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<妹姫5話>蔓触手3Pと特殊なスキル




 大量の蔓が所狭しとひしめく部屋。俺はさっそく蔓を操って楽しんでいた。

「や、やめてよぉっ! ぶらさげないでぇ!」
「やめて……レイジ様! アリスが嫌がってるじゃない!」

 アリスは全身を蔓に巻き付かれ、上下反対向きに宙にぶらさげられていた。
 抜け出そうともがいているが、余計に蔓が絡まっていく悪循環。
 蔓の締め付けで、彼女の胸のふくらみが際立っている。

「アリスって何カップ?」
「へ? そ、そんなこと男の子には教えないよっ!」
「教えてくれたら蔓、ほどいてやるよ」
「ほんとう!? 嘘じゃない?」
「ああ」
「レイジ様、意外とエッチな人なんだね……。い、Eカップ……です……」

 頬を染めて、恥ずかしそうに言うアリス。

「でも本当かどうか確かめないと意味なくね」
「え……そ、そんな!」
「ひとまず、リナは休憩しながらそこで見ててね」
「え……あんっ」

 俺の意思に従い、リナの足や腕にもぎっちりと蔓が巻き付き、逃げられないようベッドに束縛される。

「自分の魔力で出来た蔓に縛られるなんて……最悪だわ」
「さ、アリス。脱がすよ」
「え、え? きゃぁっ!」

 触手をうまく使って、アリスの服のリボンを解いていく。
 前をはだけさせると……真っ白なふくらみが、たゆんとまろびでた。リナも同情する視線でそれを見ていた。

「二人とも、見ないでよぉ……」
「うん、確かにEカップくらいありそう。リナよりちょっとおおきいな!」
「なによ……わたしをからかってるの!?」
「大丈夫、リナのおっぱいも綺麗だよ」
「……ばか。許さないんだから」

 リナは赤くなって、俺を睨んでくる。
 無視して、俺はさっそく両手のひらでアリスの乳を根本から、すくいあげるように揉んでみる。もちもちとした感触。

「アリスの胸も、柔らかくていい触り心地だな……」
「え、いやぁ……触らないで! んああ……!」

 ぶらさげられたまま、切なげな目線を送ってくる。
 アリスのふとももが、きゅっと内股になる。今頃女の子の部分から、愛液がじゅんと分泌され始めたところだろうか。

「はぁ……乳首、だめぇ……あん……」
「アリスが、あんなに変な声……出しちゃってる……」
「わ、わたし、こんなの知らないよぉ……んっ! 身体が、勝手に! ……んあぁ」

 ぴくぴくと乳首を立たせながら、なおも甘くよがり続ける。
 俺も我慢できなくなってきた。

「それじゃあ、そろそろアリスにもセックスを教えてあげよう」
「せっくす?」
「レイジ様、ダメ! あんな痛い思いするのは、わたしだけで十分よ!」
「そのせっくす、って、痛いの? レイジ様?」
「最初だけな。リナ、お前は後でもう一回可愛がってあげるから、友達の処女喪失、しっかり見とけよ」
「やめてぇ! レイジ様ぁ!」

 リナは懇願するが、アリスはこれから何が起こるのかわかっていない様子で、ただ怖々と、俺を見つめている。

「レイジ様、しょじょって、なに?」
「アリスが純潔な証だよ。今から俺に奪われるんだけどね」
「え……?」

 触手を操ってアリスの体を操り、空中でまんぐり返しの状態にしてしまう。めくれたスカートから、割れ目の部分が濡れた下着が俺の目の前にさらされる。
 アリスは頑張って抵抗しているが、蔓触手は彼女の太ももをしっかりホールドしている。

「や、やだぁ! こんなはしたない格好させないでっ!」
「へえ、アリスはオレンジ色か。可愛い下着じゃん」
「恥ずかしい……うぅ……」
「今脱がせてあげるからね」
「ひゃっ! だめだめ、見ないでぇ!」

 俺は念じて触手を操る。アリスのお尻から下着をするすると抜き去った。ふくらはぎのあたりにひっかけておく。
 触手でアリスの股をしっかり広げさせると、おまんこからアナルまで、女の子の大切なところが隈なくさらされる。ほんのり、いやらしい匂いが漂う。
 アリスの性器は、リナと同じく綺麗で色鮮やかな桃色。ただし形はリナと少し違った。
(女の子一人一人、違うんだな)

