お昼ご飯を食べきらないまま昼休みが終わり、俺は達成感と、気持ちのいい疲労感でぼんやりしながら教室に戻る。
どこ行ってたんだよ、とクラスメートに聞かれるけど、これもまた適当にはぐらかす。不思議そうな顔をするやつもいれば、何か面白いことをやっているのかと興味津々に追究してくるくるやつもいた。どちらも、まさか俺が陽菜ちゃんと、屋上でイチャイチャエッチをしていたなんて、ちっとも考え及んでいない。
(俺だってこうなるまでは想像もしなかったもんなぁ……)
他のやつらは、美人グラドルのナカを掻きまわす快感だったり、美少女高校生を開発して感じさせる征服感を味わうことは、ほとんどないんだろう。そう思っていると、授業中もつい、ニヤニヤしてしまう。隣の女子にそれを見られて、変な表情をされたけど、気にもならなかった。
真面目に勉強する気も起きず、気づいたら学校は終わっていた。今日は特にこの後、用事がない。確か陽菜ちゃんもそうだったから、一つ下の教室に迎えに行こうとすると、すでに陽菜ちゃんがドアのところで待っていた。
「お兄ちゃん……」
陽菜ちゃんの可愛さは一つ上の学年でも有名だ。その陽菜ちゃんが俺と親しそうにアイコンタクトをとっているのを見て、友達たちは呆気にとられていた。
さらに、その呼び方を聞いて、周りの友達が「そういえば苗字同じだけど、妹なの!?」と首をかしげているのを無視して、俺は陽菜ちゃんのもとに向かう。
「一緒に帰ろう?」
ちょっと恥ずかしそうに言ってくる様子がめちゃくちゃ可愛い。
帰り道も、たわいのない話をしながら、二人きりで家へ向かう。家に近づいて、誰も知り合いがいなくなったところで、何気なく手を繋ぐと、顔を赤らめながら微笑んでくれる。
「今日だけどさ、家に帰ったら……どうする?」
両親が出かけていて、優美さんが休みを取っているということは、やることは決まっている。わかっていても、期待が膨らんで聞かずにはいられなかった。
「それがね、実はお姉ちゃんと一緒に準備したの」
「準備?」
「うん……お洋服とか。どんなのかは、秘密だよ」
そう言われると、むしろ気になって仕方ない。でも何度聞いてもお楽しみということなので、もう期待するしかない。
家につく頃には、様々な妄想で頭がいっぱいになっていた。二人ともどんな服を着てくれるのだろう? もしかしたら、それ以外にもみんなで楽しめるよう色々考えてくれているのかもしれない。
「ねえ、お兄ちゃん」
「どうしたの」
「はやくお家に帰りたいかもしれないけど……ちょっと寄り道していかない?」
「え、いいけど」
「やったぁ」
陽菜ちゃんはにこにこ嬉しそうに笑っている。こっちまで癒されるような可愛い笑顔だ。
どこへ行くのかと思ったら、家の近くにあるショッピングモールだった。どうやらショッピングに付き合ってほしいみたいだ。女の子ほどではないけど、ぶらぶら店を見て回るのは嫌いじゃない。
人が多い中でも、手をつないだまま歩くのは少し恥ずかしかった。陽菜ちゃんも恥ずかしそうなそぶりを見せていたけど、それでも手は離さなかった。
しかも、突然こんなことを言ってきた。
「お兄ちゃん、わたしにどんなお洋服着てほしい……?」
「え……」
(俺が選んでいいのかな)
要は一緒に私服を選んでほしいということだろう。
思わず顔を二度見すると、恥ずかしそうにはにかんだ。
「わたしもお兄ちゃんにもうちょっと格好いい服着てほしいから」
「普段着ダサくてごめんね……」
「お兄ちゃんとは、エッチだけじゃなくてこうやってお出かけもしたいんだもん」
陽菜ちゃんは、おしゃれに興味津々の高校生だ。ちょっと値段が高めな服が並ぶ、可愛い装いのお店に連れて行ってもらった。
周りは店員さんもお客さんも女性ばかりで、なんとも言えない気分だ。周りの目が気になってしまう。
「こういうお店に入るの、緊張するなぁ……」
「わたしとお兄ちゃん、カップルだと思われてるのかな」
陽菜ちゃんは嬉しそうに俺の手を引いて、この服どうかな? と聞いてくる。どれも似合いそうで、服よりも陽菜ちゃんの表情ばかりが気になった。
