ、足が」
「えっ……そんな、まだ駄目よ! ファンクラブ(過激派)会長の名において命令するわ! んひゃっ」

 思い切り子宮口をついてやると足が緩んだ。その隙をついて、隣で開脚したガーネットに挿入する。彼女は俺とアミーナの行為を見て自慰をしていたので、おまんこはぬれぬれだった。どうやらムッツリすけべらしい。

「あんっ……レイジ様……はぁ、んっ……」

 控えめな喘ぎ声をあげ、ガーネットが身を強張らせる。無頓着な服装で、無感情な声しか出さなかったガーネットが、やたらエロイ発情した声を出している。

「れ、レイジ様……いた……い」
「リカバリー……治ったか?」
「うん……ん、あっ……」

 ぱちゅぱちゅと撹拌してやると、ガーネットはメス顔でいやいやと首を振る。
(思ったより可愛い子じゃん……)
 膣の上部分、豆粒くらいの大きさの突起を指でふにふにしてやると、ガーネットはしょっちゅうクリでオナニーしているらしく、敏感に反応した。

「あはぁっ……ん……だ、だめ……」
「出すぞ、ガーネット!」
「ん、んあぁ……んくぅ!」

 ぱっつんの黒髪を揺らして、彼女は穏やかに果てた。
 俺は自分のペニスを回復して、次はルナの前に移動。
 
「あの……わ、わたわたしにも……?」
「ルナ……行くよ」
「ん……んんんん! うそっ! レイジ様と繋がっちゃった! くうっ!」
「大丈夫……ルナ」

 痛みに瞳をぎゅっとつぶり耐えるルナの手を、ガーネットがきゅっと握る。

「だい、じょうぶ……んん! ほんとうに、こんなに痛いんだ……あの本は、全部本当なんだね」
「リカバリー……さ、ルナも気持ちよくなろうか」

 さっそくがしがしと腰を打ち付けると、ルナの表情がとろける。

「ああん! 中で熱い鋼鉄が、暴れてます! もっと穿って……! 力強くぅ!」
「あれ……思ったよりルナってエロイね」
「ルナは……普通な顔して、変態だから」
「腹筋も触らせてください! ああっ……八割れ! すごい興奮するぅ!」

 ルナはさわさわと俺の腹にタッチして、頬を真っ赤に染めている。ときめいたのか、膣がきゅんと締まった。

「レイジ様、手も繋いでください!」
「ルナ、わたしと代わりなさい! 会長を差し置いてあなたは――」
「アミーナ、こっちにおいで」
「わ、わたしに命令するなんて……!」

 なんだかんだ言ったり睨んだりしながら従うアミーナを傍にはべらせ、そのおまんこを指でかきまわす。

「んひゃぁっ!! ……んあ、かきまわしたらぁっ!」
「またイクのか? アミーナはセックス中は素直で可愛いな」
「わ、わたしは! こんないいなりになるためにやってるんじゃ……んひゃ!」
「あっ! レイジ様、イきます、イくぅ……!」

 ルナはセックスでの初アクメを迎え、声も出せずにびくびく痙攣するが、4Pはまだまだ終わらない。
(やっぱりこんな風に女の子を食いまくれるなんて、最高だな……)

***

 何度もイかせると、回復ベッドを使っていないので、姫たちはへとへとになってしまった。
 俺は一度萎えたら、姫たちの魔力を使って「リカバリー」と唱え、ペニスを回復させる。そうして何回でも勃たせることができた。
 床で女の子の甘い匂いを漂わせながら、寝転がる三人に訊いてみた。

「なんだか三人とも、セックスが何か、知ってるみたいだったけど」

 アミーナはふん、と体勢を整え、再び自信を持った表情になる。さっきまで情けない声で喘いだことなど忘れたようだ。
(ブレないな……)

「ふふふ……聞きたいの? 特別に教えてあげるわ! 施錠された禁書の棚に陳列された淫書……それをわたしたちは苦難を重ねた末に手に入れたのよ!」
「鍵かかってんのになんで持ってんだよ」
「夜の一人遊びに使うから……」
「ガーネット……お姫様はそんなことしちゃいけません。鍵はどうやって開けた?」
「それはある生徒から……ね、アミーナ様?」
「そうよ、ルナの言う通り。これはわたしたちだけの秘密なの……ふふふっ!」

 まあいいか、誰でも。と思っていると。
 ガーネットが、懐から薄い書物を三冊取り出した。一人一冊ってところか。

「読む……?」
「常備してんのかよ……どれどれ」

 ぺらぺらとページをめくり、目を走らせてみる。

 ……皇帝様の熱い聖剣が、乙女であるわたしの秘所へと突き刺さる。同時にわたしは貫かれる悦びに……
 ……わたくしは愛情をこめて、皇帝閣下の白熱する鋼鉄の槍に舌を這わせ……
 ……ご主人様は筋骨隆々としており、わたしは勇ましく八つ割れた腹筋に指をのせ……

 なにやら華やかな文章で修辞されてはいるが、実質は獣のようなセックスがひたすら描かれている。

「こりゃお姫様には刺激が強いだろ……」

 書物のタイトルを見ると、どれも「日記」。この学園の過去のお姫様たちが書いたみたいだな……

「他の姫たちに渡るとよろしくないな……没収かな」
「ちょ、ちょっと待ちなさい! どれだけわたしたちが苦労してそれを手に入れたか……」
「エッチな気分になったら、俺の部屋にきなよ。な、ガーネット?」
「うん……」

 黒髪ぱっつんのガーネットは頬を染めた。アミーナも赤くなりながら、俺に淫書を手渡してしまったガーネットを叱りつけている。
(面白い子たちだったな……)
 帰ろうと思って天井の穴の跡を見上げ、俺は気が付いた。

