運の悪さに絶望してベッドに倒れこんだままでいると、いつのまにか眠っていた。
我ながら呑気なものだなと思いながら外を見ると、すっかり暗くなっている。
陽菜ちゃんはもう口をきいてくれないのかな、もし弁明させてくれるなら何て言おう、とか考えながらぼんやり居間に出て、俺は目を見張った。
驚くべき事態だった。そこには、女性の服が脱ぎ散らかしてあったのだ。ジャケット、ブラウス、スカート、黒ストッキング、そして大人っぽい黒の下着までも床に落ちていた。
一体誰が……と呟いて、すぐに優美さんしかいないことに気が付いた。陽菜ちゃんはこんな下着はつけてないはずだ。
優美さんが意外にだらしないことに気付き、なんとなくほっこりした。
陽菜ちゃんはそこにはいなかった。遊びから帰ってきて、自分の部屋に戻ってしまったようだ。顔を合わせると気まずいから、よかった。
「優美さん……?」
もしいけそうだったなら「覗き」でもしちゃおうかな、と性懲りもなく考えながら浴室と扉一つ隔てた洗面所に向かうと、すりガラス越しに優美さんがシャワーを浴びているのが見えた。
それだけで興奮した。はっきりとは見えなくても、光の加減で体のラインだけは把握できた。
相変わらず、大きな胸がシルエットにくっきり現れている。思わず眺めていると優美さんに気付かれた。
「誰? 陽菜?」
「あ、違います……俺です」
「直人くんか、そろそろ出るから、ちょっといい?」
「わ、わかりました、ごめんなさい」
洗面所から出て、茶でも飲もうかと椅子に座ろうとして、その背もたれに引っかかっている黒ストッキングに再び目が行く。
ただのストッキングなのに、優美さんが穿いていたと思うと興味が湧いた。わずかに光沢を放つ生地は、触ったらすべすべとしていそうだ。
やたらむらむらした。さっき抜け切れなかったせいかもしれない。
つい食指が動いた。この下着を、俺の部屋に持って行ったらどうだろう……?
「あー、ごめんね、直人くん。散らかしちゃった……」
ストッキングを拾い上げようとしているところに声が聞こえて飛び上がりそうになった。
ちょっと恥ずかしそうに言う優美さんは、バスタオルを身体に巻いただけの姿で、俺の前に出てきていた。
「だらしないところ見せちゃったね……ごめんね」
「いや……大丈夫です」
俺は上の空で、目が優美さんの身体に釘付けになっていた。
露出された肩は女性的な美しい曲線を描いていて、肌には傷一つなく、ちょっと水滴がついている。
黒髪はもちろん濡れていて、いつもに増してつやつや輝いている。
あまりにも刺激が強い光景だった。テントが張るのを感じながら、それがばれないように椅子にぱっと座った。
この間、DVD所有者だとバレタこともあって、若干恐縮しながら言った。
「ゆ、優美さん……服、着ないんですか……?」
「うん。これまでずっとそうやって過ごしてきたから。女家族だったんだもの」
「いや、でも」
「直人君は困る? でもさ、わたしたち姉弟でしょ? 大丈夫だよね?」
「問題、ないです……」
まさか欲情してしまうので服を着てください、とは言い辛かった。
俺に見られても何ともない優美さんがすごいなと思った。身体を男に見られるのは、仕事上慣れているのかもしれない。
コップに水を注ぎ、こくこくと飲む優美さんを欲望に満ちた目で見ていると、優美さんは俺の隣の席に座った。
風呂上がりの女体の熱気が、わずかに伝わってくる。肌から湯気があがる様子すら詳細に見えた。
ごくりと唾を飲んだ時、ずっと黙っている俺に向かって、優美さんは優しく笑顔で話しかけてくれた。
「仲良くしようよー……どうして、わたしのこと避けるの? 直人君のこと、もっと教えて欲しいな。ほんとだよ?」
「ええと……俺のことですか」
