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グラビアアイドルが義姉になった! 涼音編­<31>




 局面を動かす大きな変化が起きることになるその日、俺は普段通り学校へ通っていた。
 陽菜ちゃんは用事があるらしいので、一人で家に帰ることにした。
 いろいろあって、このままだと今日は一日暇だった。
 本当なら、今日は優美さんが仕事がお休みで、家にいてくれるはずだったのだが、撮影のスケジュールが急きょ早まって、帰るのが遅くなってしまった。
 そういう予定だったら、涼音さんとの予定もない。だが、まだ涼音さんはヒマしているらしいけど、会う予定は入れていなかった。
 ふと、思い浮かんだのだ。たまには、ちょっとしたサプライズをしてみるのもいいんじゃないかと。
 涼音さんの家に、突然押しかけてみるのだ。
 今日を含め、涼音さんは数日間、仕事がなくて一日中暇だと聞いていた。話によると、新しいゲームを買ったから、引きこもってやり込むつもりらしい。一緒にやろうと誘われたが、優美さんの貴重な休暇を俺は優先していた。
 昨日が発売日だったから、まだ家に引きこもっているはずだった。
(黙って行ったら、どんな顔をするだろうか)
 せっかくだし、涼音さんが以前食べたがっていたケーキを買って、家へと向かう。
 部屋の前につくと、不用心なことに、ドアが開けっぱなしだった。
 チャイムを鳴らす前にそのことに気付いたから、俺は黙ってドアを開けて中へと入った。どうせなら、前触れなしに突然現れたほうが、サプライズの効果があるというものだ。
 家に入ってみて最初に気付いたのは、脱ぎ散らかされた靴が二組あることだ。
 ――二つとも、|女物《・・》の。
 片方は涼音さんのもので、もう片方は、どこかで見覚えがあるものだった。
 その時点で、違和感があったが、廊下を見渡すと余計に違和感があった。
 制服が、脱ぎ散らかされている。しかも、|女物《・・》の制服が、二組。トップスにボトムス、下着。何もかも脱いで、裸でその先の部屋にいるはずだった。
 その時点で、半ばわかっていた。あまりにも見覚えがありすぎて。
 ブラジャーのサイズは片方は涼音さんのもので、もう片方は小さめのカップ数だった。
 俺はケーキをその場において、抜き足差し足で、廊下を歩いて行った。
 その先の部屋で何が起きているのか、予感しながらも、信じられない思いでいた。
 まさか、そんなことが。まさか、ありえない。
 しかし、考えてみれば考えるほど、違和感は消えていった。俺が気付かなかっただけで、おかしなことは何もない。
 ドアの隙間から見えた光景は――

「|陽菜ちゃん《・・・・・》……あん、もっと乳首、しゃぶって……」
「やわらかい……涼音お姉ちゃんのおっぱい」

 裸になった陽菜ちゃんと涼音ちゃんが、抱き合って、ベッドに横になっていた。
 陽菜ちゃんが、涼音さんの胸にしゃぶりついて甘えている。涼音さんは心地よさそうに、陽菜ちゃんの頭を撫でていた。二人は足を絡めあって、ぴったりとくっついている。
(うそ、でしょ……!?)
 危うく、その場で声を出しそうになった。
 俺は、これまでの記憶を辿る。兆候はあったはずだ。
 陽菜ちゃんと涼音さん。確かに、俺の家で生活しているときから、仲が良かった。そういえば、手をつないでいた時もあった。
 陽菜ちゃんは、もともと男嫌いだったほどの百合娘だ。よく考えれば、優美さんが仕事で忙しくなり、しかも俺の相手ばかりするようになっては、唯一の百合相手の優美さんと、エッチが出来ていなかったはずだ。
 俺も、陽菜ちゃんとエッチをすることはもともと少なかった。最近ではほとんどしていなかった。陽菜ちゃんは俺とエッチするときはいつも受け身だったし、俺に欲求不満でエッチしたいと伝えるのは難しかったはずだ。
 その欲求の捌け口は、親しい女の子に向かった。涼音さんに。
 涼音さんも、しょっちゅう俺を呼び出すくらいに寂しがり屋だった。陽菜ちゃんと遊んでいるうちに、陽菜ちゃんに影響されて、流されてしまっても、おかしくはなかった。
 他にも前触れはあったのだろう。陽菜ちゃんと涼音さんがつながっていたという事実を踏まえて全てをもう一度追体験したら、きっと俺はいくらでもそれらしい場面に気付けるだろうなと思った。
 
「涼音お姉ちゃんのおっぱい、大好き……ん、ちゅ」
「陽菜ちゃん……あんっ」
「お姉ちゃんのおっぱいみたいで、安心するの。綺麗な形で、こんなに気持ちいいおっぱい……」

 陽菜ちゃんは細い指で涼音さんの胸を揉んで、可愛くぺろぺろと舐めたり、しゃぶりついたりしている。涼音さんはそれにあわせて、かすかに甘い声をあげた。
 それは美しい光景だった。俺はいつのまにか、それに見惚れ始めていた。
 豊満な体の涼音さんと、スリムで可愛い陽菜ちゃんが、頬を染めて発情しあっている。
 
「なんだか、まだ変な感じ……女の子同士でエッチだなんて」
「でも、涼音おねえちゃんも、気持ちいいよね?」
「うん……」

 涼音さんは、まだどこか迷いの残る顔をしていた。でも快感は間違いないようで、目元がうっとりとしていた。
 俺は、涼音さんに一度、何かを相談されかけたことを思い出していた。陽菜ちゃんとのことに違いなかった。
 きっとあの時も、迷っていたのだろう。女の子同士でエッチすることに違和感を感じて。でもその相手が陽菜ちゃんだったから、俺に言い出しにくかった。
 陽菜ちゃんだって、俺に相談しようとした。俺以外の人と、そういう関係になってしまった。女の子だから許してほしい、とか、俺が嫌ならもう涼音さんとそういうことはしないとか言おうとしたのだろう。でも結局言い出せなかった。
 二人が相談ごとを持ち掛けてきたのは偶然ではなく、二人がその秘密を共有していたからだったのだ。
 陽菜ちゃんは、片方の乳房から、もう片方の乳房へと、なめしゃぶる乳首を移動した。