「まさかお前等、アリスにちょっかい出してあの部屋の前に俺をおびき寄せたわけじゃないよな!?」
「それは違うわ! ガーネットのスキルは「索敵」。一度見た相手の位置情報を感じ取ることが出来るのよ。言ってしまえば絶対にばれないストーカーってとこかしら。それを使ってあなたの場所を正確に把握し、落としたわけ。ふふっ完璧でしょ」
「おいおい……スキルまでヘンタイかよ」

 アリスの一件は彼女たちとは関係ないらしい。
 俺はやれやれと首を振り、部屋の出口へ向かう。
 
「出ていくの!? だめよ、まだわたしたちと一緒にいなさい! 絶対に逃がさないわ!」
「ごめんなアミーナ、俺クリスティーユさんに会いたいんだ」
「あ――んっ」

 俺はアミーナの胸に手を当て、念を込めた。指が青白い光に溶けていき、手を引き抜くと、そこに青白いものが掴まれていた。

「……」

 アミーナは床にぱたりと倒れた。そっと霊を戻すと、彼女はびくっと動くが、起き上がる気配はなかった。一度霊を取り出すと、動けるようになるまで一定時間かかるのはリナの例で学習済み。

「じゃあね、また今度」
「ん――!」

 次にガーネットの魔力を胸から奪って「解体《デコンポーズ》!」とその部屋の木製の扉を崩壊させた。
 すると――

「レイジ様、ここにいたのね! ウィルベルたちと探してたんだから……なっ!」

 リナが部屋の中で半裸のアミーナたちを見つけ、ジトっとした目で俺を見る。

「こ、この子たちともしたのね……」
「したけど……ほら、姫たちに種付けるの、俺の仕事だし」
「そうかもしれないけど……」

 リナはなんだか納得いかなそうに俺を見ている。

「じゃ、リナも一緒に女騎士さんに会いに行こうか」
「女騎士? だれのこと?」
(つづく)






<妹姫9話>生徒会室とマーメイドの湖




「クリスティーユのこと知らないのか?」
「そ、そういうことね……。知ってるに決まってるでしょ? わたし、会長とはけっこう仲いいんだから。時々一緒にご飯も食べるわ」
「なんかあの人だけオーラが抜群だよな」
「オーラだけでなく実力もあるのよ? 槍の腕前は学園随一と言っても過言ではないわ。姫騎士団を束ねているのは伊達じゃないの」
「生徒会長もやってんだろ? 今から会いに行こうと思うんだけど」

 リナはちょっと誇らしげに胸を張った。

「そういうことなら、わたしが生徒会室まで案内してあげるわ。わたし、これでも生徒会委員なんだから」

***

「レイジ殿下! すまない……見苦しい所をお見せした」
「おはよう、クリスティーユさん」

 制服姿のクリスティーユが、生徒会室の生徒会長席に座って優雅に足を組み、本を読んでいた。
 俺の姿に目を丸くし、すっと足を元に戻す。

「部屋が散らかっているだろう。訪問があるとわかっていたら掃除をしておいたのだが……このていたらくだ」

 生徒会室は広く、暖炉があるような中世っぽい趣のある素敵部屋だった。しかし、今は机にたくさんの書類ががさっと重ねられている。

「別に大して散らかってないと思うけどな」
「そう言ってもらえると助かる。そこにかけてくれ。わたしの好みの紅茶があるが、淹れるか?」
「ほう……頼む」
「じゃあ、わたしが淹れてきてあげるわ」

 リナは部屋の奥のキッチンに歩いていった。
 クリスティーユは礼を言って、俺に凛とした声で話す。

「我々生徒会は、この学園を取り仕切っている。先日のドラゴンの襲撃を記録にまとめておかなくてはならなくてな……今後の襲撃への対策として、重要な作業だ」
「みんなに影響が及んでるんだな……昨日の襲撃」
「そうだな。あれほどの事件はなかなか起こるものではない。そのことだが……レイジ閣下! 先日の活躍はこの目で見た……! 惚れ惚れしたぞ……今思い出しても、胸がすく。あれこそ騎士の鑑《かがみ》だ」

 クリスティーユは興奮気味に、うんうんと一人で頷いている。
(それにしても美人だな……)
 騎士鎧を脱いだ制服姿だと、女らしさが際立つ。
 上品に毛先をカールした金髪。しかも、巨乳でお尻も大きいのにウエストは引き締まっている。スカートの下、黒いパンストに包まれた引き締まった太ももが目を惹き付ける。

「あの時の怪我は治ったようだな。見舞いに行けなくてすまなかった。腑抜けた騎士団員たちに騎士道精神のなんたるかを教えていたら、あっという間に時間が経ってしまってな」
「腑抜けって……昨日のことか? 別に叱るほどでもないんじゃ?」

 ドラゴンを前に、クリスティーユ以外の姫騎士たちは怯えきって、まともに近づくことすら出来なかった。でも、対抗する力がないなら退却するのが正しい判断だと思うのは、俺だけではないはず。

「いいや、正義のためなら命をも投げ出してこそ真の姫騎士だ。もし妹の古代魔術が失敗したり、貴殿が龍に一撃を食らわせたりしなければ、姫達は無残にも龍の魔の手にかかっていただろう」

 まあ、確かにそうだけど……妹の大魔術? あの落雷のことか?