「そう。直人君のこと――そうだ、わたしたち、姉弟になったんだから、くん、とかさん、とかつけるのやめてみようよ?」
「呼び捨てですか?」
「そのほうが絶対はやく仲良くなれるって!」
バスタオル姿の優美さんは、ふふと楽しそうに笑って続けた。
「わたしがあなたのこと呼び捨てにするから、あなたもそうしてね」
「俺も?」
「ねえ直人、今日の夜ご飯は何にしよっか。今日もお姉ちゃんが作ってあげるから」
優美さんは姉弟のつもりかもしれないが、俺にとっては恋人同士で会話している気分だった。タオルの隙間からほんの少し見え隠れしている巨乳の谷間から目が離せない。
「手作りならなんでも食べます、優美……お姉さん」
「呼び捨てにしようよー」
「そんな……じゃあ優美姉さんでいいですか?」
「優美姉さん……うん、それは姉弟っぽくていいかも。そうしよっか」
俺との会話が楽しくて仕方ないと言った感じで笑う優美さんを見ていると本当に幸せだった。
優美さんの雰囲気が場を明るくして、俺までテンションがあがってきていた。
こんなに気さくな優美さんに、DVDのことくらいでうじうじするなんてアホらしい気になってきていた。
感じていた引け目を話そうと思った。
「優美姉さん」
「なあに、直人?」
「その……俺が優美姉さんのグラビアDVD持ってたこと、どう思ってます……?」
一瞬きょとん、とした顔で顔を覗き込まれた。嫌われるんじゃないか、という気持ちと、単純に優美さんが俺だけを見ているという事実で、どきどきした。
「もしかして、それでわたしと話すのが億劫になってたの?」
「その通りです……」
「DVD持ってるのなんて恥ずかしくないよ。男の子にはそういうの、必要なんでしょう?」
あっけらかんとした様子で優美さんは言った。聞いた途端、安心して、どっと息を吐いた。
「前も言ったけど、直人がわたしのDVD見てくれてるの、嬉しいんだよ?」
「なんでですか? 恥ずかしくないんですか……?」
「それは……確かに眺めまわされるのは恥ずかしいけど。わたしはね、このお仕事は、男性を楽しませるエンタテインメントだと思ってるの。全然、悪い仕事だとは思ってないよ。直人も、わたしのDVD見て楽しんでくれてる……よね?」
「え……? ま、まあ……」
「ねえねえ直人、一つ聞かせてほしいんだけど、わたしのDVDって……ヌけるかな?」
「……!」
優美姉さんはちょっと目を細めて、おかしそうに素敵な笑みを浮かべながら、俺のことを覗き込んでいる。
どういうつもりで言っているんだろうか、と思った。単純に、ふざけているだけなのだろうか?
「そう言う意味で、使ってくれてるのかな……って思ったんだけど。ふふ、こういう話は苦手?」
「……もしそうなら?」
「嬉しいよ? それだけわたしのこと、魅力的だって思ってくれてるってことでしょ?」
「……」
「どうなの? もしアドバイスがあったら、今度のお仕事から参考にするから教えてほしいな」
優美さんに見つめられて、どうすればいいのかわからなくなった。
素直に言ったら、何かしてくれるのだろうか? 色っぽいバスタオル姿の優美さんを見ているうちにおかしな気分になりそうになる。
口を開いた。
「それは――」
「お姉ちゃん、お帰り――あ」
ちょうどその時、居間の扉が開いて、陽菜ちゃんが顔を出していた。俺を見て、気まずそうな表情になる。
やっぱり微妙な空気になるのか、と落胆した。服を着ていない優美さんと二人きりの、なんだか甘いような時間は終わっていた。優美さんは突然の雰囲気の悪化に勘付いたのか、ちょっと首をかしげている。
「二人とも……?」
「え、えっと……お姉ちゃん、ええと……」
「そうだ陽菜ちゃん、次、オフロ入っていいよ」