「ひゃうぅ……」

 アリスは恥ずかしすぎて言葉も発せないようで、ただ俺を泣きそうな瞳で見つめている。
 ヒクヒク震え、愛液を垂らしているおまんこを見ていると、ペニスがガチガチに固くなる。

「他にも色々やりたいけど、とりあえず子作りセックスしようか」
「こ、こづくり……ん、んあああああっ!?」

 一気に、ズドンとペニスをアリスの中にぶちこんだ。中ごろまではいったところで、さらに力をいれてペニスを押し込み、肉襞をぶちぶちと裂いていく。

「い、痛あああぁいっ! あ、あ、ああああ!」

 アリスの絶叫が、小屋の中にこだまする。
 一方、一番奥まで挿入した俺は、夢のような快感を感じていた。
(リナとちょっと違う感触……気持ちよすぎる……)
 ペニス全体を、ぬめるヒダヒダが締め付けてくるのだ。たまらない。
 俺は、まぶたを濡らし、性器から血を滲ませるアリスに、優しく声をかける。

「アリス、大丈夫だ。すぐ、このベッドが回復魔法を発動してくれる」
「ひぐ、ううぅ……ほんとうに……?」
「見てればわかる」
 
 俺の言葉通り、次第に青白い光が辺りを満たす。
 それが消えた時には、アリスの性器から流れる血がすっかり止まっていた。

「あれ……もう、痛くない……?」
「じゃあ、さっそく絆を深めようぜ」
「え……うあああっ!?」

 俺はずちゅっとアリスの中をかきまわした。またすぐに射精しそうになるのをぐっとこらえる。

「あん、あん……え、なにこの感覚……はあぁ!」

 アリスは甘く喘ぎ始める。腰を振りまくりたいのを抑えて、言葉をかける。

「どう? アリスは何か感じてる?」
「な、なにこれ……? 体の中で、動いてる……わたし、こんな感覚、初めて……んあぁ!」

 再び腰を揺すると、アリスはきゅっと柔らかい膣を締めてきた。摩擦が強まって、素晴らしい心地。

「アリスの中、俺の動きに反応してきゅんきゅんしてるな。もう気持ちよくなってきたのかな?」
「こ、これ……んああ! そ、そんなの、わかんないよぉっ!」
「それならたっぷり教えてやるよ。男に貫かれる快感をね!」
「え、わ、ひゃあうぅ!」

 アリスの腹をがっしり掴んで、がしがしと勢いよく腰を振る。振れば振るほどペニスを誘い込むように吸い付いてくるおまんこは、絶品だった。

「やあぁっ! わたし、おかしくなってるよぉっ!? 奥までジンジン響くぅっ!」
「それが、男にハメられる快感なんだぜ」
「はめ、られる……あううぅっ?」

 俺は腰振りを続けながら触手を操り、アリスの胸をきゅっとしぼってみたり、口の中を蹂躙したりしてみる。

「っんぷ! むぐ、んんんっ……らめっ、口の中いじらないれっ変になるぅっ! おっぱいも強くしないれえっ!」

 アリスはいやだいやだと言いながら、どんどん発情した顔になっていく。
 こわごわと俺とアリスのセックスを見守っていたリナが、目を丸くして呟く。

「嘘……アリス、それ本当に気持ちいいの?」
「んるうっ! わ、わかんないけどっ! なんか、全身ざわついて、すごいの来るぅ!」
「おっと、もうイキそうなのか?」
「い、いくって何? あ、あああ、なんかくるうぅっ! ああぁっ――」

 アリスがびくんっと震えた。声も出せずに仰け反って、全身を波打たせる。足指の先までぴんと伸ばして、最後にがくりと全身から力が抜けた。

「はぁ、はぁ……あふぅ……」
「ア、アリス? 大丈夫? ねえ!? 涎垂れてるわよ!?」
「心配するな、リナ。今アリスは気持ちよすぎて動けないんだ」
「そんな……ありえな――いやぁ!」

