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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(1)

新作「異世界もの」を連載開始!

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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〈日本――1〉

 どすん、と尻から落ちた。
 突然のことで、最初は何が起きたのかわからなかったが、周囲を見てはっとした。
 ここは、懐かしい俺の一人暮らしの家だ……!
 半引きこもり大学生として、ろくに学校に行かず毎日ゲームばかりしていた俺の部屋。机の上にはバイトで溜めたお金で買ったPCが並び、画面にはオンラインゲームの戦闘終了画面が表示されている。
 隅には大量の漫画が積み重ねてあって、何十冊とある連載漫画も、最初から最後まで全部揃っている。
 カップラーメンの空の容器が放り出してあり、ペットボトルのお茶が転がっている。
 ひどい有様だ。でもそのひどさ加減が、間違いなく俺の部屋だと証明していた。
 そう、俺はなかなかのクズ大学生だった。
 自分の人生のつまらなさに絶望して、困り果てていたところに、女神さまの呼び声があり、異世界に転生したわけだ。女神さまに言わせると転生というより転移らしいが、そんな細かいことはどうでもいい。
 とりあえず俺は転生先の剣と魔法の世界で、ちょっと高めのステータスを活かして、魔王を倒したのだ。冒険の日々はいつも輝いていて、「生きている」という感じがした。
 帰ってきてしまった――そのことがひしひしと感じられて、俺はため息をついた。
 だが、俺は女神との約束を思い出した。
 ――誰かを現実に持ち帰れる。
 それなら、俺の現実はバラ色になるはずだ。
 喜びが身体を突き抜けたとき、どすん、と二つ目の音がした。
「いたぁっ……な、なんだ……?」
 隣に、女の子が落ちてきた。虚空から突然現れたのだ。
 その子は、全身に騎士鎧を纏っていた。体にぴったりとフィットする、金属製の鎧。大きめの胸を覆う装甲は、形に合わせて膨らんでいる。
 女騎士アリサ。俺と冒険を共にした異世界の住人だ。
 毛先がウェーブした栗色の髪が、窓から吹く風にたなびく様子は、相変わらず綺麗だ。
 美しいというより、可愛らしい感じの顔つきで、きょろきょろと俺の部屋を眺めまわしている。
 長く男だらけの騎士団の中で生きてきたせいで、男のような口調の女なのだが、その声や体から、女らしさが滲みだしている。
「アリサ!」
 声をかけると、俺の存在に気がつき、慌てた様子で問いただしてきた。
 騎士らしくしっかりした振る舞いをしようと頑張っているのが、どことなく可愛らしい。
「ここはどこ、シンヤ! まさか、新たなダンジョンに閉じ込められたのか!?」
「慌てるなって。敵はいない」
 手にした鈍く輝く槍を油断なく構えたアリサに、槍を下ろすよう言った。
 まだ何が何だかわからないというように、その表情からは警戒の色が拭えない。
「とりあえず、落ち着けって。ほら、ここに座って」
「あ……あぁ」
 アリサは鎧をガシャガシャ言わせながら、俺のパソコンチェアに座った。
 娯楽用品ばかり並んだ俺の一人暮らし部屋には、戦闘に備えたゴツい見た目がそぐわなくて、なんだか笑ってしまう。
「笑ったな……? 何かおかしい?」
「アリサの服が、この部屋にこんなにそぐわないとは思わなかったよ」
「はぁ? シンヤこそ、その服装はなんなんだ。魔物に襲われたらひとたまりもないぞ」
 俺は、転生前に着ていた、ごく普通のTシャツを着ていた。
 彼女から見たら、おそらくぺらぺらの紙装甲なのだろう。だが、この現実世界では、魔物から身を守る装甲など必要ない。日頃普通に生活していれば、戦うことすら一切ない。
「これが普通の服装だよ。騎士鎧、脱いだらどうだ。ここには魔物はいないからな」
「そうなのか……? いいえ、油断は禁物だ。魔物はどこから現れるかわからない。見知らぬ土地で鎧を脱ぐなんてもってのほかだ」
「あー、そうか。それなら、頭だけでも外してくれ」
「シンヤがそこまで言うなら……」
 アリサは頭部装甲を外し、俺の机に置いた。つややかな髪があふれ、ふわりと舞った。