「え、う、うん」
俺と言葉を交わしただけで恥ずかしそうにしながら、出来るだけ距離をとって、陽菜ちゃんは浴室へと向かっていった。
・・・
時刻は午前零時ほど。
あの後、俺は気まずい空気の中、夕飯を済まし、優美さんや陽菜ちゃんから逃げるようにとっとと自室に戻って、PCを起動していた。
陽菜ちゃんは俺を見ると怖がるし、優美さんは自分の魅力に無自覚なのか知らないが、よくわからない態度をとってくる。
一緒の空間にいるとそれだけで疲れてしまって、一人だけの空間に逃げ込んだわけだ。
動画を見たり調べ物をしたりしていると、あっという間に時間が過ぎていた。女の子たちはすでに寝静まっていたはず。
陽菜ちゃんが忘れていったスマホはまだ返せていなかった。今は今夜廊下ですれ違った時にでも返そうと思って、ポケットに入れている。
ともかく、今は面倒なことは忘れよう。
俺は今度は忘れずに部屋のカギをかけ、PCにDVDを読み込ませる。
昼間に陽菜ちゃんが置いていったDVDを「続きから再生」して、鑑賞に没頭する。
「んっ……、ふふ……っ!」
場面はビーチから、海辺が見えるコテージへと切り替わっていた。
画面の中で優美さんがベッドの上でごろごろと転がり、こちらにむちむちした身体、主に胸元を見せつけて、初々しく微笑んでいる。
「優美さん……胸、やっぱりすげえ」
クリーム色のセーターだけを身に着けた上半身を揺らすと、広い襟元から、いかにも柔らかそうに揺れる二房のふくらみが覗く。
なんでこんなに魅力的なんだろうと思った。股間がすぐにガチガチに固くなる。いつもなら、このまま優美さんの妄想を膨らませながら、ゆっくりと快感に浸るところ。
「ところが今日は一味違う……」
手元には、選択カゴから拾い上げてきた、ある衣服が握られていた。
それは――優美さんのブラジャー、ストッキング、そしてパンツ。
つい、持ってきてしまっていた。自分を抑えきれなかった。
「これが優美さんの胸に……」
優美さんの豊かなふくらみを包んでいた、色気溢れる黒のブラジャーをキーボードの上に置いた。
ちゃんと見ると、大人っぽい下着でありながら、可愛らしい刺繍やフリルで飾られている。優美さんらしいと思った。
ついさっきまで優美さんはこれを着けていて、まだ洗濯はされていない。
ごくりと喉が鳴った。優美さんの体の一部だけを手に入れてしまったような気になった。
持ち上げて鼻にあてると、優美さんの残り香が鼻孔を刺激する――花のような華やかな香りでありながら、どこか女性を感じさせるような、色香も混ざっている。
肉棒がびくっと動くくらい興奮した。夢中になって、深呼吸を繰り返す。
「やだぁ……もう、ヘンタイなんだからっ」
映像の中で、優美さんがセーターを少しずつ脱ぎながら、俺に向かって恥じらうような微笑みを浮かべている。
「ダメだ、優美さん……我慢できないよ……」
一人呟きながら、俺はもう片手で優美さんのぱんつを、目の前で室内灯の光にあてる。
これもまた色っぽい下着だった。単純な黒色ではなく、わずかに紫色も重ねたような、不思議な色合いで彩られている。クロッチ部分は少し生地が厚くなっている。
ここに、優美さんのおまんこが、ぴったりと当たっていたのだ。
「優美さん……使って、いいよね……」
「君だけ、だからね……もう」
映像の中の優美さんがまるで俺に答えるように言った。実際はセーターを下乳が露わになるくらいまくりあげて、もっと上に持ち上げてあげる、と言っているのだった。
でも俺はそのタイミングの良さに嬉しくなりながら、それを実行した。
肉棒の先端は、先走り汁がたっぷりと潤っている。
そこに優美さんのぱんつを引っ掻けるようにして、かぶせる。クロッチ部分を亀頭にあてがうようにする。