「え? サーニャってクリスティーユさんの妹なの?」
「ああ、そうだ。サーニャはわたしの妹だ。会ったのか? よくできた娘だろう?」

 クリスティーユさんはどこか得意げに言った。自慢の妹と言った感じ。
 まあ思い返してみれば、顔つきが似ていなくもない。髪色も同じだし。

「姉は生徒会長兼騎士団長で、妹は主席成績か。優秀なお家柄だね」

 いいや、とクリスティーユは頭を振る。

「我が家はここイディアルを守る一柱に過ぎない。他の多くの姫騎士や姫たちの力なくして、この国の平和は守れないだろう。なあ、ハクア? レイジ殿に挨拶をしておいたほうがいいんじゃないか?」

 クリスティーユの目線の先では、一人のエルフが机で書類に目を通していた。彼女は部屋に入った時からずっといたが、俺を一瞥したきり無言で作業を続けていた。
 耳がぴんと立ち、どこか利発そうな印象を受ける女の子だ。銀髪をお嬢様なヘアスタイルに結っている。
 俺が見ているのに気が付くと、目を細めて愛想のいい笑顔を浮かべながら、こう言った。

「先輩、男なんて、はやくこの神聖なる生徒会室から追い出していただけませんこと?」
「ハクア! レイジ殿になんと無礼なことを言うか!」

 一転鋭い目線になるクリスティーユ。ハクアと呼ばれた女の子は拗ねたような顔で言い返した。

「だって……ここは清らかな淑女の集まる神聖な学び舎、どうして男が入りこむことが許されるのかしら。当然の扱いでなくて?」
「ハクアは昔から男が嫌いなんだ。許してやってくれ、レイジ殿」

 俺はむしろ、このハクアという子に興味を抱いていた。こういうツンツンした子ほど、征服したときの喜びは大きいというもの。

「ふんっ、わたしには男など必要ないのですわ……」

 ハクアは席を立ち、優雅に生徒会室を出ていった。

「困ったやつだ……全く。冷ややかなところはあるが、本当はいい子なのだが」
「ハクアったら……あの様子だと、また相手の生徒と部屋にこもってしまいそうね」
「相手の生徒?」
「ハクアはね、チコという女子生徒と恋仲との噂があるの。もし本当だったら退学ものね……」

 リナが、湯気の立つ紅茶をお盆に乗せて持ってきながら、微妙な表情で言う。

「……不道徳にもほどがあるな。わが騎士団に引き入れ、精神を叩き直したいと思うことがよくある」

 その言葉を聞きながらその甘い紅茶を飲んで、俺はちょっと閃いた。
(姫騎士を叩き直す……その名目があれば面白いことができそうだ)

「そうだ、クリスティーユさん。姫騎士たちを少しかしてくれよ」
「ふん? もちろんいいが、彼女たちに何か用があるのか?」
「腑抜けた精神を叩き直そうかと思って」

 クリスティーユの顔がほころぶ。

「おお……それはありがたい! レイジ殿直々の指導をしていただけるのなら、姫騎士たちも身が入るだろう。そのうち腑抜け騎士どもを選んで閣下に引き渡そう」

 色々とクリスティーユさんと話していると、すごくしっかりした人だとわかった。「騎士道精神」という軸が根付いている。
(この人は簡単に口説き落とせそうじゃないな)
 しかし今や俺は歩けば姫達が寄ってくるイケメン、うまくやれば、どんな美少女でも美女でも攻略できるはず。
(この誇り高い女騎士殿を俺の女にしてやりたい……!)
 無理やり犯してもいいが、出来れば心から俺に服従させたい。そんな妄想をしているとクリスティーユが何か思い出した顔をした。

「レイジ殿! そういえば、昨日予定していた校内散策を行っていないではないか! よければ、今すぐにでも始めたいのだが」

***

「ここイディアル学園には、特設のプールがある」

 俺はクリスティーユに連れられて、廊下を歩いていた。
 隣を歩くリナが何やらほくそ笑む。

「普通のプールだと思ったら、大間違いよ?」
「ほう……楽しみだな」

 クリスティーユは廊下を俺を連れて歩いて、澄んだ水の張られたある一室へとたどり着いたのだった。
 前世の高校にあったのと同じようなプールだった。

「普通じゃねえか」
「見てなさいってば」

 リナがふふんと笑う。少し違うのは水深が深く、底が見通せないこと。
 
「誰かいないか? 水棲の姫たち!」

 屋内プールみたいな場所に、クリスティーユの凛々しい声が反響する。
 すぐに、パシャッと水面に大きな影が浮かんでくる。
 プールの淵に手をつき、一人の女の子が顔を出す。

「あ、クリスじゃない。こんにちは。昨日は大変だったみたいね」

 水色の髪を肩に流した、白いビキニ姿の女の子だった。ちょっと大人びた雰囲気を持っている。豊かな胸が、今にも水着から零れ落ちそう。
(エロい……)
 揺れるおっぱいに加え、濡れた髪や肌は艶々と輝いて魅力的だった。

「こんにちはナギサ。昨日大活躍してくれたのが、この隣にいるお方だ」
「隣の方は……あら、男性じゃない! びっくりしたわ! もしかしてこの方が……レイジ様?」

 ナギサはかすかに頬を染め、無防備に見せていた豊かな上乳を隠すように水中に上半身を浸した。

「よろしくナギサ。ナギサは泳ぐのが上手いんだね」
「ん……そうか、レイジ様はマーメイドを知らないのだな。ナギサ、見せてやってくれ」
「へ? 嫌よ、恥ずかしいもの」
「少しくらいいいだろう? いつもわたしの前ではそうしているではないか」
「クリスに頼まれたら、断れないじゃない。もう……」

 ナギサはパシャッと跳ねて、水面から飛び出した。
 プールサイドに出てきたその本当の姿に、俺は目を見張った。

「に、人魚!? すげえええ!」

 ナギサは腰のところから膝のあたりまでを水着のスカートで隠していたが、見える部分、膝より下は一本の尾びれになっており、全て光沢のある鱗に覆われていた。
(マジかよマーメイド美しいんだけど……)
 整った形の尾びれには気品を感じるし、鱗は一枚一枚光の当たる角度によってキラキラと輝きを変え、玉虫色の宝石のよう。

