2ntブログ

<ふたなり寮>ACT12




 ユリカはアヤヒと別れた後、慌てて教室に向かう。セックスしている間に時間は飛ぶように過ぎて、一時限目は終わってしまっていた。
 教室に戻る前に、ばったりとある人に出くわした。

「あら、アヤヒさん。おはよう」

 ツバキ先生だった。これから体育の授業に向かうのか、簡素なジャージ姿だ。
 着飾っていないにも関わらず、その姿に、ユリカは匂い立つような色気を感じてしまうのだった。服の内側にあるはずの大人びて熟した肢体を想像してしまう。
(わたし、女の人に会うたび、もうこういうことしか考えられないんだろうなぁ……)
 すでに、ユリカの中で気持ちの整理は突き始めていて、以前のように自分を責めて苦しむことはなかった。
(わたしはもう、ふたなりなんだもの……こういう風になるのが、当然)
 
「おはようございます、ツバキ先生」

 ユリカは欲求を秘めながら、にこりと笑顔で挨拶するのだった。

「今朝はどうして遅刻したのかしら?」
「少し体調が悪くて……」
「本当に?」
「ふふ、本当ですよ~」
「キョーコさんとシオリさんも、一限に少し遅れてきたわ。二人は素直に寝坊した、って言ってくれたけど、あなたもなんじゃない?」
「あ~、ばれちゃいました……」

 少し舌を出して、おどけてみせるユリカ。それを見て、ツバキ先生は軽くため息をつきながらも、しょうがないなあ、と言った感じの笑みを浮かべている。
 
「後で職員室に着て、ちゃんと遅刻届を書くこと。いいわね?」
「はーい。それでは、また」

 軽く会釈して、ユリカは教室に戻る。
 ガラリと扉を開けると、クラスメートの女の子たちは、各々数人でかたまって、楽しそうに話し込んでいる。甘ったるいような笑い声がそこら中から聞こえて、ユリカは思わずこう思ってしまう。
(わたし……なんてすばらしい場所にいるんだろう)
 ここには、ユリカの敵は一人もいなかった。みんな女の子同士、友達として仲良くしていこうとしか思っていない。自分のものにして、犯してやろうと意気込んでいるのは、この教室でユリカだけだ。
(ここにいる可愛い子たち、みーんな、わたしのものにしたいよぉ……!)
 アヤヒと交わった後でも、ちっとも元気を失わずに、自分の睾丸がひたすら蠢き続けているのをユリカは感じていた。とめどなく溜まっていくこれを、どんどん出していかないと、頭がどうにかなりそうだ。

「ユーリカ! おっはよ! なにぼーっとしてんの?」

 突然後ろからキョーコが飛びついてきて、ユリカは現実に引き戻された。胸の感触――以前はそんなこと気にもしなかったのに、そこに意識がいってしまう。
 しかもこのカラダは、昨晩ユリカが好きなように犯したカラダだった。もう一度犯してやりたい……今のユリカには、それしか頭にない。

「ごめんごめん」
「来るの、だいぶ遅かったね。わたしたち、さっとシャワー浴びて急いで1限行ったのに」
「ちょっと用事が長引いちゃって~」
「用事ってなんだよー、ユリカー」
「用事は用事だもん」
「ふーん……まあ、ユリカがそう言うなら、無理に聞こうとは思わないけど」

 キョーコとシオリは、お互い首をかしげあう。

「最近ユリカ、変だよね。ちょっとどころじゃなく」
「でも、秘密にしてる理由があるんだよ。きっと。そうだよね」
「……う~ん、今はまだ、いえないかな」
「そっか。それなら、言えるようになったら言ってね。わたしたち、中学からの親友だもの。そうでしょ?」

 二人とも、優しく温かい目でユリカを見てくれていた。

「う、うん……その時に、なったら、ね」

 ユリカは心に、ちくりと細いとげが刺さったような気がしていた。なんだか大事なものを失った気がして、痛みが襲ってきたのだ。しかし、それと引き換えに得た昨晩の快楽は、もう忘れられないものだった。
 2限の授業が始まっても、心に刺さった棘が抜けなくて、ユリカは気分を変えるために、他のことに意識を向けようとしていた。隣の席に座っているサヤカさんに、癒しを求めた。

「次の問題を、サヤカさん、お願いします」
「はい」

 数学の教師に当てられて、すっと立ち上がる身のこなしに、ユリカは惚れ惚れとなった。たなびく金色に輝く紙、まっすぐに黒板を見つめる青い瞳……均整の取れた体つきといい完璧で、まるで精巧に作られた西洋人形のようだ。
 チョークで迷わずに答えの数式を書き込んでいく所作に、賢さを感じる。しっかりとした彼女を、自分のものにして、自分のモノで喘がせたい……そんな妄想をすると、ユリカの股間はすぐに固くなってしまうのだった。

「ねえ、ユリカさん……だよね?」

 突然、授業中にも関わらずサヤカとは逆側の隣の席に座る女の子が話しかけてきた。
(あれ、名前なんだったかな……たしか、ミフミさん?)
 ショートカットのさっぱりした髪で、運動部に所属していそうな活発な笑顔を浮かべている。色気とかそういうイメージはないが、単純に顔かたちは整っていて、可愛い元気な子だと思った。