そして、その柔らかい生地の上から肉棒を握りしめ、上下にしごいた。腰の奥から、背中にかけて、ゾクゾクとした快感が駆け上る。
「あぁ……これが、優美さんの……!」
映像の中の優美さんはセーターを全て脱ぎ去ったところだった。その下に、優美さんは爽やかな水色のマイクロビキニを着ていた。巨乳の頂点だけがなんとか隠されているが、柔らかそうな白いふくらみの大部分が、これみよがしに揺れている。
PCの中での優美さんのエッチな姿と、優美さんのおっぱいの匂いと、優美さんのぱんつの感触で肉棒をしごいて、最高の気分になってしまう。
「普通のオナニーと全然違う……」
あまりに興奮して、気持ちよくて、俺はハアハアと息を荒げながら、勢いよく肉棒を擦りたてた。
優美さんのセックスしてるみたいだと思った。色気たっぷりの香りと、感触と、優美さんのエッチな姿が楽しめる……なんて幸せなんだ。
姉弟になれてほんとうによかったと思った。ますますしごくピッチは上がり、すぐに絶頂が訪れた。
「うっ!」
迸る精液をパンツで全て受け止める。信じられないくらいたくさんの量が出た。もう少しでぱんつから零れ落ちそうだった。
多幸感と解放感と虚脱感でいっぱいになりながら、俺はちょうど優美さんが手を振って、DVDが終了するのを見届けた。
ふと優美さんの言葉を思い出した。
「わたしのDVDって、ヌけるかな……?」
もちろんです、と心の中で思いながら、俺は精液まみれのどろどろぱんつを洗濯機に放り込むため、部屋を出た。証拠隠滅だ……
・・・
翌朝に俺の部屋に下着やストッキングがあるのがばれると困るので、全部洗濯機に放り込むことにした。明日になったら、また新しい下着をまたカゴから持ってくればいい。なんて幸せな性生活なんだと思った。
ふわふわと甘い陶酔感に溺れながら、廊下を歩く。
「お姉ちゃん……」
最初にそれが聞こえた時は、幻聴かと思った。
陽菜ちゃんの声だった。本来その声が聞こえるべき部屋からではなく、なぜか優美さんの部屋からその声は漏れ出していた。
ねばねばの精液を包んだ優美さんの下着を握ったまま、その場で立ち止まる。
どうしようかと思った。今俺は、重要な罪の証拠を手に持っている。しかし陽菜ちゃんが一体何をしているのか確かめたい。
洗濯機に下着を放り込んでから戻ってくれば済む話なのだが……
「今日、直人お兄ちゃんがね……」
その声を聞いて頭で決断する前に足が動いていた。
チクられる。
優美さんは俺がDVDでオナニーしていたことをどう思うかは正直わからない。もしかしたら嬉しいと言ってくれるのかもしれない。しかし確信が持てない以上、気が気でならなかった。
暗闇の中、優美さんの部屋のドアノブをひねり、音を立てないよう、わずかに隙間を開ける。
「その……お兄ちゃんが……あれ、してたの」
「あれって? もう、そんな顔してないで、ちゃんと言ってくれないとわからないでしょ」
このままでは全てをばらされてしまいそうだが、ここで部屋に突入するのも気が引けた。なぜなら――二人が、何やら向かい合って仲良く添い寝しているからだった。
二人とも、布団に隠されていない上半身を見ると、薄い透明感のある生地のキャミソールのような形のネグリジェ姿だ。陽菜ちゃんはレモンイエローで可愛くて、優美さんはパープルレッドで大人っぽい。
女の子二人が横たわるベッドはとても綺麗な光景だったが、なんとなく危険な香りも漂っていた。
距離が近いのだ。お互いに抱き合っているようにも見えた。
どうしてこんなことになってるんだ……と呆気にとられているうちに、陽菜ちゃんがそれを言ってしまった。
「お兄ちゃん、オナニー……してた……」