 触手でリナも持ち上げ、空中で股を開かせる。
 俺はアリスのイキまんこから溢れる愛液とともに引き抜いたペニスを、リナの濡れっぱなしのおまんこにあてた。

「俺とアリスを見て興奮してたんだろ? ぐっちょぐちょだ」
「ち、ちがっ! レイジ様……お願い許して……わたし、さっきから何が起こってるか、全然わかんないよ……」

 困惑しきって再び泣きそうなリナ。自信にあふれた顔が、今は情けない媚び顔になっている。

「すぐにわかるさ。っと!」
「あ、あああん! レイジ様ぁっ!」

 挿入すると、リナは処女喪失の時とは少し色の違う、快感交じりの声を発した。
(にしても、たまんない感触だぜ)
 俺はリナの奥深くまでペニスを突き刺しながら、ふうと息をつく。

「どうだ、さっきと違う感覚がないか?」
「あれ……んんう、やだ、わたしまで、変な声出ちゃう!」

 ぐちゅりぐちゅり、とリナの中を蹂躙すると、甘ったるい声が、荒い呼吸とともに漏れる。

「はあ、んあ、んうう――」
「どうだ、初めて味わう、男に支配される快感は」
「うそ、なんだか、全身が熱くなって、ああぁなんかこれ、ダメぇっ!」
「気持ちいいんだろ? それを認めたら、もっと気持ちよくしてやろうか?」
「もっと、気持ちよく……? い、いやよっ! 気持ちよくなんてないっ! 抜いて!」
「いつまでそう言ってられるかな」
「んひゃっ! いきなりじゅぶじゅぶかきまわすなぁっ! あ、あんっ」
「ほーら、もっと強くしてやろうか?」
「つ、強くしてくれるの……? って、ダメよダメ! 認めないわ!」
「ったく、こっちが我慢できなくなってきただろうが!」
「ああぁぁっ! 激しいっ!」

 思い切りフィニッシュしようと、腰振りを加速する。
 触手がリナの乳首や口内を弄び、腋から足の根元まで絡みつく。リナは反発しながらも媚びるような喘ぎ声をあげてしまい、わけもわからずどんどん高まっていくしかなかった。

「ん、んぷぅっ、あふぅ、ああん、んぶうっ、やあぁっ……触手、使わないれぇっ!」
「リナもイキそうだろう? イクときはちゃんとそう言えよ」
「わ、わたし……何これ、あああぁっ、レイジ様ぁっ!」
「出すぞ、リナ!」
「ああ、もう嫌ぁ! イク、イクイクイクぅ!」

 俺が果てると同時にリナは、はしたなく叫びながら背を弓なりに反らして、アクメを迎えた。表情がすっかりとろけてしまっている。姫の誇りも威厳も忘れた、メスの顔だった。

「あー……あぁ……レイジ様ぁ」

 虚ろな瞳で見つめてくるリナ。俺を呼ぶ声はすっかり甘えるような響き。

「どうだ、俺との絆、深まっただろ?」
「せっくすって、すごい……レイジ様のこと疑って、ごめんなさい……」
「もっともっとセックスすれば、ますます絆が深まるんだ。俺はもう十分だと思うけど、リナがしたいならまだ続けてやってもいいぞ」
「……もう一回、してくれるの?」
「ちゃんとお願いすれば、してやるけど」

 リナは発情した媚び顔で、簡単に俺に屈服したのだった。

「レイジ様ぁ……もう一回、リナとセックスしてください……」

***

「あれれ? 開かないのです」

 その時、ノエルは回復ポイントの前で立ち往生していた。
 どうしようかと考えていると、中から聞こえてきた音に、彼女は飛び上がった。

「レイジ様ぁ、気持ちいいよぉ! すごいっ!」
「ふああ、すごいわっ! もっとしてっ! もっとぉ、あうう!」

 自分の主人であるアリスと友達のリナが、聞いたこともないような甘ったるい声で喘いでいるのだ。
 ノエルには何が起こっているのかさっぱりわからなかったし、推測できるほどの頭もなかった。

「ふ、二人とも!? 大丈夫なのですか!? 今行くのです!」

 ドアを破壊してみようと槍を構えるが、そこでアリスの媚びるような悲鳴が聞こえる。

「ダメぇ! もうダメなのぉ、それ以上来ないでぇ!」
「そんな、どうしてなのですか? わたしはアリスの姫騎士です! お役に立ちたいのです!」
「これ以上来たら、またイっちゃうからぁっ!」
「い、いっちゃう? リナさん?」