「ん……しょ、と」

 ピチピチと尾びれを跳ねさせながら、ナギサは両腕を床について、動きにくそうにしている。胸がぷるんと揺れる。
 
「レイジ様……その、もういいかしら。この無様な格好、けっこう恥ずかしいの……」
「そうか悪いな、戻っていいよ」

 ナギサが水に飛び込むと同時に、もう一人マーメイドが水面から飛び出してきた。

「誰か、呼んだー!?」

 どこか荒っぽい声でそう言う彼女は――口に、まだピチピチ動く魚を咥えていた。野生的な輝きを持つ瞳が、クリスティーユを捉える。

「これはこれは生徒会長さんじゃないですかー! なに、なんかわたしに用?」
「ミナモ! 口に物をいれながら話さない! 失礼でしょ!」
「はーい、ナギサ……あれ、その隣の人、もしかしてイディアルの一番偉い皇帝さん?」

 おさかなさんばいばい、と魚をプールに放って、ミナモはけろりとした顔をしている。それを見て俺はふと気づいた。

「もしかして……近くに湖があるって聞いたけど、このプールはそことつながってる? プールに魚がいるっておかしいでしょ」
「その通りだ。さすが、レイジ殿は察しがいいな」

 会話しながらもう一つ思い出していた。
(そういえば……近くの湖には……)

「その湖には、水竜がいるって本当か? 討伐したいんだけど」

 言った途端、二人のマーメイドが驚いて顔を見合わせる。

「おー、それはマジで言ってるのかい、レイジさん?」
「わたしも同意見よ……触らぬ神に祟りなし、だわ」
「へえ、水竜って強いのか」
「かなり手ごわいと思います……しかも水中で戦うことになりますから」
「うん、ナギサの言う通りだ。あんたらヒューマンは、陸上のほうが絶対戦いやすいぜ?」
「マジか……そう簡単には討伐できそうにないか。封龍剣すぐ作れるかと思ったんだけどな」
「封龍剣……! 貴殿はあの伝説の武器を作るおつもりか!」
「ああ、逆に俺以外、作れるやつなんていないだろ」

 言い切ってみると、ミナモが目を輝かせて喋りだす。

「おー! そこまで言うなら、ルシカ様に運勢を占ってもらったらどうかな、ナギサ? もし予言がいい感じなら、すぐにでも討伐に出かけてもいいぜ、わたしは」
「あぁ……それはいいアイデアね! レイジ様も、一度くらいルシカ様に挨拶して行ったほうがいいんじゃないかしら」
「占い? 俺はいいや、そういうの」
「違うって! そんじょそこらの占いとは違うの、ルシカ様のは完全に「予言」なんだよ!」
「予言?」
「そうよ。ルシカ様は、一度たりとも予言を外したことがないわ。魔力で未来を見ているのよ」
「ほう……魔力で、か」

 インチキではなさそうだ。魔力は占いもできるのか……まだ俺の知らない魔法がたくさんありそうだ。

「じゃ、さっそく行くかっレイジさん! これ使って!」

 ミナモは真珠みたいな小さく白い球体を俺に投げて、水の中へ潜っていく。
 ついてきてくださいね、と言い残してナギサもプールの中へ消えてしまった。
 俺はもらった真珠を口に含んで上の服をばっと脱ぐと、リナが軽く悲鳴をあげる。

「ちょ、ちょっとばか! いきなり脱ぎはじめないでよね!」
「殿下は思い切った方だな……だがその制服は水中でも重くならない特殊仕様なはずだ。そのまま飛び込んでも問題ないぞ」
「そうなんだ、超便利だな。二人は来ないの?」
「わたしたちの制服には防水機能はないの! 行けるわけないでしょ! 水着なんか箪笥の奥のほうだし!」
「わたしも今は水着が……それに湖の案内役としても、彼女たちのほうが適しているだろう」

 姫たちが水着を着て、俺の目を楽しませるよう制服の観点からも仕組まれているのかもしれない。

「じゃあひとまずお別れだな。なあ、この白い球体って、どうせ呼吸のためのものなんだろ?」
「ああ。それは息継ぎ真珠。口に入れておけば一時間くらい息が持つぞ」

***

 マーメイドに連れられ、プールの澄き通った水の中を潜っていく。耳元でゴポゴポと音が響く。
 二人の泳ぎは、無駄がない。すいすいと先へと進んでいってしまう。下半身が泳ぎに最適化されているのは強い。
 プールの底の一角に、四角い穴が空いていた。
 そこを抜けると、湖の底に出る。美しい岩や海藻に太陽の光が躍っていた。湖の底に光が届くほど、水は綺麗だった。
 前方を見て、俺は衝撃を受けた。
(竜宮城みたいだ……)
 水中に城のような構造物が建てられていた。青く美しい水の中、日の光に彩られ、夢のような景色だった。
 見惚れていた時だった。

「――!」

 背後から、大きな水の流れ、勢いを感じる。振り向くと――
 全身鱗に覆われた、巨大な身体。俺の何十倍もありそう。大きな翼、カサゴのように尖った背びれ……でかすぎて全体像が把握できない。
 水竜がこちらを警戒せず、悠々とすぐ傍を泳いでいた。
 豪華客船が通り過ぎていくような迫力に、俺は舌を巻くしかなかった。

***

「まさか……あんな大変な予言になるなんてね」

 俺はルシカに会い予言の儀式を済ませた後で、ナギサと城に帰ろうとしているところだった。
 俺が湖の波打ち際の岩場を歩いていて、水の中隣をナギサが泳いでついてきている。

「正直意味がわかんなかったんだが」
「ルシカ様の予言はいつも抽象的なのよ……あの眼には、そこまで具体的には視えていないのかもしれないわね」

 占術師ルシカは、水中の暗い洞窟にひっそりと棲む、両目を白濁させた老婆だった。顔に刻まれた皺は、生きてきた時間の長さを感じさせ、威厳を湛えていた。
 純血マーメイドで、耳のところにひれがついているのが印象的だった。
 彼女は、俺が祠に近づくや否や、甲高い声をあげた。

「貴様……この世の人間ではないな? 立ち去れ……!」

(俺が異世界転生したこと、バレてるのか……!?)
 耳のひれを震わせ、威嚇するように鋭い銛を手に取るルシカをナギサが宥め、なんとか予言を執り行ってもらえることになった。