「ちょっと耳貸して」
「え、うん……」

 よくわからないまま身を寄せると、ミフミさんは両手を口に添えて、耳のすぐ近くでこう囁いた。

「勃起してるでしょ」
「えっ……!」

 ユリカは慌てて飛びのくが、ミフミさんはおかしそうに笑うだけだ。
 自分の下半身を確認すると、確かに誰から見てもわかるくらい勃起して、スカートを押し上げていた。

「授業中は我慢しないと、みんなにばれちゃうよ?」
「ご、ごめんなさい……」
「サヤカさんを見て興奮してたの? やっぱり、あの子綺麗だもんね……うんうん」

(この人、もしかして……)
 こんなにあっさり、自分の勃起を指摘してくるあたり、この子が所属している部活はわかったようなものだった。

「ミフミさん、あなたも……」
「そう、わたしもバレー部に入ろうと思ってるの。よろしくねっ!」
「う、うん!」
 
 意味ありげなアイコンタクトを送ってくるフミエに、ユリカも頷いた。

「アヤヒから、話は聞いたよ? ユリカさんが、わたしたちの代に受け継がれた「ふたなり」なんだってね。あ、わたし、アヤヒと同じ中学校で、幼馴染なんだ」

(そういうことかぁ……でも、なんだか引っかかる)
 ミフミさんは、いかにもまともな女の子にみえる。こんな子があのバレー部に所属しているだなんて、とユリカは色々想像してしまう。マスミさんの前で雌犬と化して、淫らに喘ぐミフミさんの姿を。

「まだわたしは、バレー部の伝統、よくわかってないんだけど……もし溜まっちゃったときは、わたしのこと、呼んでくれてもいいからね。大変なんでしょ?」
「え……うん」
「わたし、頑張るから。って言っても、あんまり気安く使われるのは嫌だなー。わたしのほうが、絶対ユリカさんよりバレー上手いもの」
「上手なの? わたしはちゃんと習ったことすらないから、きっとそうだね」
「実はわたし、中学校のとき県大会にまで出場したことあるんだ。でもちょっと怪我しちゃって、激しい練習とかできなくなっちゃったんだ。だから大人しく勉強してこの学園に来たってわけ」
「そうなんだ……大変だね。わたしなんか帰宅部の軟弱者だもん、尊敬しちゃうな」
「でも、我慢できなくなったら、わたしを苗床にしてもいいから」

 そう言って、ミフミさんは快活な笑みを浮かべるのだった。その印象と、言葉の内容のイメージのギャップがなんとも言えない。
(色んな人がバレー部にはいるんだろうなぁ……)
 そんな女の子たちをもれなく自分のものに出来るんだと思うと、ユリカはワクワクしてくるのだった。

「では次の問題、ユリカさん、お願いします」
「は、はい!」

 ユリカは急に教師にそう呼ばれて、慌てて立ち上がった。きっと今学期の成績はめちゃくちゃなものになるんだろうな、と予感するのだった。

◇◆◇◆◇

 四限が終わり、待ちに待った昼休みが訪れる。ユリカは股間が我慢しきれなくなって、ひっきりなしに我慢汁をこぼしているのを感じ取っていた。
 それを露知らず、キョーコとシオリは話しかけてくる。

「ユリカ、食堂にお昼食べに行こうよ」
「ごめん……今日は、ちょっとお腹の調子が悪くて。さきに行ってていいよ」
「大丈夫? 先に行って、待ってるね」

 適当にあしらって、ユリカはふらりと教室を出る。向かう先は屋上だった。

「屋上で待ってるね♡」

 そう、さっき交換したアプリの中のアヤヒさんから、連絡が届いたのだった。
(はやく……したい……! アヤヒさん、はやく、会いたいよぉ……!)
 今にも理性が崩壊して、廊下を歩いている女の子たちに見境なく襲い掛かりそうだった。
 屋上は人が来なくて安全なのか、そもそも鍵がかかっていないのか、なんてちっとも考えていない。すでに半分、論理的な思考ができなくなりつつあった。
(やっぱり、2限終わりくらいに一回出さないと、持たないかも……)
 明日から頻繁にセックスするために、今日中にもっと相手を見つけなければ、と思いながら、ふらふらと屋上前の扉にたどり着いた。
 と、そこに予想だにしていなかった人影があることに気づく。

「あれ、ユリカさん。おっはよ」

 そこにいたのはさっき話していたミフミさんだ。

「ユリカさんも呼ばれたの?」
「わたしはアヤヒに呼ばれてきたんだけど……」
「え? そうなの?」

 お互いに何が起こっているのかわからない、と言った表情で見つめあった時だった。
 ぎい、と音を立てて屋上の扉が中から開く。そこから顔を出した人物もまた、意外だった。

「こんにちは~、ミフミさん。あれ、ユリカさんまで……。でも大丈夫よ、いらっしゃい♡」

 昨日マスミさんがあの醜い肉棒で犯していた、上級生のマリさんが、柔和な笑みを浮かべていた。
 ゆるく巻かれて、ふわふわとした長い髪が、胸まで届いている。そして、その胸はシオリと負けないくらい――いや、年上なぶん、少し大きいくらいで、たっぷりとして豊かだ。
(体つきも雰囲気もおっとりした、美人さん……こういう人、憧れちゃうなぁ……!)
 ユリカの中にはまだ女の子の部分が残っていて、そういう気持ちは忘れていなかった。
 目の前にいるマリさんは、あの時と打って変わって、ゆるふわな雰囲気を醸し出した素敵な女の人だったのだ。
(つづく)






関連記事

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

このページのトップへ