 王家では、性に関する教育を行わないのが通例だった。ましてやこの世界の文化レベルは低い。ネットも雑誌もないから、エロについて知るには、いわゆる「淫書」と呼ばれる書物を学園の図書館の禁書の棚からこっそり持ち出す以外になかった。
 そもそも「淫書」の存在すら知らないノエルにとっては、別次元の不思議現象にしか思えないのだった。

「わかったのです……ここで、お待ちするのです」

 ノエルは騎士らしく、主人の言いつけを忠実に守ることにした。

***

 一方その時、城のほうでは異変が観察されていた。

「なんだ……あの飛影は?」

 ヘーゼルは、例の塔の最上階の自室から、空を見ていた。
 仕事の手を休め、ほっと一息つくだけのはずだった。なのに、空に黒い一つの怪しげな影を見つけしまったことで散らかった部屋から双眼鏡を探し出さなくてはならなくなったのだ。
 レンズからその影を見た時、ヘーゼルの背筋に冷たいものが走った。

「あれは……龍《ドラゴン》……?」

 城に向かって飛来するのは、ダンジョン最深部に現れると伝承され、その姿が古代文献に描かれている伝説の黒龍にしか見えなかった。
(起きてはならないことが起きている……)
 ヘーゼルは冷静ながらも手早く棚から手鏡を取り出す。それはただの手鏡ではなく、魔力で新たな役目を付与された鏡だった。
 鏡には、ヘーゼルの顔は映っていなく、もやがかかったようになっている。

「マカデミア! 聞こえるか」

 呼びかけると次第に鏡のもやはとれ、そこに赤髪を一つに束ねた女の顔が映し出される。どこか不良めいた雰囲気がある女だ。
 その顔は人懐こい笑みを浮かべてふざけた口調で言う。

「研究部屋にこもりきりのヘーゼル教授どのか。そんな深刻な顔をして、何かあったのかい?」
「まずい。龍が城に向かってきている可能性がある。姫たちの戦力を集めて」

 眉をひそめる赤髪の女。

「そんな……龍なんて、本気で言ってるのか?」
「わたしがそういうくだらない嘘をつくと思うか」
「……ヘーゼルが言うなら事実のようだな。了解した」

 一転、鋭い表情になったマカデミアと呼ばれた女は鏡から姿を消した。

***

「ふう、ベッドがいくらでも精力を回復してくれるせいで、ついやりすぎちまったか」

 眼下には、精液を体内にも体外にもぶっかけられたまま、発情顔で仲良くヒクヒク震える二人の美少女魔法使いたちがいた。
 リナを魔力源とした蔓触手は、必要がなくなったので消した。

「レイジ様の白い液体が……わたしの体に、こんなにたくさん……」
「すっかり俺の女になっちまったな、リナは」
「わたしが……レイジ様の女……?」
「嬉しいか?」
「一番にレイジ様にセックスを教えてもらえるなんて、わたしは光栄な姫……なのかもね」

 リナはぼんやりと、俺に微笑んだ。

「やっぱりリナは俺に惚れてるんだね」
「惚れて……わ、悪いかしら」

 リナが恥ずかしそうに言う仕草が、たまらなく可愛い。
 ところで、気になることがある。

「アリス? さっきから全然喋ってないけど大丈夫か?」
「……ん、なーに、レイジ様? わたしも……レイジ様とのセックス、気持ちよかったよ」

 アリスは微笑みつつも、どこかぐったりとしている。

「調子悪いのか?」
「うーん……ちょっと、身体が変な感じで。体力は満タンなのに……おかしいな」
「ま、リナもアリスもセックス初体験して、女として生まれ変わったようなもんだからな。ちょっと身体に不調を感じるのも自然だろ」
「うん……」

 アリスは、寝返りを打って俺に背を向けた。

「さて、さすがに時間がまずいことになってそうだな。そろそろ帰ろう」

 時計はないかと、アリスの荷物をあさる。
 例の逆さ砂時計が出てきた。この世界の時計の役割を果たすのはこの道具らしい。下部分には、ほとんど砂が残っていない。
(これ、どういう仕組みなんだろう)
 何か設定された時間制限があると、それに合わせて砂が減っていく魔法道具なんじゃないか、と推測した。それなら、もうすぐダンジョン実習時間は終わりか。
 他にも何かないか探してみる。
 虫めがねが出てきた。アナライザーとか言ってたか。試しにアリスに向けてみる。

【LV】10
【HP】100
【EXP】15
【STR】23
【DEF】18
【MST】57
【MDF】53
【SPD】25
【SKI】?