「恩に着るがいい、今回限り特別に占おう……霊を触らせろ」

 老婆は俺に近づき、険しい顔で言ってくる。

「再び龍は襲撃するだろう……これは予言ではない。永遠の運命、魔法使いがその身に背負うべき罪の代償……」

 その言葉を前置きに、ルシカは俺の胸に触れ、自分の胸に手を当てる。眩い白い光が辺りを満たし、魔法が詠唱され、世界が白く歪んでいく。術をかけられている間、俺は巨大な力が俺の意思を押し流そうとするのを感じた。
(すごい魔力だ……)

「視える、視えているぞ……貴様のたどり着く行く末が。ああ……なんと因果な。貴様の魂は、その肉体から切り離されるだろう……ある者の悪意によって」

 要は、俺が殺されると。またそれか。ナギサが息を飲むのが聞こえた。

「この国に、いや、この世界に、危機が迫っている……全ての因果は、貴様に集結していることを肝に命じるがいい……止めることは出来なくても、遅らせることはできる……魔の国イディアルの大転換期が、すぐそこに……」

 ルシカの予言は、最後にそう締めた。
(わけわかんね)
 昨日も襲撃があったんだし、少しは危機感を持とうとは思うが、別に今すぐ焦ることもないと思う。こういう時に取り乱して無駄に足掻くやつほど、うまくいかないのだ。

「ま、さっきの予言、頭の片隅にでも置いておくよ。ルシカさんを説得してくれてありがとな、ナギサ」
「感謝されるほどでもないわ……あの御婆さんは、いつも頑固なのよ」

 ナギサは大人びた顔を、ちょっと照れた感じで赤らめた。
 ふと、水面に出ている、ナギサのつややかに濡れた背中の肩甲骨に目が留まる。ビキニの肩紐が気になる。
(むらむらしてきた……)
 女の子と気持ちよくエッチして、もやもやした気持ちをリフレッシュしたいところ。
 ハーフマーメイドって……エッチできるんだよな?

「ナギサ、ちょっといいか」
「どうしたの?」

 彼女はすっかり俺に気を許しているようで、微笑んでいる。

「ナギサって、王族の姫だよね」
「そうよ……? わたしは王族の血が混じったハーフマーメイドの一族。この湖には、逆に完全な純血マーメイドのほうが少ないわ」
「初めて人魚の身体を見て、俺感動したよ。こんな種族が存在するなんて、って。もう一目だけでも、その尾びれを俺に見せてくれないかな」
「いやよ……わたしたちって、尾びれを水から出すとすごく不安になるの。なんていうか……あなたたちヒューマンが言う、地に足が付かない感じと言うか……」

 ナギサは恥ずかしそうに目を反らして、ぶくぶくと水の中に沈む。

「そうか……残念だなぁ」

 俺ががっかりとため息をつくと、彼女はちらっと見てきて、気遣うように訊いてくる。

「そんなに……見せて欲しいの?」
「ああ、気になって仕方ない」
「もう……少しだけよ?」

(この子、お姉さん肌だな……)
 困っている人がいたら放っておけない感じが、滲み出ている。
 ばしゃり、と湖から飛び出し、岩の上に美しく虹色に輝く鱗に覆われた尾びれをさらし、腕だけで上半身を支える。
 ビキニ姿の上半身は、おっぱいがやわらかそう。肌もつるんとしていて、撫でまわしたくなる。

「これで……いいかしら」
「ああ。ちょっと悪いな、ナギサ」
「え……なに!? きゃっ!」

 お姫様だっこで抱え上げると、ナギサは全く抵抗できずに尾びれをピチピチさせ、頬を上気させている。

「ナギサ……向こうの岩陰で、セックスしようぜ」
「せっくすって……? わ、わたしをどうするつもり!?」
(つづく)






<妹姫10話>人魚のカラダと古代装置




「ちょっと、離してよ! 湖から離れるの、怖いのよ!」
「まあまあそんな顔するなって」

 ナギサは俺を見て、うるうると瞳を潤わせている。
 抱き上げている俺の腕にしがみつき、ぷるぷると震え始めた。歩けないことを考えたら、当然の反応か。
(にしてもお肌つるつるだな……綺麗な身体だ)
 しがみつくせいで当たる巨乳が、ふにふにと気持ちいい感触。

「ほら、ひとまずここに座って」
「なんのつもりなの……?」

 ナギサを大きな岩の影でおろすと、うずうずと鱗が宝石のように輝く尾びれを動かしながら、彼女は困り顔で俺を見上げる。

「さて、これで二人きりだな」
「え……そうね」
「ナギサはさ、男と対面したのって、今日で初めてだろ?」
「そうよ……ハーフマーメイドは皆、女の子だもの。イディアルの男性と子を作ると、必ずそうなるって噂よ。純血マーメイドはまた別だけれどね」

 話を先に進めたい。

「いきなりだけど、ナギサは初めて男に出会って、どう思ってる?」
「それは……なんだか、まだよくわからないわ」

 不思議そうに、瞳を覗き込んでくるナギサ。

「お互いをわかりあうために、いい方法があるんだよ。今からしてみない?」
「なにをするの?」
「さっきも言っただろ? セックスだってば」
「ヒューマン独自の言葉を使わないでほしいわ。どういう意味なの?」

 純粋な表情で訊ねてくるナギサに、俺はイケメンスマイルを浮かべて言う。

「儀式だよ。教えてあげるから、こっちおいで」

***

「ん……ちゅ……はぁ、れろ……」

 岩に背を預けたナギサに覆いかぶさって、、ちゅぱちゅぱとキスをする。
(女の子の唇、甘い……)
 ナギサは目をつぶって俺を受け入れ、時折喘ぐように息を漏らしている。