試着室に入って、新しい服に身を包んで現れる陽菜ちゃんは、どの服を着ていても可愛かった。あの優美さんと同じDNAを持っているだけあって、もとの素材がいいから何を着ても似合っていた。
「お兄ちゃん、まじめに考えてくれてる……?」
しまいにはそう言われてしまった。途中からぼうっと妄想ばかりしていたから仕方ない。
試着室に一緒に入って、こっそりエッチすることばかり考えていたのだ。きっと着替えている途中の陽菜ちゃんは、俺が急に入ってきたことに驚いて、ダメだよと言いながら、結局やらせてくれるはず……
でも、今陽菜ちゃんは服選びを楽しんでいるようだから、やめておいた。
(今我慢すれば、家でこれからたっぷりエッチできるんだ……)
こんなに普通の女の子らしくショッピングを楽しむ陽菜ちゃんが、俺のことが好きで、俺とのエッチを楽しんでいるのが不思議な感じがした。
最終的に俺が気に入った服を陽菜ちゃんは買った。晴れ晴れとした顔で新しい服の入った袋を手に店を出た。
「お兄ちゃんの服も買わないと」
「俺のは適当でいいよ……」
「ダメ、ちゃんと買うの。それで、買い終わったら、甘いもの食べに行かない……かな? わたしの好きなお店があるの」
「行きたい! なんか、全部案内してもらっちゃってごめんね」
「ううん、いいの。でも……今度からは、お兄ちゃんにデートに誘ってほしいな」
陽菜ちゃんは俺の手をぎゅっと握りながら消え入りそうな声で言った。そんなことを言われたら、嬉しくて仕方なかった。
俺のために、陽菜ちゃんはさっぱりした感じの格好いい服を選んでくれた。陽菜ちゃんが着てほしいと言うのなら、何の問題もないからあっさりそれを買った。
そして、陽菜ちゃんがオススメするお店に向かった。ここもまた女の子たちや、カップルばかりが並んでいるお店で、自分たちがその列に加わっているのが不思議な気分になった。
「陽菜ちゃんはよくここに来るの?」
「実はわたしもまだ、食べたことない。でも美味しいってクラスのみんなが言ってたの。だからお兄ちゃんと一緒に来ようって……」
「そうなんだ、楽しみだよ」
そのお店に入って、テーブルに向かい合わせに座った。きっちりとしたウェイトレスさんが注文を聞いて、品を持ってきてくれた。陽菜ちゃんみたいな美少女と、こんなお洒落な店でデートできるのが、めちゃくちゃ幸せだった。
ぼうっと陽菜ちゃんのことを眺めていると、話しかけられた。
「これ、やっぱりすごくおいしいね」
「ああ……うん。おいしい」
「お兄ちゃん、何か考え事してた?」
「ちょっとだけね」
「もしかして、お兄ちゃんのことだからまたグラビアのこと考えてたの?」
「俺だってそれ以外のことも考えるよ」
「別にわたしはいいよ。お兄ちゃんの趣味だもん。そういえば、お姉ちゃんのドラマ見た?」
「昨日の夜、見たよ」
「お姉ちゃん、綺麗だよね。天辻お姉ちゃんも出てたけど、そっちも綺麗だった」
何気ない話をしていると、いつの間にか時間が過ぎていた。早めに帰らないと折角家で待ってくれている優美さんが可哀想だということで、今日はこれで帰ることにした。
「……あ、お姉ちゃんから通信来た。待ち遠しいから早く帰ってきて、だって」
「ほんとだ、俺にも来てる」
三人で作ったグループ以外に、個人の通信も来ていた。
「特別な衣装、用意したからお楽しみに」
さっきも、陽菜ちゃんは優美さんと新しく服を準備したと言っていた。一体、どんな服を用意してくれたんだろうか?
玄関にまでたどり着いた時には、わくわくが最高潮に達していた。陽菜ちゃんもこれからが楽しみなようで、ずっとニコニコしている。
(この扉の向こうに入れば、もう俺と優美さんと陽菜ちゃんだけの世界が待ってるんだ)
それは俗世と離れた、三人だけの楽園のような世界だった。はやくも股間が疼きだす。
「お姉ちゃん、お帰り!」
陽菜ちゃんがそう言って、玄関扉を開くと、部屋着姿の優美さんが顔を出す。
「ただいま、二人とも。はやく入って……準備は出来てるからね?」
(つづく)
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