「本当? 別にだからって直人が怖い人ってわけじゃないよ? わたしのDVDをおかずにしてくれたのかな……?」
ふふ、とむじゃなきな感じで笑う優美さん。
相変わらず素で喜んでもらえているようなので、夕方と同じようにとりあえずの安堵のため息をついていると、ちょうどその時、陽菜ちゃんが身体をきゅっとちぢこませて、甘い声をあげた。
可愛いけど、ちょっとエロイうわずった声だった。
「あ……ん……お姉ちゃん、そこ、もっと……」
「大丈夫、大丈夫……お姉ちゃんが、優しくイかせてあげるから」
「うん……気持ちいい……とっても」
小声での囁き合いだったが、俺には詳細に聞き取れた。それほど耳をそばだててしまうような驚きの会話だった。
優美さんは今、陽菜ちゃんを気持ちよくさせてあげているらしい。ドアの隙間から見る限り、布団の下で腰の陽菜ちゃんの腰のあたりで何かが動いていた……つまり、優美さんは、陽菜ちゃんの女の子の部分を刺激して、イかせてあげようとしているのだ。
目の当たりにしても、信じられないことだった。
「陽菜も、もう高校生なんだから……いつまでもお姉ちゃんで満足してちゃだめよ? 男の子と付き合ったりしてみるのも、いいと思うけどなあ」
「ううん、わたし……お姉ちゃんがいい。他の人と比べるなんて、嫌――んんっ」
喘いだ陽菜ちゃんが布団の中ごそごそ動いて、優美さんにますます近づいた。そのまま優美さんの胸に顔をうずめて、頬を擦り付けるようにする。
その様子がなんだか背徳的で、俺はさっき出したばかりの股間が勃起するのを感じた。
「お姉ちゃんのおっぱい、好き……柔らかくて、おっきくて……安心する」
「やん、くすぐったいってば……でも、気持ちいい。もっと、触っていいよ」
羨ましくて忽ち憮然となった。優美さんのおっぱいを独り占めするなんて、たとえ妹ちゃんでも許しがたい!
そんな俺の思いも露知らず、陽菜ちゃんはやさしく撫でるように優美さんの胸を揉んでいる。
それを見て、俺は節操なく我慢が出来なくなって、優美さんの下着を床にはらりと落とし、手に残った滑らかな触り心地のストッキングで肉棒を包んだ。
しこしことしごき始めると、衰えを知らずビンビンに固い肉棒から、快感が湧き上がってくる。陽菜ちゃんと優美さんの百合プレイを眺めながら、動画を見ているような気分で、夢中になってしごく。
揉まれている優美さんも気持ちがいいのか力の抜けるような、甘い吐息を履きながら、おかしそうに笑っている。
「陽菜ったら、すっかり甘えちゃって……最近は毎晩のように夜に来てるじゃない。お姉ちゃんと結婚するつもり?」
「うん……できたらそうしたいよ……。わたし、お姉ちゃんとずっと一緒にこうしてたい……男の人となんて、付き合いたくないの」
「もう……だめだってば」
ふふ、と笑いながら、お互いに少しずつ息を荒げ、気持ちよさそうにぴくりと震えている二人。
陽菜ちゃんと優美さんが百合姉妹だったという事実に、しばらく唖然とした。
その時だった。突然、ポケットの中でけたたましい着信音が鳴った。どっと冷汗が出た。
俺が設定した、聞きなれた音声ではない。ということは――
「あれ、今陽菜のスマホの音、したよね?」
「うん……おかしい、部屋に置いてきたはずなのに」
「布団の中に落ちてるかな」
そうだ、あれから部屋に置きっぱなしだった陽菜ちゃんのスマホを返そうと思って、ポケットに入れっぱなしにしていたのだった。
ドアの向こう側で、二人が睦言をやめ、張り詰めるような静けさが場を包んでいた。
ぽつりと、優美さんが呟いた。
「もしかして……直人? ねえ……そこにいるの?」
(つづく)
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