「ん……はぁ……」
「どうだった?」
「これが、キス……ヒューマンのすることは、よくわからないわ」

 ナギサは顔を真っ赤に染め、俺の顔を見つめている。不安と期待が混じったような表情。
(すっかり俺に夢中みたいだな)
 お姉さん肌の彼女なら、頼めば何でもしてくれるはず。

「じゃあさ……ナギサのおっぱいで、俺のちんぽをしごいてほしいな」
「ちんぽ? だからわかる言葉で話してってば……え?」

 首をかしげるナギサの前で、俺はズボンを脱ぐ。

「イ、イヤ……レイジ様、そんなはしたない格好、見せないで……」

 ナギサは困り顔ですぐに目を背け、この場から逃げ出したそう。

「でもさ、種族間の交流を深めないと」
「それはそうかもしれないけれど……きゃっ!」

 俺はナギサの尾びれを掴み、上に持ち上げる。バランスを崩したナギサは砂利の上で倒れた。
 水着のスカートがめくれ、隠されていた腰から膝の間が現れる。俺は驚いた。

「太もも……!」

 その部分は、ヒューマンと変わらなかった。膝のあたりで鱗は途切れ、尾びれが二つに分かれて白くて柔らかそうな太ももになっているのだ。
(人間との中間種だし……名残なのかな)
 本当に面白い種族だ。
 履いている水着の下着部分も、スカートと同じく白い。

「お、尾びれ掴まないでっ! 湖に帰りたいよぉ!」

 腕だけで逃げようとするも、ひ弱な腕力では到底俺には敵わない。

「可愛い水着……脱がすよ」
「え……? や、やめてよ!」

 腰の横にあしらわれた可愛い紐を解いてやると、水着の下は簡単に脱がすことができた。
 スカート部分も脱がされ、ナギサは胸のビキニ一枚の姿になってしまう。
 鮮やかな青緑色の陰毛の下に、ピンク色の割れ目があった。

「おお……これがマーメイドおまんこか」
「な、なんでこんなこと……あん!」

 ナギサの内股を撫でると、可愛い声で悲鳴をあげる。

「さ、触らないで! くすぐったい……!」
「ここはどうかな?」
「ん……あぁっ! や、やめて! 変になるぅ!」

 おまんこをふにふにと弄ってやると、中からトロトロした愛液が染みだしてくる。

「おやおや? どうしたのかな、ナギサ。ぬるぬるしてるんだけど。ヒューマンの女の子はこんな風にはならないぞ?」
「え……? なんなの、これ? わたし……知らない――あぁん!」

 指を中に挿入すると、ナギサは太ももでキュッと挟んでくる。

「これは儀式だ。どうしてそんなに変な声をあげる?」
「だ、だって……なんか、変な感覚が……ん、ぁ……!」
「知らないな。マーメイドはヒューマンと身体の仕組みが違うのかな」
「そんな……」

(このまま最後まで、俺はちっとも気持ちよくないフリでもするかな)
 心の中ではゲス顔でそう思いつつ、ナギサには呆れた顔をして見せる。

「エッチなマーメイドだな、ナギサは。こんなところ触られて気持ちよくなっちゃうなんて」
「ち、違う……! だって、身体が勝手に――んは、あぁ……」

 だんだんとナギサの表情はとろけていき、全く抵抗せずにまさぐる指を膣で締め付けてくる。

「いやぁ……どうしてこんなに気持ちいいの……んっ」
「だらしないな、ナギサは。もうここを弄るのは終わりだ」
「え……そんな」

 俺が尾びれを離しても、ナギサは媚びるような発情顔で俺を見上げている。

「よければ……もっと……続けて欲しいんだけれど」
「ダメだ。次はナギサが俺の股間を弄るんだ。その大きなおっぱいを使ってね」

***

「きゃ……男性って、そんなものがついてるのね」

 ナギサはペニスを眼前に突き付けると、怯えたように肩をびくっとさせた。

「さあ、ナギサの胸で、これを挟むんだ」
「そうしたら、またわたしの……その」
「ああ、好きなだけおまんこを弄ってやるよ」
「……」

 ナギサは恥ずかしそうに顔を反らして、目線だけ俺に向ける。白いビキニの紐を肩からおろすと、ぽろんと巨乳がこぼれだした。
(綺麗なおっぱいだな……肌がきめ細かいし、形もいい)
 ピンク色の小さい乳首は、可愛くぽつんと立ち上がっている。

「こう、かしら……」

 ナギサは両手で豊満な胸を寄せ、たゆん、と俺のペニスを挟む。

「おう、そうだな」
「あれ……あなたも、先から透明な汁が出ているけれど」
「これは、おっぱいと擦れて痛くならないための潤滑液だよ。足りないな……ナギサも、ぬるぬるを垂らしてくれないか」
「ぬるぬる?」
「涎を使うといいんじゃないか?」
「よ、よだれなんて……でも、痛くなるなら……」

 ナギサはもぐもぐと口を動かした後、舌を大きく出した。つつ……と唾液が谷間に落ちていく。

「これでいいの?」
「ああ、動かしてくれ」
「うん……」

 ナギサは、乳で俺のペニスをしごき始める。柔らかすぎる感触に圧迫され、そそり立ったペニスの皮が上下に剥かれたり、被されたり。
(うわ……やべえ、マーメイドパイずりいいなこれ)
 こんなに美しい種族が俺の醜悪なペニスを擦っているなんて。

「これで……ほんとうに種族間の交流が深まるのかしら」
「ヒューマンは毎日のようにこの儀式をやってるんだよ」
「そうなんだ……カルチャーショックだわ――んんっ!」

 乳首をコリコリとつまんでやると、ナギサが喘ぐ。

「どうした?」
「また、変な感覚が……はぁ……んっ」
「ほら、腕が休んでるぞ。次は胸で挟んだままちんぽに吸い付くんだ」
「え……! ヒューマンの女性って、こんなことを毎日……?」
「ああ」
「ほんとうに? ……んちゅ」

 疑いつつも、ナギサはそっとペニスに口づけた。そのままチロチロと舌で舐め、ぱくりと口に含む。
(マーメイド口まんこキモチいい……だが我慢だ)
 ポーカーフェイスで先を促す。

「わかったわ……もっと胸でしごくのね……んぐ」

 涎をたっぷり滴らせながら、ナギサは俺の股間にたっぷりとした胸を押し付け、一生懸命身体ごと上下させながら、俺を見上げる。

「これれ……あっへるの? ん……」

 マーメイドがパイずりフェラをしているという絵だけで、ものすごく興奮してしまう。射精の予感が迫ってくる。

「もっと強く吸って!」
「んん……わかりまひた……」

(限界だ……!)
 俺はちゅうっと吸引するナギサの口内向けて、濃い精液を大量に発射した!