「ちゅる……女の子同士でエッチしちゃいけないなんて、誰も言ってないもん」
「陽菜ちゃんが、こんなにエッチな子だなんて、思ってなかった……あんっ」
「わたしだって、前はこんな風に積極的になれなかったけど……お兄ちゃんとお姉ちゃんとエッチしてるうちに、こんな風になっちゃった……それなのに、二人とも相手してくれなくて、涼音お姉ちゃんとこういう風に」
「でも、お兄ちゃんとお姉ちゃんに黙って、こんなことしてていいの?」
「それは……エッチしてる時は、言わないって約束したじゃん」
「ごめんね、陽菜ちゃん。今は、何にも考えないでいいよ?」

 涼音さんと陽菜ちゃんが、唇を合わせてキスを始める。
 舌をお互いに絡めあう深いキス。さらによく見ると、お互いに、指をそろりとおまんこに移動して、くちゅくちゅといじりあっているようだった。
 
「あ、ん、ふぅ……陽菜ちゃん、そこ……」
「涼音お姉ちゃん……指、そんなにいれちゃやだ……んあぁっ」

 二人とも、甘くあえぎながら、高まっていく。甘ったるすぎるような女の子だけの世界を見るうちに、俺はいつの間にか興奮してきていた。
 肉棒はとっくに固くなっている。ジッパーから出して、俺はオナニーを始めようとした。
 DVDを見ながらオナニーしている時と、同じ気分だ。画面の向こう側にいる優美さんを眺めるように、陽菜ちゃんと涼音さんの淫らな姿を眺め、興奮する。
 ――既視感があった。
 俺は、以前にも同じようなことがあったことを、思い出していた。
 優美さんと陽菜ちゃんがエッチしているのを目撃した夜。すべてが始まったあの日の夜。
 あの時も、優美さんが陽菜ちゃんをイかせるのを見ながらオナニーした。そして、二人に見つかってしまい、優美さんに誘われて3Pへと雪崩れ込んだ。
 予感があった。もしかして、今回も……?

「あんっ! 涼音お姉ちゃん、そんなに触ったら、ダメだって……!」
「陽菜ちゃん、敏感だよね……もっとこうしたら、気持ちいいでしょ?」
「あ、ダメ、イクイクっ……!」

 陽菜ちゃんが、びくっと体を震わせて、絶頂した。その瞬間の表情は、普段の陽菜ちゃんでは絶対にありえないくらい緩み切っている。俺が肉棒で突きまくってイカせた時と同じ、気持ちよくてたまらなそうな顔。

「涼音お姉ちゃん……わたし、イっちゃった……」
「まったくもう、可愛いなぁ、陽菜ちゃんは……」

 涼音さんが陽菜ちゃんの頭を撫でると、陽菜ちゃんは目をつぶって、余韻に浸っている。
 部屋へと出ていくなら、エッチが一段落した、今がタイミングのはずだ。
 俺が飛び出してきたら、二人はどれだけ驚くだろう。涼音さんは怒らないだろうか? 陽菜ちゃんは泣き出すかもしれない。二人を信じたいけれども、不安で仕方ない。
 優美さんと陽菜ちゃんとの関係が始まったあの夜は、偶然音を出して優美さんに気付かれてしまい、姉妹の睦言に割り込んだが、今日は自分の意思で入っていかなければならなかった。
 このタイミングで、大丈夫だろうか? 
 なんて声をかけて出ていけばいい?
 うまい言葉が思いつかない。気まずくならない方法はないだろうか?
 そもそも、うまくいくのか? 今部屋に入るのは、正解なのか? 回れ右で、帰宅するべきではないのか?
 わからなかった。
 最初から、全ては運任せだ。確かな方法など存在せず、陽菜ちゃんと涼音さんの二人がどう感じるか、が全てを左右する。どう画策しても無駄に思えて、俺は最初に得た感情をそのまま表現した。

「陽菜ちゃん、涼音さん……! ごめん、見ちゃった!」

 口をついたのは、勝手に覗き見たことへの謝罪だった。
 現れた俺に、二人の視線が一瞬で集中する。

「!!!」

 陽菜ちゃんも涼音さんも、シンプルに驚きを隠せない様子だった。
 その場は数秒間、一時停止したビデオのように誰も動かなかった。
(ドン引きされてるのか……?)
 陽菜ちゃんは、完全に思考が止まったようで、口をぽかんと開けたまま動かない。
 そして、答えが出た。運命のサイコロは一番大きい数字を上にして止まった。

「弟君! わたしたちのこと、見ちゃったの!?」

 涼音さんは、おかしそうに笑みを浮かべた。罪悪感を感じている様子はあまりない。むしろどう見ても、今の状況や、これから始まる何かに興味津々という感じで、瞳を輝かせている。
(よかった……)
 思い出せば、涼音さんは、俺と陽菜ちゃんと優美さんの3Pを目撃した時も、ちっとも嫌悪感を示さなかった。むしろ自分が混ざろうとした。それを踏まえれば、当然の反応なのかもしれなかった。

「見つかっちゃった……ねえねえ、折角だし、三人でしちゃう?」

 悪びれもせず、責めることもせず、涼音さんは、ただ面白い方向へ物事が進むことを選んだのだった。
(つづく)






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