 レンズの上でさらさらと黒い粒子のようなものが渦巻いて、そのように文字が浮き上がってきた。
(HPにEXPか……マジでゲームと同じだな)
 MSTはMAGIC STRENGTHを略したもので、魔法攻撃力。MDFはMAGIC DEFENCEの略で魔法防御力だと思われる。SPDはSPEEDかな。
 
「リナ、俺にアナライザーを向けて、俺のステータスを教えてくれないか」
「ん……いいわよ」

 乱れた髪を直しながら起き上がって、何気なくレンズを覗く。
 その目が、驚愕に見開かれた。

「何……これ!? レイジ様って……!」
「あ? なんだよ」
「やっぱり、凄い人なのね……読み上げるね」
 
【LV】150
【HP】1050
【EXP】0
【STR】103
【DEF】105
【MST】251
【MDF】204
【SPD】154
【SKI】御影の腕

 リナは、そう言った。数字ばかりでわかりにくいけど、リナより全然高いことはわかる。
 もともと細マッチョな身体だったから、攻撃力より魔法攻撃力のほうが高いのは予想していた。
 経験値がゼロなことから、レベルがカンストしていることも読み取れた。

「レイジ様は、この学園に来るまでずっと帝都で修行を積んでいたって聞くけど、どうやら本当みたいね」
「ま、まあな」

 最強ステータスのまま肉体を預けてくれたスミレに感謝だ。

「御影の腕……皇族秘伝の超レアなスキルじゃない。使って見せてくれない?」
「え、いや、今俺記憶喪失だし。どういうスキルなんだ?」
「霊を、人間から取り出せるのよ」
「マジで? すごいけどさ、取り出しちゃって大丈夫なの?」
「大丈夫らしいわよ。死なない限り、霊と肉体は完全には切り離せないって授業で習ったわ」
「取り出しても戦闘で使えなくないか?」
「霊が秘めた魔力を直接使えるから、普通の魔法とは比べものにならないほど強力な魔法を放てる……確かそうだったかしら」
「ほう……強そうじゃん」
「試しにやってみたら? わたしの霊、使っていいわよ」
 
 リナは目をつぶって、俺が何かするのを待っている。
(霊……魔力を吸い出す時みたいに、触ればいいのか?)
 胸に触れて、念を込めてみる。すると――

「んっ――!」
「うおっ」

 指が、リナの身体の青白く輝く部分にめり込んでいた。
 手ごたえを感じた。腕を引き抜くと、リナの中からなにか眩く光る青白いものが出てくる。
 それを取り出されたリナはくたりと眠るようにベッドに倒れた。

「リナ? ……おい、大丈夫か?」
「……」

 返事はないが息はしている。身動き一つしないが、死んでいるわけではなさそう。
 青白いものは、持っているだけで何か秘めたる力を感じさせた。
(リナの霊、取り出しちゃったのか……すげえな)
 途方に暮れていると、突然鐘が鳴り響く重い音が耳に入った。

「なんだ、いきなり。びっくりさせるなよ」

 遠く、学園の方角からだった。
 今朝と違うのは、激しく打ち鳴らされている点だ。なんとなく危機感をあおられた。
 とりあえずリナの霊を彼女の体に戻すと、リナはびくっと震える。そのまま起きない。
 寝ているふたりを置いて、外の様子を見ようと小屋の外に出てみる。
 ドアを開けた目の前にノエルが立っていた。

「あっレイジ様! アリスは一体……?」
「うお、びっくりした。いきなり出てくるなよ。アリスはなんともないよ、今中で寝てる」
「よかったのです……」
「それより、あの鐘の音はなんだ?」

 聞かれて、ノエルはふと緊迫した顔になった。

「あれは招集がかかっているのです……きっと何か、学園に危険が迫っているのです」

 そう言った瞬間、空が暗くなった。
 見上げると、俺たちの真上のはるか上空を、巨大な黒い生き物が飛んでいた。
 四本の手足は短く、翼が異様に大きい。
 俺たちは気付かれていないようで、その生き物は素通りして行った。まっすぐ、学園の方角へと向かっていく。

「なんだ……今の」
「あんな魔物……見たこともないのです」

 ノエルも戸惑った様子。嫌な予感がする。学園に急いで戻ることにした。
(つづく)







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