「んんんっ!!! んはっ……なにか出てる!」

 慌てて口を離したナギサの顔に、出きっていなかった精液がぶっかかる。

「いやぁっ! ……なにこれ、ぬるぬるで……ちょっとクサい……」
「クソ……儀式失敗だ。ナギサが下手くそだからこうなるんだ」
「そ、そんな……失敗なの? ごめんなさい。わたし……やり方わからなくて」

 顔や胸をドロドロの精液まみれにしながら謝るナギサ。俺はあくまで平然としてナギサに命じる。

「もう一回だけチャンスをやろう。ナギサ、寝転がって、自分の尾びれを抱えるんだ」
「な、なんで……?」
「儀式がうまく行かないだろ! はやくしろ」
「わ、わかりました!」

 ごろりと寝転がり、尾びれ越しに恥ずかしそうに俺を見るナギサ。
 すっかりイヤらしい発情の匂いを発するおまんこや、尾びれと太ももの境目が、隅から隅まで丸出しだ。

「おまんこ……そんなに見ないで――んひゃぁっ!」

 膝立ちで、射精したばかりのペニスを思い切りマーメイドおまんこにぶち込む。
(うは……たまんねえ!)
 柔らかくて温かくてヌルヌルの感触に、天にも昇る心地だ。

「や、やめて……! レイジ様のがはいっちゃってる……?」
「痛いか?」
「んあはぁっ……! 少しだけ……それより、なんか……気持ちいいよぉ!」

 甘えた声音で言うナギサに、俺は思い切りピストンする。どうやらナギサはあまり痛くならない体質らしい。

「騒ぐなよ……儀式が台無しじゃないか」
「だって――んあっ! ――これ、なかこすれて、きもちいいのぉっ!」
「マーメイドの身体はよくわからないな。だらしない」
「ごめんなさい! セックスで気持ちよくなっちゃうだらしないマーメイドでごめんなさいぃっ! あ、あぁん!」

(ナギサ、意外とバカだなぁ……)
 ずん、ずんと降りてきた子宮口を強く突くと、尾びれをピクピクさせ、とびっきりエロイ声で喘ぐ。

「んあ! きゃ、そこらめらめぇ! コツコツしないでっ! 気持ちよすぎて頭バカになるぅ!」
「大丈夫か、ナギサ? さっきまでと別人みたいだぞ」
「だって! ああんっ、レイジ様のおちんぽが、中であばれてっ!」
「まったくナギサは淫乱マーメイドだな……っと」

 さらにスピードを上げガシガシナギサの愛液とろとろおまんこをかき回すと、美しい身体を仰け反らせてナギサはヨガる。つるつるした肌には汗が浮かび、表情は切なげ。

「ご主人様ー……どこにいらっしゃるのですか」

 突然聞いたことのある声が岩の向こうから聞こえた。気持ちよさそうに喘いでいたナギサが表情を引き攣らせる。

「誰……? いやだ、レイジ様、隠れないと」
「問題ないだろ。見せつけてやろうぜ」
「いやよ、いやいや! 向こうで――んふあっ!?」
「ダメだ」
「いやぁっ――んん、んっ!」

 ウィルベルに見つかって、何が悪いというのか。
 何も気にせずぱんぱんずちゅぐちゅ突っ込むと、ナギサは送られてくる快楽に嬌声をあげることしかできない。ウィルベルの声が近づいてくる。

「ご主人様ー?……あ、見つけました! ……その方は」
「いやぁっ見ないでぇっ……こんな恥ずかしい所! あんっ!」
「れ、レイジ様……!?」

 現れたのはウィルベルだけでなかった。メルティも驚愕の表情で立っていた。
 腰をくねらせまぐわう俺とナギサを、見ていいのかわからないけど気になってしまう、という感じで見ている。

「ご主人様……さすがです、もうマーメイドの姫君にまで手を出すなんて」
「あ……! ウィルベル、わたし、これを知ってる!」
「知っているのですか? 実は……この学園の姫君全員とこれをするのが、ご主人様の役目で……」
「うわぁ……なんだか二人とも、気持ちよさそう」

 メルティは頬を染め、興味津々に眺めている。
 ナギサはあんあん喘ぎながら、恥ずかしくてたまらなそうに叫ぶのだった。

「あん、お願いだから、見ないでよおぉっ!!」
「出るぞナギサ! ……うっ」

 俺はペニスを引き抜くと同時に果てた。白い粘液が、ナギサの尾びれ、美しい鱗を怪我していく。

「ああぁっ! わたしもなんか来るぅっ! ……んはあぁっ!」

 ナギサの体が震え、尾びれの先がパタパタっと動き、最後には脱力する。膣がきゅっと締まり、中から愛液が溢れるのが見える。

「あんっ、はぁ……うあぁっ」
「どうしたんだ? ぷるぷるしちゃって」
「わかんないけれど……わたし、ばかになっちゃったみたい……」

 ナギサはしばらくぼんやり余韻に浸っていたが、ウィルベルたちの存在を思い出すと、そっと俺の背後に隠れた。

「レイジ様……恥ずかしい……」

 そりゃ、あんだけエロイ声出して乱れてたら恥ずかしいだろうな。

***

 しゅんとした様子のナギサを見送って、城へ帰る。
 夕暮れの道すがら、ウィルベルが大真面目な顔で訊いてくる。

「ご主人様は、学園を訪れてから何人の姫君と、その……エッチをしたんでしょうか?」
「ええっと……リナ、アリス、あとアミーナ様とガーネット、ルナにマーメイドのナギサ。6人かな」
「ろ、6人……昨日来たばかりなのに。さすがレイジ様……」