「というか、なんで魔物がいないって知ってるんだ? シンヤはここに来たことがあるのか?」
「ああ。ここは俺の部屋だ」
「シンヤの部屋……? 冒険者に決まった住処はない。わたしたちは住む場所を定めない流浪の身のはずだ」
「お前、前から思ってたけど頭固いな……なんていうかな、故郷みたいなもんだ」
「シンヤのふるさとか! それはすごい」
 ようやく理解してくれたようだ。
 アリサはしげしげと感心の眼差しで、俺の部屋を眺め始めた。
 と、その時、三つ目の落下音が聞こえた。どすん。アリサの隣に落ちてきた人物は、俺が望んだとおりの人物だった。
「リリスじゃないか!」
「いたぁい……お尻を打っちゃったじゃない……」
 そこには、妖艶な雰囲気の美しい女が、自分の大きなお尻をさすりながら座っていた。
 魔女リリス。異世界のダンジョンの中ボスでありとともに、俺のパーティの一員である女だ。
 アリサと違って穏やかに、俺に笑顔を向ける。色っぽい喋り方は、耐性のない男たちをすぐに虜にしてしまうほどだ。
「あら、シンヤじゃない。何か魔力とは違う、強力な力でここに連れてこられたようなんだけど……」
「そうだ。お前らは、俺がここに連れてきた」
「突然呼び出すだなんて、わがままね」
「ここは俺のふるさと、ニッポンだ。お前たちはこれから、この国で俺と一緒に暮らしてもらう」
 俺の言葉を聞いて、二人は特に嫌がる様子はない。
「一緒に暮らすのは構わないが……」
「ええ。もともとシンヤと一緒に帝国の城で暮らすつもりだったもの」
 もともと、二人とも冒険が終わった後も俺と一緒に生活するつもりだったのだ。文句がないのは当然だろう。
「ニッポンっていうのは帝国から遠くにあるのか? 言われてみれば空気の匂いが違う気がするが」
「なんだか……妙なにおいがするわね」
「あー、あんまり気にすんな」
 それは俺の部屋のゴミが匂ってるだけかもしれない。
「とにかく、この部屋にいても始まらない。外に出て魔物を退治して安全を確保しなければ」
「そんなに急がなくても、アリサ。もう少しここでのんびりしていきましょう? 折角シンヤと三人きりなんだし、ね♡」
「な、なにが言いたい?」
 アリサの口調はとげとげしいが、頬は少し赤く染まっている。一方で、リリスはやたら色っぽい声で、囁くように言った。
「男と女の睦言よ♡ 一度三人でしてみたいって、言ってたわよね、シンヤ? 魔王討伐も終わったところだし、わたしたちと一息ついてもいいんじゃない?」
「睦言……!」アリサはわかりやすく、頬を真っ赤にした。
「ああ。でも今は気分じゃない。また今度な」
 甘やかしてはいけない。俺は彼女たちの王として、肉欲を抑えこんで、素っ気なくそう答える。
「えぇ? 折角誘ってあげたのに、据え膳食わぬは男の恥って言うのに♡」
「ちょっと考えることがあるんだ。とりあえず俺を含めて三人か。さて、これからどうするか」
 うーん、と伸びをして、俺はここからの身の振り方を思案した。
 俺は女神に頼んで、こちらの世界でも楽しくやっていけるように出来るだけ手を尽くしてもらっていた。
 あの後女神と約束したことを思い出す。俺達に必要な新しい家を、すでに用意してもらっていたはずだ。たしか……この家の近くと言っていた。
「よし、まずは俺達の新居に向かおう」
「新居?」
「きっと、わたしたちとシンヤの愛の巣よ♡」
「あ、愛の巣だと……っ!」
アリサが顔から湯気を出す。想像して興奮してしまったみたいだ。
四度目のどしん、という音が部屋に響いた。
 騒がしいな、と思いつつも、どんどん異世界人たちがこっちの世界に来てくれて、嬉しい限りだ。
 またしても、俺の望み通りの人物が、こちらの世界に来てくれていた。
「いたた……あ、シンヤさま! ここは一体どこでしょうか……?」
 絢爛豪華なドレスを身に纏った、まるで人形のように美しい姫君が、俺の汚い部屋の床に座り込んでいた。
 金色に輝く長い髪、宝石のように青く澄んだ瞳。
 彼女は、俺が結婚する予定だった帝国の十七歳の姫、マリアだった。
(つづく)
<書籍化>ふたなり女学園へようこそ 上<完全版>
<電子書籍>やんデレはーれむの作りかた 上<リライト>


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