 メルティは慕うような表情で感激している。女の子を犯して褒めてもらえるなんて改めてすげえ身分だな、俺。

「あれ? ねえ、ウィルベルは……してもらってないの?」
「わたしは、ご主人様のしもべですから……ご主人様は、他の位の高い姫様たちと子作りにいそしむのが先です」

(そういえばフェラしてもらったきりだな)
 ウィルベルも、可愛いから後で犯しちゃおっかな。

「あれ……城門が閉まってるわ」

 妄想しているとメルティが言った。城にまでたどり着いていた。自分の身長の何倍あるかわからないくらい高い城壁が垂直にそびえたっている。
 俺は城壁の外面が、奇妙な黒いバリアのようなものに覆われていることに気が付いた。向こう側が見えそうで、見えない感じ。

「魔法障壁か……?」
「いえ、それはイディアルの鉄壁の守りを支える、深淵の闇と呼ばれる古代装置です」
「すごいんですよ、これ! わたし、初めて聞いたときびっくりしました」

 メルティはなんだか興奮した様子。
(なんだか物騒な名前だな)
 とりあえず、俺はその黒い障壁に手を触れてみようとして――

「ご主人様あぶないっ!」
「マジ? けっこうヤバい系?」
「深淵の闇……それは、触れたものを全て分解する最強の防御ベールなんです!」

 分解……? 眉を寄せると、メルティが手元の枝をぽきっと折り、言う。

「試してみます?」
「おう」

 メルティが枝を黒いベールに半ば刺し、戻すと――

「消えた……」

 枝が半分、消えている。
 メルティがぽい、と枝を深淵の闇に放り込むと、枝は返ってこなかった。
(こええええ)

「古代兵器万能だな……チート性能じゃねえか」
「いえ、この装置は古代の遺産の中でもかなり特殊なものらしいです。遺跡から出土したのはごく少量だったのですが、研究者たちが同じものをなんとか再現できたらしいです」
「すごいよね……やっぱりわたしたちのイディアル帝国って。他の国をもっと征服しちゃえばいいのに。ね、ウィルベル?」
「でも、魔法で戦うのはわたしたちですから……メルティは怖くないのですか?」
「だって死にそうになっても魔法で回復してもらえるでしょ?」

 敵国からしたら、いくら攻撃しても自己回復するモンスターみたいな感覚なんだろうな……まさにストレスマッハ。

「でも痛いぞ……怪我すると」
「ご主人様、思い出させてすみません……」

 俺は思わず肩をさすった。同時にふと思いつく。

「にしても……古代の人、なんでも分解する道具なんか作って、何をしたかったんだろうな?」
「確か……どこかの遺跡から出土したんだけど、用途はまだ全然明らかになっていないって話ですよ? ヘーゼル先生に頑張ってもらわないと」
「ともあれこの「深淵の闇」に突撃した者は2度と帰ってこれないので、国防の役には立っているのです」

 翼でもないと城壁を破ることは不可能か。改めて、昨日のドラゴンは稀な例だったのだ。
 俺はもう一つ単純なことに気が付いた。

「つうかマーメイドの湖、城の外だったんだな。すっかり学園のどこかにあったのかと」
「湖はイディアルの領土外、マグダ国との国境地帯に位置しています」
「授業で行くダンジョンはイディアル領土内だから、安心してくださいね」

 まあそりゃ、危ない地帯にのこのこ歩いていくわけにはいかないわな。ん、敵国……

「ウィルベル、マグダ国って?」
「マグダ国ですか? わがイディアル国と過去に何度か戦争を行っていますが、今は和平条約を結んでいる国です」
「イディアルはとっても強いですからね! 姫たちの魔法や魔法強化された姫騎士たちの攻撃で一網打尽、戦争するたび、わたしたちの圧勝!」
(へえ……昨日あのザマだったからすっかりザコかと思ってたけど。あれはドラゴンが強すぎたのかな)

「でさ、散々お喋りしたけど城の中入れないじゃん」
「いえ、そんなことはありません。わたしが通信鏡を持っていますから」

 ウィルベルは以前の手鏡を取り出し、城の中の姫に連絡する。

***

 夜、俺は自室のベッドに寝転がっていた。豪華な部屋だ。俺の家のリビングより絶対広い。
(次期皇帝とか最高のジョブだよな……)
 めまぐるしく過ぎた2日間。この世界は、女の子は可愛いし、変わった種族もいるし、古代遺跡もあるし、魔物もいる。絶対、前世より面白い。
(死んでたまるかよ……この身体で、まだまだ生きてやるぜ)
 にやにやしていると、ウィルベルが話しかけてくる。

「あの、ご主人様……入浴なされないのですか?」
「え……この学園、お風呂もあるの?」
「当然です、御身体を清めるのは姫たちも同じですから」
「じゃあ行こうかな……あれ? 男風呂ってあんの?」
「あるわけないじゃないですか」
「マジ? 女の子と混浴?」
「一緒に湯浴みする方は、お誘いしていないのですか?」
「しまった……そういうことなら仲良くなった子を誘っておけばよかった」

 リナとかガーネットとか。アミーナ様もあれはあれで面白いし。
 はあ、とため息をつくと、遠慮がちにウィルベルが言う。

「よければ、ウィルベルがご主人様のお背中をお流ししますけれど……」
(つづく)






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